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第10回 角川文庫キャラクター小説大賞 受賞作特集

2025/09/22
第10回角川文庫キャラクター大賞 受賞作特集

第10回 角川文庫キャラクター小説大賞の受賞作が、2025年9月より3か月連続刊行されます。

過去に澤村御影先生の「憧れの作家は人間じゃありませんでした」シリーズや小野はるか先生の「後宮の検屍女官」シリーズなどを世に送り出した本コンテスト。
注目の最新受賞作3作品を選評と受賞コメントとともにご紹介いたします。

また、2025年9月現在募集中の第12回 角川文庫キャラクター大賞の情報や、過去の書籍化された受賞作品も要チェックです。 注目の受賞作の発売をお見逃しなく!


 第10回 角川文庫キャラクター小説大賞 受賞作


大賞

神雛ジュン (著者) / 丑山 雨 (イラスト)
角川文庫 キャラクター文芸
試し読みする
類いまれな知見をもった皇后の世直し中華ファンタジー!
「男だったら宰相にもなれた」
とまで言わしめた才媛・夢珠(むじゅ)は、
皇位争いで疲弊した大誉帝国を立て直すため、
皇帝と政略結婚をする事となった。
婚姻の儀で皇帝から「皇后とは認めない!」と言われても、
夢珠は愛する国と自らの願望のため政務に励んでいた。
それをよく思わないのが寵妃・九歌。
日に日に悪質になる嫌がらせを止めるため、
夢珠は九歌に皇后の座を賭けた仕事勝負を持ちかけるが――。
世直し中華ファンタジー堂々登場!







《澤村御影先生 選評》

「斜陽国の奇皇后」は、文章力・ストーリーテリング共に優れており、小説として純粋に楽しめました。各キャラクターも魅力的で、主人公の夢珠の仕事ぶりや、ライバルにあたる九歌との勝負は、とても面白かったです。毒殺未遂事件の真相も興味深く、その顛末もきちんと納得のいく形になっており、迷いなく大賞に推せる作品でした。ただ、百合的要素については、無理に入れ込む必要はないんじゃないかなという気も……コメディ要素としては楽しく読みましたが、婚儀の場で夢珠が五娘を見て恋に落ちるシーンや、ラストで九歌が夢珠に対してグイグイくるシーンには、やや唐突感を覚えました。要素的に角川文庫の読者層に馴染むかどうかというのも、ちょっと悩みどころかと。とはいえ、そこが作者としてのこだわりポイントであるならば、別にこのままでもいいと思います。創作には、そういうこだわりも大事といえば大事です(でも、担当さんとは一度話し合ってくださいね)。


《望月麻衣先生 選評》

イキイキとした主人公の言動と、ユーモラスな語り口調で軽快に展開していく物語がとても楽しく、最後までページをめくる手が止まりませんでした。「上手い作品」はこの世にたくさんありますが、「面白い」「もっと読みたい」と思わせる作品となると、そう多くはない。
「斜陽国の奇皇后」は審査を忘れて楽しませていただき、もっと読みたいと感じた作品で、結果は文句なしで満場一致の大賞でした。


《受賞の言葉》

この度は大賞という輝かしい賞をいただき、大変光栄に思っております。選考委員の澤村御影先生、望月麻衣先生、並びに角川文庫キャラクター文芸編集部の皆様には心より感謝申し上げます。創作活動を支えてくれている家族にも、ありがとうの気持ちでいっぱいです。
今回、選考に残っていると初めて知ったのは二次選考の時でした(勘違いで一次選考発表を見落としていた)。本当にびっくりしました。その後はまな板の鯉状態で最終選考会まで過ごしたのですが、毎日賞のことばかり考えてしまうし、想像しすぎて悪夢まで見るし……正直生きた心地がしませんでした。なので受賞を知った瞬間は驚きと感激のあまり「え? え? え? え?」しか言えず、さらに半泣き状態にもなり、見事あやしい人間ができあがりました。きっと傍から見た姿は異様だったと思います。
受賞作「斜陽国の奇皇后」は、ちょっと風変わりな主人公が、滅亡寸前の国を建て直すために皇后となり奮闘するお話です。中華ファンタジーが大好きなので、宮廷・後宮の独特な面白さ(女同士のあれこれとか、事件とか)が伝えられたらいいな、と思いながら書きました。少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
まだまだ未熟な書き手ですが、皆さんに手に取って貰える作品をたくさん創り出せるよう、全力で取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
最後となりましたが、あらためて感謝を申し上げます。
ありがとうございました。



レビューはこちらから! イントロ漫画はこちらから!

優秀賞&読者賞


真帆路 祝 (著) / くろでこ (イラスト)
角川文庫 キャラクター文芸
内裏で起こる奇怪な事件、この〈舌〉で解き明かします!? 平安謎解き物語
平安時代、貧乏貴族の娘である明乃(あけの)は、ある日突然、父から「鬼になってくれ」と頼まれる。
鬼とは、宮中で高貴な人々の食事を前もって毒味するお役目である〈鬼食い〉のこと。
父の懇願と、美味しいものが食べられるという誘惑につられ承諾した明乃は、女房として内裏に出仕することに。
そして明乃には、幼い頃にお日さまの実――橘の実をくれた光の君こと晴久(はるひさ)親王に再会し、お礼を伝えたいという密かな願いがあった。

だがいざやってきた宮中では不穏な事件が続発しており、文武に秀で、怜悧だが厳格な黒ずくめの青年・黒弾正こと源蘇芳(みなもとのすおう)が内裏の「鬼」の正体を追っていた。
明乃は、貧しいがゆえに逆に研ぎ澄まされた味覚と食の知識を活かし、彼と共に事件の真相を解き明かしていくことに……!?


第10回 角川文庫キャラクター小説大賞 〈優秀賞〉&〈読者賞〉W受賞作!


《澤村御影先生 選評》

優秀賞&読者賞となった「平安後宮の鬼食い姫-光の君と黒弾正」は、王道を押さえた作品。平安時代の風俗描写には少々首をかしげる点もありましたが、テンポよく事件が起こり、読者を飽きさせない工夫がされていました。でも、全般的にあっさりしすぎていて、黒弾正と明乃の交流シーンにはもう少し深みが欲しいなという気がしましたし、明乃が黒弾正の正体に気づくくだりももっと描写が欲しいと思いました。もだもだ感や気づきの描写を入れて心情を盛り上げれば、キャラクターの魅力がさらにアップするはず!


《望月麻衣先生 選評》

候補作の中で、真っ先に手に取ったのはこちらの作品です。平安後宮を舞台にしていること、そこで鬼食いと呼ばれる姫がいて活躍するらしい。そんな内容がタイトルから伝わってきて、「読みたい」と思わされました。これは素晴らしいことです。
設定・世界観共に申し分なく、キャラクターも魅力的。ただ、事件の結末の予想がついてしまうという点が少しもったいなかったなと感じました。この辺りは編集者のアドバイスでさらに磨かれるのではないでしょうか。書籍となるのが楽しみです。


《受賞の言葉》

十回目という節目の年に名誉ある賞を賜り、大変光栄です。
応募したのは平安時代の後宮が舞台のお話です。
プロットを立てるときにいくつか資料を読んだところ『更級日記』の作者である菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)のこんな言葉が目に留まりました。
「はしるはしるわづかに見つつ、心も得ず、心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人もまじらず几帳の内にうち伏して、引き出でつつ見る心地、后の位も何にかはせむ」
菅原孝標女は、紫式部が残した世界的名作『源氏物語』の熱狂的なファンだったそうで。
引用の箇所を私流に訳すなら「待ち望んでいた本を手に入れて嬉しい! 帝から后にしてあげると言われても、今はスルーしちゃう。誰にも邪魔されずに源氏物語の世界に浸る方が尊いわ~」という感じでしょうか。
すばらしいお話と出会ってワクワクする気持ちは、千年も昔から変わらないのだなぁとしみじみ思います。 私の作品を選んでくださった選考委員の先生方、読者賞の審査員のみなさまに厚く御礼申し上げます。
『源氏物語』を手にした菅原孝標女が感じたようなときめきを多くの方々に届けられるよう、今後とも精いっぱい頑張ります。
このたびは本当にありがとうございました。


メクリメクルでの読書感想文レビューもお楽しみに




カクヨムテーマ賞(溺愛×異能)


COMING SOON

『皇帝陛下の禍祓士 堕ちた後宮』カバーイラスト



  『皇帝陛下の禍祓士 堕ちた後宮』
嘽(せん)皇国を治める剋帝(こくてい)姫舜(きしゅん)は、視えないものが視える体質だった。どれだけの美人でも、その顔は靄で覆われ、黒い蟲がはりついている。しかも、舜は謎の病に侵され日に日に衰弱していた。不治の病と思われたが、『呪い』を疑った侍医が、古い資料から一つの望みを見つける。それは、今は縁の切れた『禍祓(まがはら)い』の一族、姚(よう)家だった。そうして呼ばれたのが、禍祓士(かばつし)、姚流麗(りゅうれい)。黒い道袍(どうほう)に白い仮面を身につけた彼女を見て舜は驚く。なぜなら彼女の顔には黒い靄も蟲も無く……?
2025年11月25日発売予定!
著:柊
イラスト:syo5
角川文庫キャラクター文芸

《澤村御影先生 選評》

「妖血の禍祓士は皇帝陛下の毒婦となりて」は、黒い霞とそれを喰う蟲、そしてそれを指で巻き取るヒロイン流麗のビジュアルイメージは大変良かったと思います。しかし、言葉の誤用や文章上の難が目立ちました。設定やキャラクターを使いこなせていない部分も多く、こちらもまた色々と勿体ない作品でした。


《望月麻衣先生 選評》

作品の舞台やキャラクターの心情をとても丁寧につづっており、皇帝の苦悩や、禍祓士の女性の想い、さらに作品に対する強い想いも伝わってきました。しかしその一方で、テンポが悪く感じられたのもたしかです。書き込まれた部分をもう少しブラッシュアップすることで、読みやすさと、文体の美しさがさらに際立ってくるのではないかと思いました。


《受賞の言葉》

この度は、カクヨムテーマ賞を賜りまして、心より感謝申し上げます。
今回受賞しました、「妖血の禍祓士は皇帝陛下の毒婦となりて」は、中華ファンタジーが書きたいという思いを込めた一作となっております。私が中華ファンタジーに魅了されたきっかけは、中学一年生頃に、『封神演義』に出会ったことでしょうか。漫画も好きだったのですが、学校の図書室にあった原作にずぶずぶとはまっていました。中華ファンタジーという世界、神話の登場人物達に魅了され、いつか、自分もこんな話が書きたいと思いました。ですが、実を言うと本格的に書き始めたのは、三年ほど前です。若かりし頃は、書きたい思いだけで全く書けず、まともな話一本どころか、千文字にも至らなかったと思います。結局、二十歳の頃には創作を辞めてしまいました。しかし、WEB小説界隈が活発になったこともあり、もう一度筆をとり物語を綴ってみようと思い至った次第です。
そんな、夢を追いかけた本作が受賞とあって、感無量でございます。
本作の主人公、姚流麗は、剣を持ち悪鬼に立ち向かう強い女性です。剣を持ちながらも、恋をしたり、好きな男性の前では淑やかさを見せたりと、様々な姿を見せる女性。そんな強く逞しくも美しい女性の姿と中華ファンタジーを併せた世界を、多くの人に楽しんで貰えたらと思います。


メクリメクルでの読書感想文レビューもお楽しみに





第12回 角川文庫キャラクター小説大賞のご案内


角川文庫キャラクター文芸編集部では、この時代を切り開く、面白い物語と、魅力的なキャラクター。両方を兼ねそなえた、新たなキャラクター・エンタテインメント小説を募集します!

角川文庫キャラクター小説大賞とは角川文庫キャラクター文芸編集部による新人賞です。
角川文庫キャラクター文芸は、一般文芸レーベル「角川文庫」の中で、魅力的なキャラクターが活躍するエンタメ小説を世に送り出してきました。
ミステリ、ファンタジー、ホラー、SF、あやかし、青春、恋愛、お仕事小説、感動の人間ドラマなど、あらゆるジャンルを横断する、優れたエンタテインメント作品の数々。そこに共通するのは、魅力的なキャラクターと舞台設定です。この物語の先で、このキャラクターに再会したい。そんな風に思えるような作品に出会いたいと思っています。
そして、次代のエンタメを担うあなたに出会えることを期待しています!


■対象
魅力的なキャラクターが活躍する、エンタテインメント小説。
ジャンル不問。ただし、日本語で書かれた商業的に未発表のオリジナル作品に限ります。

■賞/賞金
大賞:100万円
優秀賞:30万円
奨励賞:20万円
WEB読者賞:10万円
カクヨムテーマ賞:10万円(*『カクヨム』からの応募作品のみ)

※該当作品が選出されない場合もあります。
※大賞受賞作品は、株式会社KADOKAWA(以下「弊社」といいます)より出版される予定です。
※大賞以外の受賞作品も、弊社より書籍として出版されることがあります。
※カクヨムテーマ賞については、他の賞との同時受賞の可能性があります。
※賞金は、消費税込の金額であり、また、別途源泉所得税が徴収される場合があります。

■選考委員
篠原悠希(作家)/白川紺子(作家)【五十音順】/角川文庫キャラクター文芸編集部

■新選考委員紹介

アイコン
篠原悠希(しのはら ゆうき)
作家。代表作に「金椛国春秋」シリーズ、「金椛国駿風」シリーズ(ともに角川文庫)など、著作多数。
SNSアカウント https://x.com/persian_pardeis

どのようなエンタメジャンルでも歓迎です。魅力的なキャラクターが彼らの生きる独自の世界に読み手を引き込んで、ともに悩んだり、泣いたり、ドキドキしたり、憤慨したり、喜んだり、あるいは大活躍もしたりして。時間を忘れて楽しめ、作者の大好きが伝わってくる、そんな素敵な物語をお待ちしています。


アイコン
白川紺子(しらかわ こうこ)
作家。代表作に「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)、「烏衣の華」シリーズ(角川文庫)など、著作多数。
SNSアカウント https://x.com/koukoshirakawa

「このキャラクターたちの物語をもっと読みたい!」「読んでいたらとまらなくなって夜ふかししていた」「この作品の世界観にずっと浸っていたい」子供の頃からそんなふうに小説の世界に没頭してきました。夢中になれる物語の持つ力はすごいものです。新たな傑作が世に出る一助になれたら幸いです。



■詳細はこちらをチェック!
https://kadobun.jp/awards/character-novels/#entry

過去の受賞作品


角川文庫キャラクター大賞を受賞した書籍化作品をご紹介します。

第9回 角川文庫キャラクター小説大賞 優秀賞&読者賞


佐木 真紘 (著者)
角川文庫 キャラクター文芸
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第9回角川文庫キャラクター小説大賞 優秀賞・読者賞受賞作!
大陸の東側に位置する国家・翠国。
その一藩の名家の娘・莉恩は、望まぬ縁談を断るため、文官の登用試験を受けることに。
おとなしく人見知りな性格の莉恩だが、図らずも試験を通過し、信簡局(しんかんきょく)と呼ばれる場所で働き始める。
そこは官吏の私信を検閲する部署。莉恩は初めての文官の仕事に戸惑いながらも、私信を検める業務に明け暮れる毎日を送っていた。

そんなある日、莉恩は一通の私信に、言葉遊びの暗号が込められていることに気づく。
それを解読すると、そこには国への謀反を示すメッセージが浮かび上がった。
不穏なものを感じた莉恩と同僚の文官・劉彗は差出人の元へ向かうが、そこにあったのは惨殺された死体だった――。

内気な文官少女×過去に傷を抱えた青年文官のバディが国家存亡の危機に立ち向かう!


第8回 角川文庫キャラクター小説大賞 大賞&読者賞


翁 まひろ (著者) / くろでこ (イラスト)
角川文庫 キャラクター文芸
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痛快でほろりと泣ける、よみがえり少女×破戒僧バディの江戸怪異譚!
時は5代将軍・徳川綱吉公亡きあとの江戸時代。
男勝りで正義感あふれる武家の女・菊乃(きくの) は、病によって享年28で世を去るも何も未練はなかった。
――はずだったのだがその15年後、7歳の姿で江戸の町に黄泉(よみ)がえってしまった!
年相応にすぐ腹が減り眠くなり、ふとしたことですぐゆるんでしまう涙腺とは裏腹に、体はなぜか身に覚えのない怪力と験力を宿していた。
菊乃はひょんなことから、天下の降魔師(ごうまし)を名乗る、整った顔だがどこか「騙り」めいたところのある破戒僧・鶴松(つるまつ)に出会いその力を見込まれ、
自身の成仏の方法を探してもらう代わりに、日本橋の薬種問屋に出るという獣の化け物退治を手伝うことに。
同時に、生前幼くして死に別れた息子・善太郎と再会するが、旗本の嫡男のはずの息子はなぜか浪人に身をやつしていて……?

こんなバディを待っていた!
ユニークな組合せと軽妙な会話が最高な2人組による、とことん痛快でほろりと泣かされるお江戸人情×怪異退治!
第8回 角川文庫キャラクター小説大賞〈大賞〉&〈読者賞〉ダブル受賞作。


第6回 角川文庫キャラクター小説大賞 大賞&読者賞


小野はるか (著者)
角川文庫 キャラクター文芸
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後宮にうずまく疑惑と謎を検屍術で解き明かす、中華後宮検屍ミステリ!
「死王が生まれた」大光帝国の後宮は大騒ぎになっていた。
謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で赤子の遺体が見つかったのだ。
皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明(えんめい)の目にとまったのは、
幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花(とうか)。
花のように愛らしい顔立ちでありながら、出世や野心とは無縁のぐうたら女官。
多くの女官を籠絡してきた延明にもなびきそうにない。
そんな桃花が唯一覚醒するのは、遺体を前にしたとき。彼女には、検屍術の心得があるのだ――。
後宮にうずまく数々の疑惑と謎を検屍術で解き明かす、中華後宮検屍ミステリ!


第6回 角川文庫キャラクター小説大賞 奨励賞


春間 タツキ (著者)
角川文庫 キャラクター文芸
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王宮の謎を聖女が解き明かす!大注目の謎解きファンタジー。
霊が視える少女ヴィクトリアは、平和を司る〈アウレスタ神殿〉の聖女のひとり。しかし能力を疑われ、追放を言い渡される。そんな彼女の前に現れたのは、辺境の騎士アドラス。「俺が“皇子ではない”ことを君の力で証明してほしい」この奇妙な依頼から、ヴィクトリアはアドラスと共に彼の故郷へ向かい、出生の秘密を調べ始めるが、それは陰謀の絡む帝位継承争いの幕開けだった。皇帝妃が遺した手紙、20年前に殺された皇子――王宮の謎を聖女が解き明かすファンタジー!


第5回 角川文庫キャラクター小説大賞 優秀賞


沙川 りさ (著者)
角川文庫 キャラクター文芸
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願いは、ただひとつ。――共に生きたい。許されるなら。
薬師の文梧は、記憶を失った白皙の青年・主水と旅をしている。
30年前、平穏なこの地は一変した。青山領の民が突然変異して「鬼」となり、小寺領の民を襲い血を吸って殺すようになったのだ――。
彼らは、故郷から逃げ出し、身を潜めて暮らしている小寺の民を救うべく、山々を巡っているのだ。

一方、今から3年前。小寺の若き領主・菊は、屈託なく笑う勇敢な少年・元信に窮地を救われる。
青山の餌食となっている領民を護るため、もっともっと強くなりたいと願っていた菊は、元信に願い出て剣術を教えてもらうことにした。
やがて惹かれ合う2人。けれどそれは、禁忌の恋に他ならなかった……。

――旅の途中、文梧と主水は竜胆という少女と出会う。
竜胆はかつて仕えていた領主・菊を捜していた。菊は3年前、青山領に捕らわれたのだ。
旅を共にすることになった3人だが、やがて文梧は「一枚、二枚――」と何かを数える謎の声をしばしば聞くようになる。
心にこびりついて離れないその声を聞くたびに、文梧の胸はざわついて……。

出逢ってはならない者たちが出逢う時、物語は動き始める。
人の情と業が絡み合う、美しくも残酷な「和製ロミオとジュリエット」!

第5回角川文庫キャラクター小説大賞〈優秀賞〉受賞作!
選考会でも「筆力がある」「作り込まれた世界観でぐいぐい読んでしまった」「熱量を感じる」と絶賛を受けた作品がついに刊行!


イラスト/月岡月穂


第4回 角川文庫キャラクター小説大賞 優秀賞


朝田小夏 (著者)
角川文庫 キャラクター文芸
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おてんば巫女の大本命中華ファンタジー!
新米巫女の貞彩蓮(ていさいれん)は、
景国の祭祀を司る貞家の一人娘なのに
霊力は未熟で、宮廷の華やかな儀式には参加させてもらえず、
言いつけられるのは街で起きた霊的な事件の調査ばかり。
その日も護衛の皇甫珪(こうほけい)と宦官殺人事件を調べていると、
美貌の第三公子・騎遼と出会う。
なぜか騎遼に気に入られた彩蓮は、
宮廷の後継者争いに巻き込まれていき……!?


第2回 角川文庫キャラクター小説大賞 大賞


澤村 御影 (著者)
角川文庫 キャラクター文芸
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事件×お仕事コメディ! 第2回角川文庫キャラクター小説大賞大賞受賞作
文芸編集者2年目の瀬名あさひは、憧れの作家・御崎禅の担当となる。映画好きで意気投合するものの、彼は実は吸血鬼であり、人外の存在が起こした事件について、警察に協力していることがわかる。捜査より新作原稿を書いてもらいたいあさひだが、警視庁から様々な事件が持ち込まれる中、御崎禅がかつては人間であったこと、そしてそこに秘められた悲しい過去を知っていく。第2回角川文庫キャラクター小説大賞≪大賞≫受賞作。


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