『乙女ゲー戦記』著者・うっかり一兵衛スペシャル突撃インタビュー! 受賞作が生まれるまでを赤裸々に語る!!(上)

『乙女ゲー戦記』著者・うっかり一兵衛スペシャル突撃インタビュー(上)
受賞したと軽く家族に伝えたときには母がもう僕以上に驚いて
――「えええぇぇ!?」って叫んでました(笑)。
―――まずは本作『乙女ゲー戦記』が第6回ドラゴンノベルス小説コンテスト大賞を受賞したということで、おめでとうございます。
うっかり一兵衛:ありがとうございます。
―――ずばり、受賞したという報告を聞いたときはどういう感想でしたか?
うっかり一兵衛:受賞の報せを聞いたとき、すごい鮮明に覚えてますよ。メールが来たのが、ちょうど夜勤シフトの終わりで帰宅するときのモノレールに乗ってるときでして、「おめでとうございます」という内容のメールを見た瞬間に車内で思わず「よっしゃあああぁぁ!」と叫んでしまいまして、他の利用者の方からすごい変な目で見られてしまって……(笑)。
―――そんな公共交通機関の場で……!?
うっかり一兵衛:夜勤シフトの終わりで22時過ぎ頃のことだったと思うので、まだ他のお客さんもちらほらいる時間帯でしたからね。
―――確かに、そんな中で突然喜びを露わにしたら、周りは驚いちゃうかもしれません。
うっかり一兵衛:もともと中間発表の結果は見ていたんですけど、ライバル作品とかも多少知っている中で、他の作品もすごく面白かったのでまさか自分の作品が大賞に選ばれるとは思ってなかったんですよ。勝ち目は薄いんじゃないかな、と思っていて。だからこそ、受賞のお報せをいただいたときには信じられないくらい嬉しかったです。
―――中間結果発表の時点で残っていた作品は結構カクヨム上で読まれてたんですか?
うっかり一兵衛:もちろん全部じゃなくて、自分が気になった作品とか一部ではあるんですけどね。特に先行で刊行された部門賞「求道者」を受賞された『ガラス工房の錬金術師』とかは、発表されたときに「確かにアレ面白かったもんなぁ」と感じたので、個人的にすごく印象に残っていたんだろうなと思います。
―――そんな中で本作が〈大賞〉を受賞されたということで、執筆しているときに手応えみたいなものってありました?
うっかり一兵衛:いやー……正直、他の最終選考に進んだ作品を読んで流石に面白いなぁと思っていたくらいですからね。自分の作品はまだまだ荒削りだと思ってましたし、今作が初めてカクヨムに投稿した作品だったので、自信があったかというと……。あとは、仕事の都合で資格を勉強しなければいけなくて、そのほか色んな事情もあって執筆をお休みしていた期間もあったので、それでもこうして読者の皆さんに応援していただき〈大賞〉まで受賞させてもらったというのは本当にありがたいですし、なんというか寝耳に水というのはこういうことかと(笑)。
―――もちろん受賞の報せを聞いたときというのが一番驚いたときだと思うんですが、〈大賞〉を受賞したんだという喜びを実感したのはいつ頃ですか?
うっかり一兵衛:家に帰ってもう一回メールを見返したんですよ。それで、家族に「〈大賞〉取れたみたい」って報告したときに改めて実感しました。
―――そんな他人事みたいな(笑)。ご家族にはコンテストに応募していることはお伝えしてたんですか?
うっかり一兵衛:はい。応募するときから伝えてました。元々は趣味で書いていたWEB小説ですけど、ある程度ページ数というか文字数も溜まってきたということで、記念に応募してみよう! と。なので、それが受賞したと軽く家族に伝えたときには母がもう僕以上に驚いて――「えええぇぇ!?」って叫んでました(笑)。
―――親子揃っていいリアクションをされますねぇ。じゃあもうその後は編集者と打ち合わせが始まったり……?
うっかり一兵衛:はい。受賞後に一度ご挨拶をさせていただいて、その後は改稿の打ち合わせが始まって……という感じでした。
―――なるほど。元々、趣味で小説を書き始めたということでしたが、コンテスト応募のきっかけは何だったんでしょうか?
うっかり一兵衛:一番のきっかけはやっぱり、ある程度大台に乗ってきたのでというところが大きいんですけど、ほかに理由を挙げるとするなら「これだけの人が読んでくれるんだから」という部分でしょうか。ありがたいことに、現在カクヨムで掲載している本作が18,000人以上のフォロワーと、550,000以上のPVという数字になってるんですね。だから、その嬉しさみたいなところは応募と執筆のモチベーションになってると思います。
―――素晴らしい数字ですよね。
うっかり一兵衛:ありがとうございます。元々、僕が小説を書こうと思ったのも好きなものを書こうと思って書き始めたのがきっかけでして。完全に趣味の範囲というか、これで書籍化を狙ってプロになろうみたいな気持ちはありませんでした。それでも毎回作品にコメントが付いたり、数字が増えていくと「ありがとうございます」という気持ちで、すごい励みになっていたので、こうして本を出して新しい読者に届けられるのはシンプルに嬉しく思います。

―――じゃあ逆に執筆をしていて、特に大変だったことはありますか?
うっかり一兵衛:大変というとちょっと違うかもしれないんですが、やっぱりファンタジー世界の物語を書いているので、ことわざとか慣用句みたいな、こちらの世界の言い回しには気をつけましたね。例えば「呉越同舟」とか、作品の世界には呉という国はないわけで、そうするとこんな言葉は生まれないはずだよな、みたいな。
―――本作を読んで、世界観がすごく練られているというか「戦記」というだけあって地に足が着いている感じがしたんですが、そういう細かいこだわりが支えているのかもしれませんね。
うっかり一兵衛:そうだと嬉しいですね。
―――さて、本作は壮大な戦記モノである一方で、「乙女ゲーム転生」という昨今のトレンド的な要素も噛み合ってすごくポップな入り口も設けられているわけですが、その辺りは意識して描かれたんでしょうか?
うっかり一兵衛:自分が物語を作る上で、説得力というか納得感を重視しているから、ということもあるんですけど、「乙女ゲームの世界」という設定を持ち出したのは、単純に物語に美男美女を無理なくいっぱい出したかったからなんですよね(笑)。
―――え、美男美女?
うっかり一兵衛:はい。自分のやりたいことと持っている知識を掛け合わせたら、一番それが相性がいい設定の組み合わせなのかなと思って。中世ヨーロッパ風の世界でファンタジーを描きたいという気持ちと、そこに自分が書きたいものを足していったといいますか。例えば、どうせなら美男美女を出したいと思っても実際の中世ヨーロッパにはお風呂とかもないんですよ。だから美男美女ばかりが出てくるわけもないんですけど、この世界は「乙女ゲームの世界なんで」としてしまえば、お風呂もあって身綺麗な人達が出てくるのが当たり前……という風に舞台を変えてしまうことで違和感がないようにしてみたんです。結果として多くの方に好評をいただける化学反応が起きたのは良かったなと思います。
―――なるほど。その辺のこだわりが、先ほども触れましたが本作品の「地に足が着いた感じがする」という印象に寄与している気がしますね。

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