2025年完結『伝説の勇者の伝説』シリーズ著者・鏡貴也&イラストレーター・とよた瑣織、最後のぶっちゃけスペシャル座談会‼
担当編集の予言通り、ドラゴンマガジンの誌上企画・龍皇杯で読者投票を勝ち上がり、ファンタジア文庫を代表する作品となった『伝説の勇者の伝説』。無気力なのに能力はチート級という、脱力系主人公の走りとなったライナ・リュートは、タイトルが示すように、24年もの間読者に愛され続けるという伝説を打ち立てた。
その生みの親である著者・鏡貴也と、イラストレーター・とよた瑣織は、最終巻に至るまで、どんな想いで『伝勇伝』と向き合ってきたのか――。
完結後だからこそ言える裏話満載で、スペシャル座談会をお届けします!
〇龍皇杯とは
月刊ドラゴンマガジン誌上で大人気だった読者参加型企画『龍皇杯』。
編集部コンペで選りすぐられた5~6本の短編の中から、読者投票で連載作を決定するというこの戦いには非情なルールがあった。連載作=龍皇になれなかった作品は、そのまま封印されてしまうというのだ。先を読みたい! と思った作品は読者が1票を投じ、龍皇にするしか救う方法がない――。そんなガチな闘いをくぐり抜け、圧倒的な読者の支持とともに第四代龍皇として『伝勇伝』は歩み始めたのである。
『伝説の勇者の伝説』シリーズとは
あらすじ
超無気力人間のライナ、野望を胸に秘めた青年貴族シオン、そして変人にして美貌の持ち主である女騎士・フェリス。この三人の物語こそ『伝説の勇者の伝説』シリーズの根幹を成す物語。
すべての始まりは、国の異端児たちを集め戦争の道具として教育するための施設・ローランド帝国王立特殊学院で、ライナとシオンが出会ったことから。複写眼(アルファ・スティグマ)と呼ばれる魔眼を宿したライナに、シオンは「俺についてこい」と語る。シオンはローランド帝国国王の愛妾の子だったのだ。
革命を志すシオンはやがて若くしてローランド国王となり、ライナに命じる。
「伝説の勇者の遺物をかき集めてきてほしい」と。
相棒に凄腕の美少女剣士・フェリスを迎えて始まった、世界各地に散らばる「伝説の勇者の遺物」探しの旅は、同じように遺物を狙う各国のエージェントや遺物保持者の争奪戦へと発展していき――?
登場人物
本編の主人公であり、万年やる気なしな上に生きがいは昼寝という、一見すると怠惰なダメ人間。だが、あらゆる魔法を見ただけで解析してしまう〈複写眼〉(アルファ・スティグマ)という魔眼を宿しており、更には超一流の魔法の腕前を持ち、おまけに体術も含め非凡な才覚を発揮する最強の男。魔眼持ちであるが故に虐げられてきた過去があるが、それ故に誰よりも平和を望み、同時に過酷な運命へと巻き込まれていく。
女神と称されるほどの美貌と、また鉄や雷を容易く切り裂いて見せる剣術を併せ持った本作のヒロイン。「剣の一族」と呼ばれるエリス家の長女で、ライナの冒険の相棒となる。寡黙な性格だが、ライナに対しては絵に描いたような傍若無人っぷりを発揮し、彼をこき使う。口調や性格は男らしくさっぱりしている。だんごに目がなく、だんご神の信奉者でもある。
ローランド帝国の若き国王。実力、容姿、カリスマ性……全てを兼ね備えた「英雄王」として国民に絶大な人気を誇る。しかし、自身は前国王の妾の子供であり、兄弟たちから疎まれ特殊学院に放り込まれたという過去を持つ。「誰もが平等で、争いのない国」という理想の為、誰にも弱みを見せようとしないが、ライナやフェリスたちの前ではくだけた態度を見せる。
著者・鏡貴也&イラストレーター・とよた瑣織のスペシャル座談会
初代担当Mの編集スタイル
『伝勇伝』3代目担当K(以下K):まずは完結おめでとうございます! 今回は、完結記念スペシャル座談会ということで、3代目担当のKが進行を務めさせて頂きます。
鏡貴也(以下、鏡):Kさん、2代目じゃなかった?
K:初代担当Mさんと私の間に、ごく短い間ですけど当時の編集長が担当だった時期があったじゃないですか。
鏡:あ! ありましたね、すごい短かったけど。(笑)
とよた瑣織(以下、とよた):Kさん、ドラゴンマガジンの特集の時にお手伝いされていたので、担当してもらう前からお付き合いはありましたよね。
K:『伝勇伝』は龍皇杯参加作品を決める編集部コンペの時からめちゃくちゃ面白いと思っていたので、現場に入れて頂いて嬉しかったです。
『伝勇伝』は、鏡さんが『武官弁護士エル・ウィン』で第12回ファンタジア長編小説大賞準入選受賞後の1作目になるんですよね。
鏡:そうです。当時の担当Mさんに龍皇杯出るから短編書いてって言われたんですよ。それで出した原稿が「つまんないから、これじゃなくて料理もの書いて」ってダメ出しされて。僕は「わかりました~!」って電話切って、くっそ~、料理ものってなんだよ、ふざけんな!となりまして。(笑)そこから新しく書いたのが龍皇杯の原稿ですね。
とよた:え~! 私、Mさんにダメ出しされたことないよ!(笑)
K:なんか私の知っているMさんっぽいエピソードです(笑)
とよたさんは、ドラゴンマガジンに持ち込みされたご縁でイラストを担当されるようになったと聞いています。
とよた:そうですね。専門学校からデザイン会社に就職しようとしてた時、その前にイラストの持ち込みをしようと思ったんです。私、『スレイヤーズ』大好き世代で、あらいずみるい先生にあこがれていたので、持ち込みするならドラゴンマガジンしかないなって。そしたら『魔術士オーフェン』のコラムのお仕事を頂けて、半年くらいたった時かな。Mさんから電話を頂いたんです。「今度の龍皇杯に参加する作品のイラストをお願いしたい。自分としては優勝するのが決まってるくらい面白いから、連載になると思うので、よろしく」ということで。それで龍皇杯の原稿もらって、神保町のマクドナルドで読んだら「神小説じゃん!」ってなりました。
鏡:え~! Mさんそんなこと言ってたの? 僕、初めて聞いたよ。Mさんに1回も褒められたことないもん。「ダメだな、課題ばっかりだな」みたいな。
K:当時、編集部は固定電話で自分の席で打合せの電話をかけるんですよ。だから席が近い先輩が打合せしているのって、聞くともなしに聞こえるんです。Mさんが原稿のリテイクで「主人公が逆転するには、こういう方法とこういう方法と…」と、かなりいいアイデアを複数出した後に、「編集者の俺がこれだけできるんだから、作家の君はもっと面白いこと考えつくよね」って言っていて、先輩ながらなんて恐ろしいことをするんだこの人!と、思った記憶はあります……。
鏡:(笑)でも僕、Mさんのこと好きでしたよ。
K:言われることが的確だったから厳しくても、編集者に対する不信感はなかったということでしょうか。
鏡:そうですね。まあ原稿の直し方は、ひとつもいうこと聞いてないし。(笑)結局、僕はそうやって育てた方が、いい原稿ができるってMさんにはわかってたってことなんじゃないかと思います。
とよた:私は、全然怒られたことないですね。リテイクもそんなにないですし。褒められて育ったタイプ。多分、いろいろ言われたたら死んじゃうタイプだと思われたのかも。
鏡:ところで、これ文章でニュアンス伝わるかな? 大丈夫? 『伝勇伝』の座組は、いい関係なのに、仲良く見えないかもしれない。(笑)
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