人気シリーズのスピンオフ『ジュニアハイスクールD×D』著者が語る、『ハイスクールD×D』シリーズの魅力とは?(2)
イラストレーター・みやま零が手がけるナイスバディな美少女たちとのハーレム展開や、著者・石踏一榮の描く熱いバトル、そしておっぱいへの飽くなき情熱が見事に噛み合って、TVアニメも第4期まで放送される人気作品となっています。
そんな『D×D』の世界観をベースに公式スピンオフとして始まった『ジュニアハイスクールD×D』は、最新3巻まで発売中。『D×D』イズムを継承し、おっぱいと熱いバトルで読者を魅了しています。
今回はその『ジュニアハイスクールD×D』の著者であり、『ハイスクールD×D』シリーズの大ファンである東雲立風にスペシャルインタビューでリスペクトたっぷりの『D×D』愛を語っていただきました。
著者・東雲立風のスペシャルインタビュー!②
生半可な気持ちでは受けられない、というプレッシャーはすごくありました
――先ほど『ハイスクールD×D』の魅力として、アツいバトルというのを挙げられていましたが、具体的に印象に残っているシーンとかってありますか?
東雲:これはもう、10巻のイッセーvsサイラオーグのバトルがダントツで好きですね。肉体だけのバトルじゃなくて、魂のぶつかり合いっていうか、お互いに大事なものを懸けて精神的にも肉体的にも成長しながら戦うっていう、ラノベにおける理想のバトルだと思ってます。僕、あそこのシーン泣きながら読んでましたからね! アツすぎて!!
――感動とかじゃなくて、アツすぎてってことですね。
東雲:『D×D』きっかけで、そういうバトルにドはまりしてしまいまして。漫画とか現実でもあるんですけど、たとえば漫画なら『はじめの一歩』の間柴vs木村戦とかがそれですね。現実だと格闘技の高山善廣vsドン・フライが『PRIDE.21』(2002年)で闘った試合とかも泣くくらいアツかったです。
――ちなみに、2018年のファンタジア大感謝祭で行われたアニメ『ハイスクールD×D』振り返りステージイベントで、さっきのイッセーvsサイラオーグ戦のモデルになった戦いが高山善廣vsドン・フライの試合だって語られてるんですけど、知ってました?
東雲:えっ! そうなんですか。それは知らなかったです。でもアンテナの方向性が石踏さんと一緒だったっていうのは嬉しいですね。
――『D×D』が好きだからこそ感性が似てきたのかもしれないですし、元々感性が似ていたから『D×D』が好きになったのかもしれないですね。面白い話でした。さて、そんな『ハイスクールD×D』のスピンオフを書いてみませんか、とオファーされたとき、率直にどんな感想でしたか?
東雲:一番強かったのは、実はワクワクなんですよね。面白そうだな、って。あと、個人的な話なんですけど、その当時、石踏さんに初めてお会いしてから結構時間が経っていたこともあって。だから『ハイスクールD×D』スピンオフの話を自分に持ってきてくださったときに、自分のことを覚えていてくださったんだ、と感動しました。自分を推薦してくれた担当編集の方にも感謝ですし、やっぱりお二人に選んでいただいたことを素直に光栄だなと思いました。
――東雲さんは第32回ファンタジア大賞で受賞されていて、確かその回の選考員に石踏さんがいらっしゃったんですよね?
東雲:はい。ただ、お会いしたのは受賞式の一年前で、スニーカー文庫から『この世界で9番目ぐらいな俺、異世界人の監視役に駆り出されました』という書籍を刊行していただいたときの年の謝恩会ですね。年に1回、KADOKAWAのラノベレーベルの作家さんが集まるパーティで石踏さんにお会いしたのが最初です。
――当時はどんなお話をされたんですか?
東雲:いやもう単純に憧れの作家さんなので、小学生の頃からファンでしたというのをお伝えしてサインをいただきました(笑)。当時、僕はまだ18歳とかだったんですけど、石踏さんが「『D×D』を読んでた小学生がラノベ作家としてプロデビューする時代か」とすごく驚いてたのが印象に残ってますね。
――好きだからこそ、『D×D』のスピンオフのお話を受けるにあたって躊躇う気持ちとかは全くなかったんでしょうか?
東雲:もちろん、自分も含めてファンがたくさんいる作品ですので、生半可な気持ちでは受けられないというプレッシャーはありました。でも、それ以上にここで断ったら絶対後悔するな、という気持ちがあったので、お話を受けることに迷いはなかったです。
深夜に担当編集にメールを送りました。「もうこれしかないですよ」って
――では改めて『ジュニアハイスクールD×D』についてお話を伺いたいんですが、この作品のキャラクターや世界観というのはどういう風に作り上げていったんでしょう?
東雲:結構、紆余曲折ありましたよ。最初に提示した企画とかは全ボツでしたし。やっぱり僕自身ファンですから、どうしても最初はコアなファン向けの企画になってしまって(笑)。でも、まずは『D×D』ファンに楽しんでもらいたいという気持ちが一番にあったので、難しい言い方になってしまうんですが調和と対比を自分の中では意識して作っていきましたね。
――調和と対比、ですか。
東雲:そうです。原作になるべく準拠する、という意味での調和がまずあります。原作の時系列や設定、キャラクターなんかを出来るだけ踏襲したり、あとは文章なんかも石踏さんの雰囲気に近付けたり……。『D×D』ファンが『ジュニアハイスクールD×D』を読んだときに、「なんか違うな」って思って欲しくないので、そこはこだわってます。あとは、対比という部分は物語の構造とかキャラクターの造形ですかね。「おっぱい好きの男の子主人公・イッセー」に対して「おっぱい嫌いの女の子主人公・絶花」みたいな構図は意識して対比させてます。
――確かに、『ジュニアハイスクールD×D』の2巻は完全に原作2巻をオマージュしてますよね。
東雲:あんまりそういうのを自分から言わないようにしてるんですけど、気付いてくれる人が気付いてくれればいいみたいな細かいネタはたくさん仕込んでます。
――先ほど企画で最初に出した案が全ボツになったという話がありましたが、聞いた話だと『ジュニアハイスクールD×D』というタイトルとアイデアを出したのは東雲さんだとか?
東雲:そうですね。その当時の『D×D』担当編集が「どうしてそれを俺が思いつけなかったのか」と悔しがってたんですけど、本当にたまたま降りてきたというか。今でもそのときの衝撃が凄すぎて覚えてますよ。深夜のスーパーに割引弁当を買いに行った帰り自転車に乗ってたら不意にワードが降りてきたので、そのまま一気にプロットまで書いて深夜に担当編集にメール送っちゃいましたからね。「もうこれしかないですよ」って。
――それはまた、何かこう神懸かった経緯な気がしますね。じゃあもう、そのアイデアが降りてきてからは一気にという感じですか?
東雲:いや、そういうわけでもありませんでしたね。やっぱり『D×D』って設定がかなり多いですし複雑なので、1巻のときは本当に監修も莫大な量があって、人生で一番大変だったかもしれません。
――そんな『ジュニアハイスクールD×D』ですが、東雲さん的に一番気に入っているキャラやシーンを教えていただきたいです。
東雲:書いてて楽しいのはリルベットですかね。一番原作の『D×D』にいないキャラに仕上げることが出来たかなという気がしているので。本当に『D×D』は魅力的なキャラクターが多いので、スピンオフを作るにあたって一番大変だったのが、原作にいないキャラクターを作る部分なんですよ。本当に隙間を縫って何とか探しているって感じです。
――確かに、たくさん女の子が出てくる作品ですからね。お気に入りのシーンとかはどうでしょう?
東雲:1巻のクライマックスですかね。「おっぱいで事態を解決する」っていう原作の“らしさ”みたいなものを自分なりにアツく描けたんじゃないかなと思ってます。
――実際、すごく原作リスペクトを感じるところだったと思います。ちなみに、今後描いてみたいキャラやシーンというのはどうですか?
東雲:やっぱりまずは、まだ出せていない原作キャラを出したいなというのがありますね。『ジュニアハイスクールD×D』のメンバーたちとどう絡むんだろう、とかそういうのを考えるだけでも楽しいので。小猫にレイヴェル、ギャスパーと描きたいキャラはたくさんいます。シーンについては……うーん、やっぱり僕もサイラオーグ戦みたいな特大のカタルシスがあるバトルは書いてみたいなという気がしています。でもあれは、物語の積み重ねがあってこそなので、まだ難しいと思いますけど。
――アツいバトルがやっぱり『D×D』シリーズの魅力の一つですもんね。
東雲:主人公である絶花が宮本武蔵の子孫という設定なので、いつか佐々木小次郎のポジションにたるキャラと“巌流島の戦い”にあたるようなバトルは書きたいし、書かなきゃいけないと思ってます。
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