食欲の秋のおいしい小説特集【1】 アニメ2期放送の「かくりよの宿飯」シリーズなど、おすすめ作品をご紹介!

アニメ2期が2025年10月から放送の「かくりよの宿飯」シリーズをはじめ、おいしそうな調理や食卓の描写が食欲をそそる“おいしい小説”たち!
食欲の秋にぴったりな作品をチェックしてみませんか?
特別なお弁当、収穫したばかりの野菜でつくる夜食、下町の和菓子屋さんの逸品……。
本特集の作品を読めば、秀逸な食事風景とそれにより変化していく登場人物たちのエピソードで、胸がほっと心地よい温かさでいっぱいになるはず。
……けれど、おなかは空いてしまうかも!?
- 1冊目▶2025年10月アニメ2期放映開始!「かくりよの宿飯」シリーズの見所は? アニメ情報もチェック!
- 2冊目▶お隣のベランダで恋と野菜を育んだ!? 「おいしいベランダ。」シリーズ
- 3冊目▶愛すべきミスマッチが面白い『悪魔さんの8畳ワンルーム甘やかしごはん』の見所は?
- 4冊目▶料理が苦手な編集者と准教授が織りなすストーリー『美食学者 朝倉の崇高なる推論』
- 5冊目▶追放令嬢が行き着いた、癒やしのスープを堪能できる『麦の国のスープ暦』
- 6冊目▶『魔王の食卓』は魔王の息子との旅の物語。魔法を使ったピザやパイの料理風景に胸躍る
- 7冊目▶夫婦の秘密は物語のおいしいスパイス!? 「旦那の同僚がエルフかもしれません」シリーズ
2025年10月アニメ2期放映開始!「かくりよの宿飯」シリーズの見所は? アニメ情報もチェック!
あやかしが経営する宿に「嫁入り」することになった女子大生の細腕奮闘記!
祖父の借金のかたに、かくりよにある妖怪たちの宿「天神屋」へと連れてこられた女子大生・葵(あおい)。宿の大旦那である鬼への嫁入りを回避するため、彼女は得意の料理の腕前を武器に、働いて借金を返そうとするが……?
おすすめポイント
現代日本からあやかし達の世界に連れ去られてしまった主人公・葵。
彼女があやかし達のために作る料理シーンは、まるで目の前で調理してもらっているかのように、五感を刺激するような描写! 匂いやじゅうじゅうと音を立てて焼けていくお肉や魚の描写は、ついゴクンと唾液を飲み込んでしまうほど魅力的です。
そして大旦那との関係性も見逃せません。
葵を借金のカタとして「花嫁にする」と公言したかと思えば、それを拒否する葵を試すような素振りも。
その実、陰ながら葵を見守っている様子には、ときめきを感じるとともに、なぜそこまで彼女でなければならないのか――というシリーズを通じた気になるポイントもあって……。
おいしそうな料理に、二人の関係、あやかしたちの事情、そして葵が料理の腕だけを頼りに借金を返せるのかと、見所もりだくさんの作品です。
編集担当によるアニメおすすめポイント
アニメ『かくりよの宿飯 弐』の放送がいよいよスタートしました!
小説1巻刊行から10周年の節目に、7年越しに待望の第2期が実現。
いかに多くの方に、長く愛されているシリーズなのかということが伝わると思います。
アニメ第2期の1話では美しい秋の風景が堪能できます。いつもの面々が葵の料理を楽しんでいる様子だけでもう胸がいっぱいに……まるで旧友に再会できたようなうれしさがあります。
各話の見どころは、なんといってもお料理と食事のシーン。ビーフシチューハンバーグの上で半熟目玉焼きの黄身がとろーっと流れ出したりなど、おいしそうなお料理描写はもちろん、食べているキャラクターたちの幸せそうな表情がたまりません。日頃の疲れが癒やされ、心が満たされること間違いなし!
今こそ触れたい、あやかしファンタジーの金字塔的な作品です。小説・コミック・アニメ、ぜひお好きな形でお楽しみください。
登場人物紹介

“あやかしが見える”こと以外はごく普通の大学2年生。亡き祖父の影響で、料理は作るのも食べるのも大好き。負けん気が強くどんな相手にも物怖じしないが、お腹を空かせたあやかしに自分のお弁当を与えてしまうような優しい一面も。

隠世の老舗宿「天神屋」の大旦那。葵の祖父・史郎とは知り合いであり、史郎の借金のかたに葵を貰いうける約束をしていたらしい。嫁入りを拒む葵の態度にムッとしながらも、彼女の言動全てを楽しんでいるようである。
シリーズ1巻
シリーズ最新刊
コミカライズ
アニメ情報
■原作:友麻 碧
株式会社KADOKAWA/富士見L文庫「かくりよの宿飯」シリーズ
■キャラクター原案:Laruha
■監督:吉崎 譲
■シリーズ構成:金春智子
■キャラクターデザイナー:桂 英未
■オープニング主題歌 「とおりゃんせ」 東山奈央
■エンディング主題歌 「涙のレシピ」 東山奈央
■アニメーション制作:GONZO×マカリア
■製作:かくりよの宿飯 弐 製作委員会
■キャスト
津場木葵:東山奈央 / 大旦那:小西克幸 / 銀次:土岐隼一 / 暁:内田雄馬 / お涼:加隈亜衣 / 白夜:田丸篤志 / 春日:中恵光城 / サスケ:井上雄貴 / 静奈:上田麗奈 / 乱丸:石川界人 / 葉鳥:寺島拓篤 / チビ:石見舞菜香 / 津場木史郎:井上和彦
アニメ「かくりよの宿飯」2期公式サイト
■テレビアニメ1期「かくりよの宿飯」は各配信サイトで好評配信中!

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お隣のベランダで恋と野菜を育んだ!? 『おいしいベランダ。』シリーズ
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進学を機に一人暮らしを始めた栗坂(くりさか)まもりは、お隣のイケメンサラリーマン亜潟葉二(あがた ようじ)にあこがれていたが、ひょんなことからその真の姿を知る。彼はベランダを鉢植えであふれさせ、植物を育てては食す園芸男子で……!?
おすすめポイント
はじめての一人暮らしで自炊がうまくできずに困っている大学生・まもりが、あるピンチをきっかけに憧れのお隣さんとお近づきになっていく……。ここだけ読むとキラキラした恋愛ストーリーのようですが、本作はそれだけじゃない!
憧れのお隣さん・亜潟葉二は「食べられるものしか育てない」というこだわりがある園芸&料理男子。さらに外面はいいのに実は毒舌。
当初はそんな葉二に振り回されるまもりですが、巻数を重ねるごとに、むしろまもりの方が葉二にとってなくてはならない存在になっていき――。ベランダ菜園と食卓を一緒にしながら、変化していく恋愛関係にも注目です!
そして、葉二とまもりの作る料理はつい真似したくなる手軽さもあって、SNSでも「作ってみた」を報告している読者の方も複数。ちなみに、作中に登場する料理は、著者の竹岡葉月さんがほぼ全て作っているそうです。
登場人物紹介

大学生。進学を機に一人暮らしを始めたものの、自炊に四苦八苦。そんな折、憧れのお隣さん・亜潟葉二の園芸男子としての本性を知る。ドSさに振り回されながらも惹かれ、ベランダ菜園の沼にもハマっていく。

20代後半でまもりと出逢う。スーツが似合う長身デザイナー。まもりのピンチを救い、ベランダ菜園からはじまる交流を通じて親しくなっていくが……? 「食べられるものしか育てない」がモットーの園芸男子。
シリーズ1巻
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おすすめポイント
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しかも、本来は女性の「精気」を食べて生きる悪魔のはずなのに、あまりにヘトヘトな様子の主人公・琴子を見かねておいしいご飯を提供してくれるエルゥ。彼いわく、琴子は「ガリガリの子猫」みたいで放っておけないんだとか。そのワードセンスの面白みにも思わずクスッと笑わされ、テンポのいい展開でいざ料理シーンへ。
そして、エルゥの作ってくれる料理は多彩。ドライカレーにピタパン、野菜たっぷりのラタトゥイユ、他人丼、ハンバーグ弁当。
こんな悪魔になら、ときどき家庭訪問してもらってもいいかも?
登場人物紹介

小さな印刷会社で働くお疲れ気味のOL。過去のトラウマから自分を雑に扱いがち。エルゥを警戒するが、すっかり胃袋を掴まれている。

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そして、《麦の国》で初めて口にした素朴なブロス(だしのスープ)、はじめは不器用にこねていたパン、ぷちぷちした食感が面白い麦と野菜の入ったスープ……、ほかにも様々な一皿の、どれもおいしそうなことといったら! 紙面のむこうから良い匂いが漂ってきそうです。
さらに気になるのは、最初は農業に関わる普通の好青年と思ったアルバ。彼もなんらかの秘密を抱えている様子が――。
香り立つスープとパンの描写はもちろん、先が気になってページをめくる手を止めさせてくれない要因がたっぷり詰まった一冊です。
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《山の国》の名家の長女。地味でつまらないと言われ、華がある妹と比べられてきた。婚約者の王太子も妹を愛するようになり、処刑されてしまう。

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祖母の無念を抱えた魔法使いの少女が、魔王の息子と料理の旅へ――
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そこで仏頂面の青年・カナンに出逢い、道中のお礼に急ごしらえの窯でトマトのピザを振舞う。熱々を頬張るとカナンに魔力が戻り、今後のご飯も頼まれてしまった。
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おすすめポイント
香ばしいかぼちゃとひき肉のパイ。豆とオニオンスープ。新鮮で甘酸っぱいオレンジ。
そんな朝食を旅の途中で食べられたら、もう幸せというもの。
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そして、一押しはフェリシアによる料理シーン。こちらも、普通に料理するのではありません。鍋が冷めないよう魔法をかけたり、土魔法でピザ釜を作ってしまったり。想像すると胸躍るシーンに、わくわくせずにはいられないはず。
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食いしん坊の魔法使い。世界を救った英雄に遭うために旅立った。祖母の仇である魔族に一矢報いたいと胸に秘めている。相棒はハリネズミ。

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新婚ほやほやの主婦。良くも悪くも細かいことは気にしないタイプ。伊吹のことが大好き。

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