熱を帯びた私の身体。涼しさで癒やされる~。【どんな場所でも小説は書ける #02 図書館】
今回は、小説家・春海水亭さんによる大実験? 既存の常識を塗り替える! 新進気鋭の物語が始まる!! ような予感がするコラムをお届けします。
#02 どんな場所でも小説は書ける
図書館
皆様、こんにちは。春海水亭と申します。
このコラムもとうとう連載第二回にして、この回と次の回を投稿したらネタが尽きる感じになりました。
ただ、編集の方からは本当にあったことだけを書いて下さいとは言われていなかったので、異世界転生編や暗黒闘技場編、宇宙人襲来編などを書いて、この連載から定期収入を得ていきたいと考えています。もしも、本当にあったことだけを書いて下さいと言われていたのを私が忘れていただけだった場合は終わりです。富士見の風になります。
前回はね、辛かったので今回はとっておきの室内!
さて、前回の連載において私は河川敷及びその付近の森で執筆活動を行い、自然の力にやられて断念したわけですが(ちなみに、執筆時間を変えれば上手いこといくのではないかと思い、日課の散歩がてら夜中の三時ぐらいにChromebookと共に、森に向かったのですが、手元が見えないというあまりにも根本的な問題にぶち当たったために断念しました。夏はそもそも野外での活動を控えたほうが良いですね)、今回は屋内です。
というわけで向かう先は県内で一番立派な図書館です。
ちなみに私が住む――まあ具体的な地名を出すと何らかの問題が生じるかもしれませんので、仮にふわふわパンケーキ王国県としますが、そのふわふわパンケーキ王国県立図書館がもっともデカいというか立派な図書館ですが、私が大学時代に住んでいた県は県立図書館よりも市立図書館の方がピカピカな上に、普通に手塚治虫とか水木しげるではない漫画とかも置いてありました。ここらへんの違いは、県立と市立の違いなのか、単純に地域の違いなのか、全然わかりません。あと市立図書館と言うだけでも、三つとか四つとかあったりするので、自分が通えるところがそうというだけで県立図書館を比べるだけでもナンセンスなのかもしれません。
おっと、そんな話をしている間に、陽光とアスファルトの熱で両面しっかり焼かれて死にかけの私が県立図書館に到着しました。
この記事が公開されるのはおそらく十月ぐらいなので、気候は大分人間に優しくなっているでしょうが、私が図書館に向かったのは八月の終わり頃で、残暑どころか暑が暦の上に胡座をかいてどっしりと座っている感じです。図書館に向かうどころか近所のコンビニに向かうだけで死という文字がちらつく季節でした。一応これ過去形で書いているのですが、過去形で大丈夫でしょうか。十月から夏のセカンドシーズンが始まっていたりはしないでしょうか。あながち杞憂とも言えないのが恐ろしいところです。
熱を帯びた私の身体。涼しさで癒やされる~。
入館した瞬間、熱を帯びた私の身体をふわふわパンケーキ王国県立図書館の冷房が優しく受け止めてくれました。館内には自動販売機やカフェもありますが、無料で利用できる冷水機もありますので、作業とか抜きにして、ふわふわパンケーキ王国県で暑さでやられそうになった時に近場にあったら嬉しい施設ランキング二位です。一位の五億円と美味しいお水渡し処には未だに遭遇したことはありませんので実質一位かもしれません。っていうか暑さでやられそうになった時に五億円くれる施設に出会ったら、救急車を呼ぶべきかも知れません。
さて、図書館の涼しさで癒やされたところで作業開始です。
大抵の図書館では作業の際に、受付で自習スペースの使用申請を行い、席が余っていれば利用できる――といった感じでしょうし、この図書館では使用申請を出す必要がありません。正確に言えば利用申請を出せば使える自習スペースとは別に、誰もが自由に利用できるコンセント付きのテーブルがある感じとなっております。
長テーブルを一人一席利用するという感じなので、知らない誰かと隣り合うことはありますが、膨大な資料をいつでも手に取ることのできる無料のコワーキングスペースのようなものです。これは利用しなければ損というものです。
開館から一時間以内に来たからか、席もなかなか空いていました。
私は着座し、ノートパソコン(今回はコンセントがあるのでChromebookではありません)をコンセントに繋いでセット完了です。
その次は、今年発売されたばかりの新型ゲーム機を取り出します。
勿論、皆様のおっしゃりたいことはわかります。
ただ、聞いて下さい。買ったんですよ、あの――具体的に名前を出すと差し支えがあるかもしれないので、仮にKADOKAWA2としますけど、ただその当時、インターネット回線の切り替えを行っていた関係で、私の家にインターネットが繋がっていなくて、画面が光るだけのただの板だったんですよ。
それで、この図書館にKADOKAWA2を持ってきて、旧KADOKAWAからデータの引き継ぎを行って、オンライン対戦が出来なくても良いからせめて、ゲームの遊べる板にしたかったんですよ。
なので人目につかないようにテーブルの下にKADOKAWA2を隠して、ごそごそやっていたんですけど、駄目でしたね。私の持っていた旧KADOKAWAを用意して、あと途中で充電が切れないようにコンセントに繋ぎっぱなしにしておけとのことで、ACアダプタはおろか旧KADOKAWAだって持ってきてないんですから、まあ普通に図書館にKADOKAWA2を持ってきただけのアホになりましたね。
閑話休題。
というわけで作業を開始します。
あ、背後を人が通る。本棚を背にしているので本を取りに行く人とか、あるいは空いている席を求めて彷徨う人が普通に後ろを通るんですね。
まあ、作業中に気になる点と言えばそれぐらいです。
図書館は静かですし、虫も湧きません。蓋付きなら飲み物を持ち込んでもオッケーです。(これに関しては本当に図書館によってルールが異なると思いますが)
ちょっと気分転換がしたいなと思ったら、本だって取りに行けます。
ちょっとの気分転換が二時間ぐらいになるというちょっとした致命傷は負いましたが大丈夫です。
あとお腹が空いた時はカフェに行けばよいのですが、これも席にパソコンを置きっぱなしにするのも難なので、パソコンと一緒にカフェに向かって、カフェで食事をして、席が残っていることをお祈りして――というちょっとした運ゲー要素が入ってきますが大丈夫です。
というわけで作業環境のおかげか、無事に寄稿用の原稿が完成しました。
やはり周囲が皆、何かしらで作業をしていること、そして膨大な量の本に見守られると同時に、見張られているという感覚がスパイスになっていて良いですね。
今更ですが...図書館、良すぎないですか?
この作業環境はあくまでも、ふわふわパンケーキ王国県立図書館の話ですが、大抵の図書館では自習スペースが用意されており、自習スペースでなくても勉強できるテーブルがあることもあるので、執筆はともかく勉強したくなったら図書館に行ってみるのも良いかも知れませんし、単純に本がいっぱいある環境というのも素敵なので是非貴方の街の図書館を訪れてみて下さい。
図書館で本を借りるという行為は作家の利益に繋がらないのではないかと考える方もいらっしゃると思いますが、そもそも図書館そのものが私のような人間の本を買ってくださっているので、まあ、あんまり細かいこと気にしないで大丈夫ですよ。実際読んだら欲しくなるということもありますし。
というわけで、図書館での滞在時間は七時間。執筆時間は五時間といったところでしょうか。
今回の執筆はこれまでにしておきましょう。
お付き合いいただきありがとうございました。
この記事を書いたのはこの人
幼い頃に『ひと』と言う文字は人と人とが支え合って出来ているんですよ、という教えを受けたことがあるが、今思い返すとその文字はどう考えても『人』という文字ではなく、人と人とが喰らいあっているような姿にしか見えなかった過去を持つ。
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