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『古さ』が売り! 折角ならもっと遡ってやろう。カクヨムネクストで大人気「勇者もの」が書籍化!【制作裏トーク】

角川スニーカー文庫
角川スニーカー文庫
2025/10/29

 新作ラノベの誕生には、笑いあり、涙あり、驚きあり! 作品の見どころから、キャラクター誕生秘話、こだわりのストーリー展開まで、作者自ら語る「制作裏トーク」。第3回目は、10月31日に角川スニーカー文庫から発売される注目作『勇者からは逃げられない』について、著者の富士田けやき先生に語っていただきました。

JRPGのお約束を遡ってやろう! 手垢に塗れているものに今あえて触れてみよう、と思ってできた作品。

 どうも皆々様、わたくし富士田けやきと申します。今回は『勇者からは逃げられない』と言う作品を刊行いただけるとのことで、作者としましてはとてもウキウキしております。端的に申しますと浮かれポンチでございます。
 
 また、本作はカクヨムネクスト出身とのことでwebの方でも連載しております。その辺どうなの、という話も致しますので、是非ご一読いただければ、と思います。

 本作の執筆のキッカケは、「カクヨム」ならばファンタジーにしとくか、ぐらいの安易な考えです。ただそれでは作品にならないのでうんうんと考えました。あえて自分がコッテコテのwebテンプレを扱うのも面白そうですが、折角ならもっと遡ってやろう、と着地したのがJRPGです。(※JRPG Japanese Role-Playing Game とは、日本で独自に発展したロールプレイングゲームのこと)

 JRPGのお約束、当たり前のように存在するそれらが本当に当たり前なのか、ゲームだから飲み込めている部分もあるのでは、などを掘り下げ、きっと多くの先人がとっくの昔にアンサーを出し、手垢に塗れているものに今あえて触れる。温故知新を目指してみよう、と始めたのが本作です。

古いものをベースとした本作は新しく映る、映ってほしいなぁ、映ってくれェ!

 いわゆる「勇者もの」の作品が沢山ある中で、本作の売りは...。
 前述の通り『古さ』かな、と。

 出版業界で隆盛を極める大ファンタジー時代、多くの作者にブラッシュアップされまくった今だからこそ、古いものをベースとした本作は新しく映る、映ってほしいなぁ、映ってくれェ! と願いながら作りました。どうでしょう?

 本作はコミカルな部分も多い作品ですが、全体で捉えるとシリアスな話。バランスはあんまり考えていませんが...一応理屈付けしますと、その物語の温度感ならどこまで崩せるか、そのキャラならどこまで羽目を外せるか、作品ごと、場面ごと、キャラごとにバランスは変わりますので、適宜調整している感じです。

 物語に起伏を、ギャップを作りたい時にはよくギリギリを攻めます。が、たまにやり過ぎて失敗することも……むつかしい。

やはり物語最初に出会ったこの1人とひと振りこそが至高!

 自分は先にストーリーを考えます。今も物語づくりの根幹は変わっていません。ただ、キャラを立てること、この物語をより際立たせるためのキャラ作りは自分の課題であり、最近はそちらに重点を置いております。面白そうに見せるため何が必要か、どうすべきか、なかなか答えは出ません。道半ばであり、日々精進しているところです。

 1人おすすめな子を選ぶなら...
 トロ助!!
 ふざけているようで根は真面目、何より実は寂しがり屋!
 ソロと似た者同士なので波長が合うわけです。
 ね、ヒロインでしょう?

トロ助は主人公ソロだけが呼ぶあだ名。本名はトロール
トロ助は主人公ソロだけが呼ぶあだ名。本名はトロール

 相棒に剣、やはり物語最初に出会ったこの1人と一振りこそが至高! 運命!

 ……逃げたわけではないです。ソアレもヴァイスも推したい。ルーナを推したら怒られそう。シュッツだとふざけていると思われる。とりあえずダークホースで魔王でも挙げておこうかな。今後に期待! ということで。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 皆々様、長い旅路お疲れ様でした。長い間1人黙々と執筆をして来ただけの不束者ですので、色々と至らぬところがあったと思います。慣れるぐらい、こういう経験を積みたいものですね。それには皆々様の御力をお借りして、自分もちびっと頑張って、とにかく皆々様の御力が頼りでございます。
 
  本作、『勇者からは逃げられない』が少しでも楽しんでもらえますようカクヨムネクスト版共々励みますので、末永く応援のほど何卒、よろしくお願いいたします。富士田けやきでございました。

文●富士田けやき

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    ※書籍版とカクヨムネクスト版は設定の違いがあり、ストーリーが分岐していきます
    富士田 けやき (著者) / toi8 (イラスト)
    発売日: 2025/10/31
    角川スニーカー文庫

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