発売日 : 2012/08/25
《この本は、すべての 『創作』 の極地に至るものである――》
数多一人は超有名劇団 『パンドラ』 の舞台に立つことを夢見てやまない青年。ついに入団試験を乗り越え、パンドラの一員となった彼だったが、その矢先に 『パンドラ』 は、ある人物によって解散を余儀なくされる。彼女は静かに言う。「映画を撮ります」 と。その役者として抜擢された数多は、彼女とたったふたりで映画を創るための日々をスタートすることになるが――。
『全ての創作は、人の心を動かすためにある』
 彼女のその言葉が意味するところとは。そして彼女が撮ろうとする映画とは一体……? 全ての謎を秘めたままクラッパーボードの音が鳴る。

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みんなのレビュー

  • さばかん
    2012/09/05
    衝撃の事実を突き付けられたと思ったらその後に驚愕の真相を投げ付けられた。  これは天才映画監督“最原最早”の物語。到達点へと至る物語。そしてまだ先に進むことをやめない。  なるほど、確かにこれは今までの集大成なのだろう。でもこれで終わらない。  ここまでやるのか、そこまでするのか、やるだろう、するだろう、“彼女”ならば。究極を追究し、究極に手が届く“彼女”ならば。全ては“彼女”を中心に廻っているかような、いや、全ては“彼女”によって廻されているのか。  面白かった。   これだから野﨑まどはやめられない。
  • た〜
    2012/09/03
    荒唐無稽もここまで来れば最早芸術的といえるかもしれない。そして結末はなかなか意表をついてくれる。
  • まりも
    2014/07/03
    こいつはすごすぎる。前5作の野崎まど作品を下敷きにした怪作にして傑作。最後のどんでん返しはこれまでで最大のモノでした。パンドラに入団までは普通に日常モノといった感じなのに最原さんが登場するだけで物語が一気に変わるのは見事。一人の天才の狂気が全てを支配している物語だった。全ての存在は最原さんの掌の上を踊るしかできないのか。ラノベ的な軽さもありながら何とも言えない奇妙な感覚も入った今作。スーパー野崎まど大戦とも言える1冊でした。どうでもいいけど在原露さんの本名が普通すぎるのには吹いた。
  • 黒瀬
    2019/10/07
    超有名劇団パンドラの舞台に立つことを夢見る青年は念願かなって団員となるのだが、ある人物の登場によって一瞬にして崩壊。そんな青年に向かって彼の人物は問う。「映画に出ませんか?」 [映]アムリタからはじまったシリーズは全てこの『2』のための布石。各シリーズの主要キャストが大集合というだけで喜ばしいのですが、集大成とも言えるこの作品を読めたことが何よりの歓び。目まぐるしく変わる状況は560ページという厚さを感じさせず、どんでん返しに次ぐどんでん返しはやはり野崎まど先生。感想はコレだけ言えば充分。大満足だ、と。
  • 流言
    2013/12/07
    『その映画は、きっととても面白いのだ』。今まで一連のシリーズを過剰なほど彩ってきた、超常の妖怪も人工知能の作家もさまよえる不死もスーパーハッカーも、全てはこのエンディングのためのパーツ。これまでのシリーズのメインキャラクターが総登場するお祭り騒ぎであると同時に、それぞれ”主人公”であり”ラスボス”だった人間を作品の一部に過ぎないサブキャラクターと断じる話でもある。そして理不尽に踏みにじる天才性も納得のいく最原最早。シリーズ最初の[映]アムリタからキッチリ全部読んで、しっかり全部楽しめて本当に良かったです。