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#01| 新米ラノベ編集者・丸宮と『思春期症候群』| KADOKAWA新米社員が社宅で過ごすメクるメク日々

2025/07/22
サムネイル
●アイコンイラスト/みかきみかこ

 社宅。それは企業が従業員に対して家賃の一部または全部を負担して提供する住宅のことであり、従業員は相場よりも安い家賃で住むことができるという仕組み――。
 KADOKAWAにも実は社宅が存在しており、今回メクリメクルではそこに暮らす新米社員たちのリアルな日々の出来事や、彼ら彼女たちの等身大なエピソードをお届けしちゃいます!
 出版社で働く若者たちの暮らしについて知る機会は案外レアかも!? 将来、出版社で働きたい人たちや、業界に興味がある人たちにも楽しんで貰えたら嬉しいです。


#01| 新米ラノベ編集者・丸宮と『思春期症候群』

 皆さん、どうも。そして初めまして。
 初の一人暮らしがまさかの社宅となりました、新米ラノベ編集者の丸宮です。

 最初なので軽く自己紹介をしようと思います。
 私はアニメや漫画、ラノベが大好きで、オタクとして目覚めた作品は「とある科学の超電磁砲」でした。初めて見たのは中学一年生の頃でした。今でも覚えています。
 最初は「深夜アニメなんて…」と敬遠していたくせに、いざ観てみたら──笑いあり、感動あり、ワクワクありで、思春期の心をがっちり鷲掴みにされてしまったんです。
 おかげで、中二病も無事発症。今もなお進行中です(笑)。

 「とある」シリーズを皮切りに、SAO、ハルヒ、ロクアカ……気づけばアニメ・漫画・ラノベ漬けの毎日。そんな生活を中学時代から続けていたものですから、「将来はエンタメ業界で働きたいなぁ」と自然と思うようになり、気づけば今、編集者としてIP創出のお仕事に携わらせていただいています。
 まさか自分が、オタクとして消費していた側から、作り手側になるなんて……。当時の自分に言っても絶対に信じてもらえないですね。人生って、何があるかわかったもんじゃありません。

 さて、そんな私ですが、出身は神奈川県の藤沢。職場からはちょっと遠めです。
 新生活のスタートとなる社宅への引っ越し当日。荷解きは両親が手伝ってくれましたが、作業がひと段落して帰っていったあと、ふと気づいたんです。

 ――部屋の中には、もう自分しかいない。

 いつもは誰かしらいた家の中も、今は物音ひとつしない。気配もない。ただただ静まり返った部屋。
 このとき、ようやく実感しました。両親の存在って、こんなにも大きかったんだなと。
 アニメやラノベの中で、「失ってから大切さに気づく」なんてセリフは聞き飽きるほど登場しますが、こうして一人きりになってみて、ようやくその言葉の意味がちゃんと腑に落ちました。
 「元気で頑張ってね」と、笑顔で手を握ってくれた母の姿が、今でも忘れられません。

 初めて孤独感に襲われ、心細さを紛らわせようと、気がつけば『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(著者:鴨志田一 イラスト:溝口ケージ/電撃文庫)を手に取っていました。


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青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない/電撃文庫 ©️ 鴨志田 一・溝口 ケージ

 この作品では、「思春期症候群」という不思議な心の病に悩まされる登場人物たちが描かれています。 中でも、ヒロインが患う“人々の記憶から忘れ去られ、存在を認識されなくなる”という症候群は、家族や友人、社会からまるで存在しなかったかのように扱われてしまう。自分を覚えていてくれるのは主人公ただ一人。しかし、その主人公の記憶さえも、少しずつ薄れていく……。
 ヒロインが感じる、あのどうしようもない孤独感。それは、一人暮らしを始めたばかりの私の心情にも、まさに重なるものでした。
 学生時代にも読んでいたはずなのに、このタイミングで再読したことで、あらためて「孤独って、つらいな」と感じさせられました。
 今はもうすっかり慣れて、今度は仕事に追われ続ける毎日を送っていますが……。孤独を感じなくなったのは、同じく社宅に住む同期たちの存在も大きいかもしれません。そんな同期との社宅でのエピソードも改めて紹介できればと思います。

 それはさておき、もしまだ『青ブタ』を読んでいない方がいらっしゃれば、ぜひ一度手に取ってみてください。孤独に寄り添ってくれる、優しくて不思議な作品です。

それでは、新米編集者・丸宮、これにて失礼いたします。

鴨志田一 (著者) / 溝口ケージ (イラスト)
電撃文庫
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「思春期症候群」との戦いが始まる。ちょっと不思議な青春物語・第1弾。
――ねえ、キスしよっか。
 そう言って僕をからかってきた彼女は、しばらくして僕の前から消えてしまった。
 図書館にバニーガールは棲息していない。その常識を覆し、梓川咲太は野生のバニーガールに出会った。しかも彼女はただのバニーではない。咲太の高校の上級生にして、活動休止中の人気タレント桜島麻衣先輩だったのだ。数日前から彼女の姿が“周囲の人間に見えない”という事象が起こり、図書館でその検証をしていたという。咲太は麻衣に協力する名目で彼女とお近づきになるが――?
 海と空に囲まれた町で、僕と彼女の恋にまつわる物語が始まる。

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