『悪役家族』大黒尚人×『フルメタFamily』賀東招二スペシャル対談! ライトノベルで“家族”を描くということ(下)

大黒尚人×賀東招二 スペシャル対談インタビュー(下)
東西さんに感謝しないと。僕からのお礼も
お伝えしておいてください(笑)。
―――家族をテーマに描くということで、様々な苦労があったと思いますが、大黒先生はどんなところが大変でしたか?
大黒:僕は独身なので、家族生活の描写がすごく大変でした。分からないところは担当編集さんにアドバイスをもらったりもしました。
賀東:でも、よく調べてるよね。自転車の後ろに子供を乗せるの、小学生は駄目だとか。
大黒:そのあたりは色々と調べました。
賀東:まあ、子供を育ててないと知らないことも多いからね。
大黒:食事のシーンで「煮干しで出汁を取った豆腐の味噌汁」とかも出してみたんですけど、あれは僕の実家で作られていたお味噌汁がモデルになってます。ただ、ビーフシチューだけは作ったことがなかったので、レシピを調べて書きました。
賀東:僕の場合、自分の経験を作品に落とし込むことはそんなにないけど、まあ『Family』の安斗はわりと自分の子供と似ているところがあるかも。
大黒:『Family』のあとがきにも書かれてましたね。
賀東:放っておいたらずっとiPad見てて。ものすごい物知りなんですよ。そのあたりは安斗と似てるかもしれない。あとは家族チャットの場面。いま家族間でチャットするってどこの家庭でも普通にあるから、そのあたりは実生活から作中のシーンに取り入れたりしています。
―――『悪役家族』のアルフもそのうちスマホデビューするかもしれませんね。
大黒:そうですね。じきにそうなるでしょう。
賀東:ずっとTikTokばかりやっていて、いい加減にしろ、っていう感じになったりして(笑)。
大黒:アルフは、僕の中ではとにかく元気な子くらいのイメージだったんですけど、イラスト担当の東西先生からキャラクターデザインが上がってきたとき、え、こんなに可愛らしい子だったの!? とビックリしました。
賀東:そうなの? 僕、まだ見てない。いま見られる?

―――はい。(アルフのイラストを画面に映し出して)こんな感じですね。
賀東:おおっ! すごくいい! いいよ、本当に! こんなに洗練されたデザインになるなんて。どうしても昭和っぽい大黒くんの文体からよくぞここまで! これは期待できるね。
大黒:いや、本当に可愛いんですよ。ありがとうございます、東西先生。
賀東:東西さん、大黒くんにないセンスを全部持ってる(笑)。
―――作家とイラストレーターの掛け合わせの妙ですね。
賀東:『アナザー』を一緒にやってるときに思ったんだけど、大黒くんの文体ってなぜか昭和の匂いが滲み出てるんだよね。ちゃぶ台を囲んで家族みんなで飯を食ってるときに見ているテレビがブラウン管みたいな(笑)。
大黒:下手したら、そのテレビの上にアンテナ乗ってます(笑)。
賀東:『悪役家族』の文体はさすがにアップデートできてるけど、まだ平成の感じかな(笑)。でもイラストのおかげで一気に令和に来た感じがある。東西さんに感謝しないと。僕からのお礼もお伝えしておいてください(笑)。
―――『悪役家族』そして『フルメタFamily』の今後の展開について伺いたいと思います。大黒先生は続巻の展開はもう考えていらっしゃいますか?
大黒:あくまで続巻を出せたら、という部分もありますが、考えてはいますね。『悪役家族』は今のところ血の繫がっていない偽物の家族なので、どこまで家族らしいイベントを入れ込めるか悩んでいます。
賀東:そういうところにどんどんスポットを当てていけば、もっと面白くなると思う。家族を描くとなると、どんな苦労があるのか、どんな笑いのネタがあるのか。色々あるはず。
大黒:そうですね。
賀東:やっぱり「弟がほしい」っていうのやってよ(笑)。あ、でもやるとしたら妹の方がいいかな?
大黒:確かに、そうかもですね。
賀東:双子でもいいんじゃない(笑)? レナが妊婦になってさ、それだけでイベントずくめじゃん(笑)。それで、いざ生まれたらもう大変、大騒ぎだよ。
大黒:弟ができて、かまってもらえなくなるアルフとか。
賀東:うわっ、おいしいネタ(笑)。
大黒:僕、長男なんですけど、親の話によると妹が生まれたとき、まわりの人に「僕のこと好き?」って聞いて回ってたらしいんです(笑)。僕自身そのことは憶えてないんですけど、やっぱり妹に親を取られると思ったんでしょうね。
賀東:アルフが「私だけ除け者なの?」って。もういくらでも書けるじゃん(笑)。色々できる展開があるから楽しみだね。
大黒:今日の対談のおかげで、書きたいネタがいっぱい出てきました(笑)。
―――『フルメタFamily』はいかがでしょうか。現在、ファンタジア文庫から最新2巻が発売中、その続きがカクヨムネクストで公開中ですが。
賀東:うーん。どうしようかな(笑)。まあ扱っていないキャラクターはけっこういるから、続けるとしたらいくらでも……というのは言い過ぎだけど。テッサも出てくるし、あとは『アナザー』の達哉を出したくて。
大黒:それはすごく読みたいです! ぜひ出してください!
賀東:あとは菊乃も出したいなあ。絶対いい女になってるよ(笑)。クララもそうだけど『アナザー』にはいいキャラクターがたくさん出てるからね。
大黒:宗介と達哉が並び立つのは熱い展開です。
賀東:ダブル主人公だね。達哉とアデリーナはくっついてていいよね?
大黒:もちろんです。子供がいてもおかしくないです。
賀東:そうそう! 子供が山ほどいる設定なの(笑)。
大黒:あははは(笑)、最高です!
賀東:5人くらい子供がいてさ、しかも6人目がもうアデリーナのお腹にいて。
大黒:元気で何よりですね!
賀東:ある日、アデリーナのもとに突然宗介がやってきて「こういう任務があるから来い」とか言って、達哉が拉致同然に連れて行かれるとかね(笑)。

―――読者的には最高のご褒美になりますね。それでは最後に、この対談を読んでくれているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
大黒:いや本当に、こうして賀東先生とお話しているだけで、色んなアイデアが出てきましたので、ぜひとも『悪役家族』に期待していただけると嬉しいです。
賀東:とにかく大黒くんはいいから、東西さんのために『悪役家族』を読んでください!(笑)。
大黒:あははは(笑)。
―――素晴らしいオチで(笑)、本日はどうもありがとうございました!

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