世界が終わる場所へ君をつれていく

発売日 : 2004/10/01
〈銀の樹〉のガラスの葉の一枚でも欲しいと思い、僕は自転車を走らせた。僕を呼び止めた、神秘的な女の子なりゆきでと道連れに…
〈銀の樹〉――それは塚良市に突然出現し、周辺の建物を呑み込んで巨大に成長した、金属の幹とガラスの葉を持つ樹のことだ。隣町にすむ僕は〈銀の樹〉を自分の目で見、できればガラスの葉の一枚でも欲しいと思って、避難命令で誰もいなくなった町を塚良市に向けて自転車を走らせた。途中、無人のバス停で僕を呼び止めたのは、夏なのに不自然に白い肌と大きな瞳を持った神秘的な女の子。僕は、なりゆきで彼女と道連れになるが、しばらくたって彼女はこう口にした。「あたし、どうしても〈銀の樹〉にいかなくちゃならないの。あれは、あたしを殺すために来たのだから」――僕たちは〈銀の樹〉にたどり着けるのだろうか?そして〈銀の樹〉と彼女の関係は?
  • レーベル: MF文庫J
  • 定価: 638円(本体580円+税)
  • ISBN: 9784840111607

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みんなのレビュー

  • (●▲●)とらうまん(*^◯^*)
    2014/07/30
    【★★★★☆(良い意味で裏切られました)】隣まちに突如宇宙から降ってきた《銀の樹》、それを好奇心から直接見に行こうとする平凡な……特別や非日常になんとなく憧れてみる年頃の“僕”と、バス停で偶然出会った謎多き少女の物語。1巻完結ものラノベにおいて「青春ボーイミーツガールの皮を被った何か」のような作品をたまに引くことがあって、そうした作品はだいたいトンデモ展開で好みじゃなかったり地雷だったりするので本作も警戒しながら読んでたのですが、これはまさしく純粋でまっとうな“ひと夏のボーイミーツガール”でした!
  • 凜音
    2023/08/06
    ネタバレあり
    読了 青森の塚良市に現れた「銀の樹」。 その正体は植物?動物?それとも兵器? 様々な憶測が飛び交う「銀の樹」の硝子の様な葉1枚でもと現地に向かう事にした少年と、道中出逢った少女。二人が「銀の樹」へ向かう一夏の青春ストーリー。 少女の抱えた問題:家族の事故死。 何かの間違いで唯一この世に残されてしまった彼女は「銀の樹」が自分の存在を殺し、間違いを修正してくれる物だと思い込んだ… 高校生で家族を失った受け入れ難い事実と、奇妙奇怪な樹の存在。思春期の想像力によって現実に対する諦観である「運命」を定義付け自分を
  • りこ
    2020/07/25
    空から襲来した金属の幹とガラスの葉を持つ〈銀の樹〉を一目見るために自転車に乗ってひた走る少年は、道すがら白いセーラー服の少女に出逢う。彼女はあの樹は自分を殺しにきたのだと主張し、樹の元まで連れていってほしいと頼んでくる。何にでもなれるはずの少年とすべてを失くした少女が〈銀の樹〉を目指した三日間の顛末とは――? 距離を縮めていく二人の姿を想像すると自然と笑みが零れてきた。青森という舞台設定がノスタルジーを誘う。ラストもよい。ガラスケースの中に閉じ込められて決して色褪せない種類の美しさを持つ物語だった。
  • ほたる
    2020/08/01
    ネタバレあり
    突如あらわれた謎の物体〈銀の樹〉。少年はひとりの少女と出会い、そこを目指して自転車を漕ぐ夏の三日間の物語。ボーイミーツガールと夏ということで、自分好みな作品だった。ようやく辿り着いたその場所での、心からの声にはジンとくるものがあった。生きているんだ。最後の一行が深く突き刺さった。
  • マギカ鍋
    2013/01/26
    青森に落ちた隕石は金属質の樹木へと成長し時々種のようなものを吐き出し建物などを破壊し始める。少年は好奇心にかられ樹木を目指すが途中で樹木に殺される事が運命と語る少女と出会う。死に拘る少女への恋心も混じり懸命に引き留めようとする少年と年上振った態度で少年をからかう少女の掛け合いが雰囲気を作り出している。自分の周りに起こる事は時に運命のように見えたりする。しかし、その事に囚われ酔ってしまえば自分を狭めかねない。幸せを望むなら多くの偶然と出会いを大切にして手繰り寄せればいいだけ。人は今日も生きているのだから。