腕を失くした璃々栖~明治悪魔祓師異譚~ 1

発売日 : 2022/12/01
スニーカー大賞〈金賞〉悪魔祓師の少年と悪魔の少女、その出逢の果ては――
◇明治三十六年十一月一日/神戸外国人居留地
 悪魔祓師の神童・皆無は、軍の任務中に心臓を貫かれ致命傷を負った。死にゆくなか、どこからか心地よい声が響く。

「人の子よ、そなたに第二の心臓を呉れてやろう。その代わり――予と煉獄の先の覇道へ、ともに征こうぞ」
 現れたのは、天使とすら見紛う少女・璃々栖。「七つの大罪」に名を連ねる悪魔で――そして、彼女には腕が無かった。
 悪魔の力と引換えに、璃々栖と一蓮托生の命となった皆無。二人の旅路の果ては、煉獄での終焉か、未来を掴む覇道か――

 明治悪魔祓師異譚『腕を失くした璃々栖』、ここに開幕す。

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みんなのレビュー

  • よっち
    2022/12/01
    神戸外国人居留地で軍の任務中に心臓を貫かれ致命傷を負った悪魔祓師の神童・皆無が、「七つの大罪」に名を連ねる腕のない悪魔で天使とすら見紛う少女・璃々栖に救われる明治悪魔祓師異譚。悪魔の力と引換えに、璃々栖と一蓮托生の命となった皆無。父母を殺されて奪われた祖国を奪還するため、腕を取り戻そうとする璃々栖との束の間のかけがえのない日々。けれど愛に生きる覚悟を決められなかった皆無が、璃々栖を救うために立ち上がる展開はさり気なく配された伏線が効いていて、激闘の末に二人の想いが引き寄せたその結末はなかなか良かったです。
  • わたー
    2022/12/05
    ★★★★★これはまた新人賞受賞作らしい尖りに尖った作品だなと。明治後期の神戸を舞台に、自身の片腕を探す美しき悪魔の少女璃々栖(リリス)と、軍に属する悪魔祓いの少年将官皆無(カイナ)とのボーイミーツガール。異能バトルもの要素や、本来は敵対関係な二人によるバディもの要素、おねショタ要素などの著者が好きであろう要素を詰め込み、それを明治らしい古めかしい文体で煮込んだ結果、唯一無二な作品へと昇華されていた。とはいえあくまで主軸はボーイミーツガール。
  • のれん
    2022/12/06
    ネタバレあり
    皆無をカイナと呼ばせた上で、腕を無くした人外ヒロインが愛を比喩的に表現する。 こういう言葉遊びは好き。 当て字当てまくった英語に加え、本筋にない日清ー日露戦争間の時代描写に72の悪魔祓い要素。しかもその上主人公だけ違和感ある神戸弁とかいうコテコテ設定。これほどの原液は幻想も歴史も大好きというオタクでもない限り不快感すら感じるだろう。 設定だけならまだしも、シーンを重視するあまり、誰視点の描写なのかを忘れてしまうなどWEB小説感がそのまま。 原液のまま出版するというのは時代なのかもしれない。(1/2)
  • アウル
    2022/12/08
    ネタバレあり
    エクソシストの神童・皆無は任務中に心臓を貫かれてしまう、死の間際に七つの大罪に名を連ねる悪魔である璃々栖の力と引き換えに一蓮托生の命になってしまった皆無だったが...なボーイミーツガールもの。これはなんともまた色々と書きこまれてるな~。その辺りが苦手な人は読むのがきついかもしれない。ボーイミーツガールが好きだったり悪魔とか異能バトルが好きなら読むのありかと思った。神戸が舞台だからか皆無のしゃべり方がしっくりきて個人的に良かったな。皆無と璃々栖がどうなっていくのか気になる所。
  • rotti619
    2022/12/09
    明治、という全ての物の考え方が変わった時代を背景に、13歳で単騎少佐という立場の悪魔祓師(エクソシスト)・皆無が死に瀕した際、腕のない悪魔・璃々栖から命を救われる代わりに使役することになるお話。ボーイ・ミーツ・ガール、おねショタ、大逆転バトルといった単語が好きな人向け。更に明治時代独特の浪漫要素も付いてくる。このタイプは、どれだけその雰囲気に浸れるかにかかっているが、この作品はその点秀逸。最後の最後まで各所に散りばめられた伏線を回収しながら、人の命がどこまでも軽い、この世界観を最後まで貫いていた。