いたいのいたいの、とんでゆけ

発売日 : 2014/11/22
自分で殺した女の子に恋をするなんて、どうかしている。
「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」
 何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまった――はずだった。
 僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することによって十日間の猶予を得た。彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。
「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」
 復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。それは哀しくも温かい日々の記憶。そしてあの日の「さよなら」。

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みんなのレビュー

  • ハッシー
    2016/09/20
    【殺したのは好きな人でした】 ▼虚ろな雰囲気が漂う作品。僕と少女の歪で不健全な恋愛を描く。登場人物は誰も刹那的で死を意識させられる。憂鬱な秋雨にぴったりな作品だった。
  • K
    2019/01/12
    著者があとがきで触れている通り、「落とし穴の中で幸せそうにしている人」の物語。これ以上の表現は思いつかないし、あっても蛇足に感じてしまう。『スターティング・オーヴァー』でも感じたが、不幸中の幸いを描かせたら三秋縋の右に出る者はいないでしょう。生きるには希望が必要で、"先送り"はその希望を見せてくれるが、それ自体が希望なのではないところがこの作品の秀逸な点。どんな過去や未来を選択するにしても、その幸せが自分の手で掴み取ったものだからこそ、その姿を見た読者にとっての救いや慰めになり得ているのではないだろうか。
  • みっちゃん
    2018/09/09
    ネタバレあり
    読んでも読んでも、いたいのがとんでいかない…この結末が二人にとってのハッピーエンドだというのか。あまりに辛すぎる。
  • 優愛
    2015/12/30
    君達の何処に触れてあの魔法を唱えたら痛みは消え去ってくれるのでしょうか――正しいだけが正義じゃない。復讐が、悪意が必ずしも過ちじゃない。優しいよ、先送りを選択して得た未来でも過去という思い出を握り締めている限り。酷く歪んだ、それでもこの上なく美しい世界に今響き渡る"いたいのいたいの、とんでいけ"君の声とその優しさの前でのみ許される後悔と涙の終着点はきっと嘘つきな君の腕の中。「愛してる」だからその傷に何度でも触れて願うから。"いたいのいたいの、とんでいけ"君と僕が共に生きていける未来を魔法に乗せて、囁いた。
  • ユザキ部長
    2019/04/02
    空虚で退屈。ただ自身の虚しさの深さを自覚するだけだったのに突然表れたのは自分が引き殺した少女。彼女の復讐の殺人に寄り添う内にふと気がついた感情。復讐する君はとても美しい。少なくとも僕にとって復讐は価値があり有意義な事。なぜなら全てが〈先送り〉され〈なかったこと〉になるから。「いたいのいたいの、とんでゆけ」飛んでいった痛さの集合体の様だ。