君が死にたかった日に、僕は君を買うことにした

発売日 : 2023/07/24
買ったあいつと、買われた俺は、たぶん同じように飢えていた。
「買わせてくれない? 君の時間を、月20万円で」
 高校2年の冬。枕元には母の骨があった。長く闘病した母が死んで、一度も頼れたことなどなかった父は蒸発した。
 全てを失った少年・坂田は、突然目の前に現れた西川と名乗る男に、奇妙な取引を持ちかけられる。
 母の葬儀代を稼ぎたい一心で応じた坂田に、実は同い年だという西川が提示した条件は、更に不可解なものだった。
 1.毎日、高校にくること
 2.僕と同じ大学に合格して通うこと
 3.今日から友人として振る舞うこと
 金で結ばれた関係はやがて説明のつかない「本物」へと形を変える。愛に飢えた少年たちが紡ぐ、透明な青春譚。

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みんなのレビュー

  • Koji Eguchi
    2023/10/23
    ネタバレあり
    初成東。★★☆。ラスト近くに香月がさっちゃんを買い、友達として接してくれた理由がわかったが、今の若者の感覚とはいえ、単なるボンボンの思いつきとしてもぶっ飛び過ぎかな。さっちゃんが自分を顧みても、その行動を不気味に感じたり、澄んだ眼を怖く感じるのも無理はない。でも以前病院で母親の車椅子を押す姿を見て「愛した」としても、そこは自分の生命が儚いと知っている若者の感情だから否定はできないね。青春の姿としてラストは胸が苦しくなるが、この交流は周りの皆の記憶にいつまでも残るだろう。さっちゃんの父親だけは最低。
  • 合縁奇縁
    2023/10/31
    ネタバレあり
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  • カナン
    2024/08/22
    タイトルの視点が良い。温かく裕福な家庭で育った少年と、暴力と貧困の中毎日の食事すら苦労していた少年。ブルジョワという響きが似合い過ぎる美少年に、少年は強い嫌悪感を覚えながらも、理由も曖昧まま友人代としての報酬として月収20万+αの契約を結ぶ。綺麗な瞳を嫌悪する慄きと、自分一人では何ひとつ守ることのできない無力さに打ちひしがれる主人公と、彼を見つめ続ける透明な瞳の少年の、一枚のコインのように、最初から訪れることのない未来を心から愛していた彼らの人生に、どうか、花束のように発光する未来を。
  • さおり
    2025/08/31
    ネタバレあり
    人生に絶望している高校生男子が、お金持ちの高校生男子に買われるお話。簡潔に書くとえげつないが、きれいなお話でした。良い子たちだからだなきっと。見た目も心も、良い子たち。なぜ自分が選ばれたのか、その理由は想定内というか、まぁそうだよな、って感じ。それでもしらけずに読めました。「一生でいいから」のセリフとか、好みやし。表紙のイラストは、円陣闇丸さん。とても美しい。
  • honoka
    2023/07/27
    ネタバレあり
    書店で円陣闇丸さん絵と表題が目に入った際、「あ、読メの献本応募した本だ」と思ったけど帯の「推薦!榎田尤利」に気付いたらレジへ。表題の答えを知りたくて読み進むうち、年季の入った自分には答えの幾つかが浮かんでしまった。けれど一番困ったヤツだったと不安になるほどには作家さんに寄り添えていた(展開に好感が持てる)。「眠れるよ。眠れなければきみのことを考える」から涙腺決壊。豊田君も頑張ったね。良い読後感。