遺跡発掘師は笑わない イクパスイの泪

発売日 : 2025/03/22
果てなき大地に響くアイヌの聲。時を超えた謎に天才発掘師が挑む!北海道編
北海道の南部、日本海を望む上ノ国町の中世の館らしき遺跡の調査に派遣された西原無量たちは土の中から漆塗りのイクパスイを発見する。
イクパスイとはアイヌ民族が神(カムイ)に祈りを捧げる時に用いる祭祀の道具。
美しさに息を飲む一同だったが、その遺物と全く同じ姿形のものを地元の住人が所有していたことが判明する。
それは戊辰戦争時に旧幕府軍の兵を助けた礼として「土方歳三から贈られた御礼の品」だと一族には伝わっていた。

そのイクパスイに添えられた書面には、旧幕府軍に〈龕灯と蝋燭〉を貸し渡した際の担保として預けたことが記載されているのみで、およそ500年前の土坑跡から見つかったイクパスイとの接点は見いだせない。
無量とソンジュはこの2つのイクパスイのつながりを解明すべく、調査を開始する。

時を同じくして、明治元年に江差沖で座礁した開陽丸の水中発掘調査のため北海道にやってきていた司波孝たちに、突然「水中発掘をやめるように」との連絡が入る。
どうやら江差沖で新たに発見された謎の和船の船箪笥にその理由があるようで、調査チームも困惑する中、ついに調査用ボートの船外機が何者かによって破壊されてしまう。
萌絵と忍は、中止要請を出した者とその目的を探ることになったのだが、謎の和船について調べを進めると、沈没時に〈龕灯と蝋燭〉を積んでいたことが史料から明らかになった。

「としぞうのイクパスイ」と沈没した謎の和船に現れた〈龕灯と蝋燭〉という共通のことば。
幕末の出来事と現代の事件に影を落とす、そのことばの意味は果たして…?

大人気発掘ミステリシリーズ第20弾は果てなき大地へ…北海道編!

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みんなのレビュー

  • よっち
    2025/04/22
    北海道の南部、日本海を望む上ノ国町の中世の館らしき遺跡の調査に派遣された西原無量たちが、土の中から漆塗りのイクパスイを発見する北海道編。その遺物と全く同じ姿形のものを地元の住人が所有していたことが判明。戊辰戦争時に土方歳三から贈られた御礼の品だと知り、2つのイクパスイの繋がりを解明すべく調査を開始する無量とソンジュ。一方で明治元年に江差沖で座礁した開陽丸の水中発掘調査にやってきた司波たちのトラブルに思わぬ繋がりも見えてきて、優秀なソンジュが無量を意識する構図の中で、無量と忍との関係が気になるところです…。
  • nono
    2025/05/19
    ネタバレあり
    図書館本。シリーズ20冊目は北海道が舞台。アイヌの祭祝具を発掘した事から始まるお話は、土方歳三とアイヌの人々に纏わる謎を解き明かす。今回も複雑に絡み合った出来事を積み上げて真相に辿り着く展開がとても興味深い。とは言え慣れないアイヌ語に記憶力を試されるのも事実w 無量とソンジュの実力伯仲のコンビぶりを楽しみ、無量と忍の危ういバランスを憂いつつ、今回も楽しく読了。
  • 秋良
    2025/10/14
    イクパスイはアイヌの祭祀具。アイヌの歴史に箱館戦争が絡む、いつもながらクオリティの高いぐねぐね史観で読ませてくれる。著者が大好きと思われる土方歳三も登場。萌絵とさくらのアツい会話は著者自身の気持ちだよね(笑)江差追分愛好会の人たちもキャラが濃かった。推しのためなら頑張れるのは老若男女みな共通。逮捕して終わるとかじゃなく、収まるところに収まった結末が良かった。忍はそろそろ無量にビンタされてもおかしくない。
  • Y.yamabuki
    2025/08/15
    イクパスイとは、アイヌの人達が神様(カムイ)に祈りを捧げる時に使う祭具。いつもながら話しがあちらこちらに飛び、新たな事象を追いながら進むので追いかけるのに四苦八苦。けれどそれも楽しい。最近アイヌが関係する作品、西條奈加さん「六つの村を超えて…」や早見俊さん「田沼と蔦重」を読んだところだが、また違った側面、 特に文化を知ることができて興味深かった。新たに加わったシム ソンジュもまだ謎。最後のシーンの忍の行動は?次作が楽しみだ。
  • うめきち
    2025/03/23
    今回もしっかり勉強させてもらいました。ソンジュはまだ信用ならない。無量推しなので。一気に読みました。面白かった。