Ζガンダムとの出会いからガンプラの道へ。“好き”の延長線上に仕事があった【アンバサダー/東雲うみ】

きっかけは「踊ってみた」動画。アイドルにハマった中学時代
──東雲さんが現在の仕事に就くきっかけとなったカルチャーとの出会いを教えてください。
東雲うみ(以下:東雲):一番、影響されたのはアイドルですね。中学生の頃からハロプロのオタクで、中でも℃-uteの鈴木愛理ちゃんと岡井千聖ちゃんのファンだったんです。
──それは歌番組からハマったのでしょうか?
東雲:実はそうではなくて、私、ニコニコ動画の『踊ってみた』文化がすごく好きで、いつも見ていたんです。その時期に岡井ちゃんが『踊ってみた動画』をアップして、「可愛い女の子だな~!」と思ったのがきっかけです。それから℃-uteにもハマり、Buono!、モーニング娘。とどっぷり浸かったっていきました。
――どういうところが魅力的に映ったのでしょうか?
東雲:歌やダンスももちろんですが、岡井ちゃんも愛理ちゃんも写真集を出していたんです。そのグラビアで水着も披露していたのですが、すごく爽やかで!「なんて女性の身体は美しいんだ!」と思っていました。当時から鑑賞物としてアイドルの写真集を集めるのが趣味だったんです。
――ハロプロやボカロ文化から歌手やアイドルを目指した人はよく聞きますが、そのプロポーションに惚れ込んで写真集を集めるところは東雲さんらしいですね。
東雲:美しい女性の写真が何よりも好きで。あと、MV(ミュージックビデオ)も好きで、ライブDVDも大好きで買っていました。気に入ったMVがあると、1日で30回以上繰り返し見て、好きなシーンをスクショしたり。
トレンドを追うよりも、自分が興味を持ったものを優先
――他の趣味・特技で言えば、大道芸もお好きだそうですね。
東雲:小学生のときにバルーンアートを教えてもらっていて、それを本格的に人前で披露したいなと思い、女子校で大道芸部を設立しました。そのときは5人くらい部員が集まって、私が教えていましたね。
――実際に人前で披露したことも?
東雲:大会に出てパフォーマンスをしたりしましたね。本格的なものでは、バルーン10本を組み合わせて大きな作品を作ることもありました。
――のちにモデラーにもなるわけですが、昔から手先が器用なんですね。
東雲:器用というよりも、そういう作業が好きですね。小学生のときの自由研究でも、私はずっとミニチュアを作っていたんです。お花屋さんやドーナツ屋さんの。お花屋さんだったら、花をドライフラワーに加工したり、花瓶も、リップの蓋を塗装したりして。ドーナツだったら、紙粘土を使って自作していました。当時から専用のものではなくて、身の回りにあるものを加工するのは好きでしたね。
――それは、加工すればこうなる、という完成形が頭の中で浮かんでいるのでしょうか。
東雲:そうですね。完成形を思い浮かべるのは好きでした。
――それ以外にも、読書にハマった時期もあるそうですね。
東雲:高校生のときは遠藤周作や太宰治などの純文学を読んでいましたね。SFやミステリー、例えば星新一やアガサ・クリスティとかも好きでした。ライトノベル系だと、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(著:伏見つかさ イラスト:かんざき ひろ/電撃文庫)ですね。その後、放送されたアニメにもめちゃくちゃハマりました。
――当時、女子校生でSF好きだと、周囲に共感してもらえる人は少なかったのでは?
東雲:はい。ただ、トレンドを追うよりも自分が興味を持ったものを優先していました。本を買いに行くときも、人気かどうかよりも、パッと目について面白そうなものを何冊かピックアップして購入していましたから。
――東雲さんが考える読書の魅力は?
東雲:読書って、読んでいる時間だけは本当に空想の中でいられるのが好きですね。現実でどんなにしんどいことがあっても、読んでいる間は別世界に行けるので。

ガンプラ処女作はΖガンダム。配信は無駄を削ぎ落としてテンポよく
――カルチャーに没頭する時間を大切にしていたのですね。そして大学生の頃、『機動戦士Ζガンダム』の主人公機「Ζ(ゼータ)ガンダム」のガンプラに一目惚れしてから、プラモデルにハマったと。
東雲:はい。それまで洋画は好きで、『パシフィック・リム』などは観ていたのですが、日本のロボットアニメには触れてきませんでした。ですが、Ζガンダムのガンプラに出会って、「このカッコいいロボットはなに!?」と衝撃を受けて、Ζガンダムが登場する背景が知りたいと、作品も観るようになりました。
――ガンプラ製作はどのようにはじめられたんですか?
東雲:興味を持っていろんなモデラーさんのSNSでガンプラをチェックしていたら、全然違うカラーリングになっていたり、よりカッコよい造形になっていたりして驚きました。塗装もディテールアップもできる自由度の高さにひかれて、すぐに道具を買い集めましたね。
――――では、製作技術もSNSから学んだのでしょうか?
東雲:プラモデルを趣味にしている人は多いので、もちろんSNSもチェックしつつ、本屋さんでプラモデルにまつわる書籍を初心者向けから上級者向けまで買いあさりました。上級者向けに掲載されていたプロの作例を見て「このレベルまで行けるんだ」という確認していましたね。
――その後、社会人経験を経て、グラビア活動をはじめます。その中で、モデラーとしての活動を並行させようと思った理由は?
東雲:グラビア撮影のときのスタッフやフォトグラファーの方々は男性が多いので、ガンプラなど趣味の話になることも多かったんです。そこで作例の写真を見せたら「絶対みんなに見せたほうがいい!」と熱く勧められて。ただ、グラビアやってプラモデルもやっていると、色眼鏡で見られたり、売名行為と思われたりするかもと、当初は怖気づいているところがありました。
――そんな苦悩もあったんですね。しかし動画をアップしたら驚異的な再生数を記録しました。
東雲:どうしたら自分ならではの配信ができるのか考えた結果、本当にちゃんと自分で作っているということを伝えるために、ガンプラを作る過程を1から10まできっちりと追って、私の手元と顔を映しながら配信することにしました。
――編集もかなり巧みですよね。ガンプラの製作過程も抑えつつ、ご自身の魅力も伝えられる映像です。
東雲:小学生の頃からニコ動も見ていましたし、普段からYouTubeも見ていたので、「これはつまらない」と直感的に思う映像は飛ばしちゃうんです。なので、自分が編集するときも、スキップされるような映像は作りたくない。極端な例では、何十時間もRECしているものから8~10分にまとめてしまいます。なるべく無駄は削ぎ落として、「もう終わっちゃった」と思われるくらいのテンポ感にするのは意識していますね。

商品は自分自身。社会人時代に身につけた魅力の伝え方
――なるほど。昔から大量の動画を見てきているから、無意識に編集のセンスも磨かれてきたかもしれませんね。そのセンスは、グラビアでもそのセンスが発揮されているように思います。自分の身体をどう見せるかを常に考えているというか。
東雲:そういうところはあると思います。私はゴールが見えていないと活動できないタイプなんです。グラビア活動であれば、「絶対に雑誌の表紙になる!」「写真集を出したい!」というのは叶えるべき目標で、そこまでは辞められないと思っていました。
――それがモチベーションにもなっていたと。
東雲:そもそも、活動当初はグラビアを家族に反対されていたので、結果を残して認めてもらうしかありませんでした。自分のビジョンは常にノートに書き出しておいて、それを口にできるように。なんとなくグラビアやっていても、読者には伝わらないんです。何か目標を持っているのが明確にわかった方が応援もしやすいじゃないですか。例えば『ヤングジャンプ』(集英社)の巻末グラビアが決まったときも、それで満足せずに「表紙になりたい!」と言っていました。その熱意が伝われば、読者の方々がアンケートに書いて送ってくださったりするので。
――そういう目標の可視化や計画性は、一度就職した経験も活かされていそうですね。
東雲:それはすごくありますね。就職したのはBtoBの専門商社で、商材を売る側の営業担当でした。商談ごとにパワーポイントで資料を作っていたのですが、商品は同じでも、お客さんによって狙っているターゲット層が違ったりすることが普通でした。なので、資料の内容は臨機応変に変えていました。
――商品の魅力を「どう伝えるか」を常に考えていたと。
東雲:今は自分自身が商品なので、どう伝わるか、どう伝えるかはとても大事。与えられた場所によってビジュアルや服装、発言の仕方などを変えていくことは意識しています。それは社会人経験があったから得られた考え方だと思います。仕事でも趣味でも、真剣に向き合ったことは絶対無駄にはならないと実感しました。実際に、グラビアやガンプラは自分の“好き”という気持ちの延長線上に現在の仕事があります。これからも、“好き”を大切にしながらお仕事にも向き合っていきたいです!

※特別インタビュー第1弾 : 「とにかく“やるしかない”状況にもっていく! 東雲うみ流のチャレンジメソッド」
取材・文●森樹撮影●長峯正幸

東雲うみ(しののめ・うみ)
9月26日生まれ。グラビアモデル、コスプレイヤー、YouTuber、モデラー。2020年にグラビアデビュー。SNSの総フォロワーは370万人以上。趣味はガンプラ、油絵、羊毛フェルト、筋トレ。特技は華道、弓道、バルーンアート、大道芸。写真集に『うみのなか』(ワニブックス)、『きみはうみがすき』(トランスワールドジャパン)、『うみの近く』(講談社)などがある。
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