夏の終わりに君が死ねば完璧だったから

発売日 : 2019/07/25
最愛の人の死には三億円の価値がある――。壮絶で切ない最後の夏が始まる。
片田舎に暮らす少年・江都日向(えとひなた)は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。
 そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子(つむらやこ)だった。彼女は死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。
 相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる──。
 壁に描かれた52Hzの鯨、チェッカーに込めた祈り、互いに抱えていた秘密が解かれるそのとき、二人が選ぶ『正解』とは?

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みんなのレビュー

  • 三代目 びあだいまおう
    2019/10/07
    ネタバレあり
    死後身体が金塊に変わる弥子がその身体の相続を持ちかけたのは少年江都。相続条件は盤上ゲームで弥子に勝つこと。療養所の外塀を泳ぐように描かれた黒い鯨。冒頭から物悲しさが漂う。迫り来る絶望への恐怖と寂しさを埋めてくれるなら、それこそが最大の価値。失った若さを金で買えぬと同様、死と引換えの大金は純粋とはなり得ないのか。生きたい、死にたくない。生きて!死なないで!純真や純愛を人は証明できないのか。零れるように少なくなる残り時間の中で辿り着いた「正解」。人としてすごく大切な何かを示してくれるとても素敵な物語でした!
  • ろくせい@やまもとかねよし
    2019/10/20
    ネタバレあり
    人生は不平等である。そんな人生の「正解」をSFで生死、経済、利他的おもいやりにより表現した感涙必至の作品。仕掛けは現実社会問題のうまい導入にあった。経済主義に偏向する価値観、都市と地方の経済格差、子供を守るはずの大人の理不尽で利己的振る舞い、そして医学の進歩で生と死の境目が曖昧となり再定義が要請される生きる。利己から利他に変遷する主人公たちの意識、そして最期が迫る彼女が発した彼を慮る「海が見たい」には、嗚咽を抑えられなかった。他者の生死の「正解」は自己意識でのみ醸成され、その共通解は存在しないのだろう。
  • さてさて
    2024/02/02
    『金塊病』という奇想天外、奇妙奇天烈、摩訶不思議な病を患う女性と偶然にも知り合ってしまった一人の中学生の姿が描かれていくこの作品。そこには『回想』という形で二人の日々を振り返る主人公の物語が描かれていました。読む気が萎えそうになる『金塊病』という設定に戸惑うこの作品。読み進めるうちにそんな戸惑いが雲散霧消するこの作品。“最愛の人の死に価値が付けられてしまった人間は、その価値にどう向き合えばいいのか”、この物語のテーマをそんな風に語る斜線堂有紀さん。そんな斜線堂さんの物語作りの上手さを感じさせる作品でした。
  • 夢追人009
    2019/10/01
    「夏の終わりに君が死ねば完璧だったから」の題名はちっとも完璧でないけれど、でも感傷的でなく涙腺崩壊も誘わず適度にクールで謎めいていてバッチリ決まっていないのが人生に正解がない事と同義で良いと思いますね。不治の病・金塊病に冒されたチェッカーの達人の女子大生・弥子には同じく男言葉で喋る櫻子や桜良の遺伝子が共通していそうです。貧困家庭で暮らす中三生・江都は彼女とのチェッカー勝負に勝利し彼女が死と共に変貌する3億円の金塊を手にできるのか?彼女の思い遣りの心を受け止め濃密な時間の思い出を胸に真の幸せを掴んで欲しい。
  • おしゃべりメガネ
    2019/09/25
    このテのジャンルで定番?となりつつある'不治の病'モノです。やはり個人的にはベタですが『キミスイ』や『君は月夜に〜』のインパクトからは脱却できない感が否めません。しかし、本作は本作としてまぁ色々と次から次へと新たなネタ(病気)を考えつくものだなぁと。後半でとある'仕掛け'が解明されるのですが、その描写に正直「へぇ〜」と薄いリアクションしかできなかった自分が残念です。いつも思いますが、やはりこういう作品は読む年齢層が限られてしまい、読んでいても純粋に入り込めなくなっている自分がとても悲しく感じてしまいます。