鬼恋綺譚 流浪の鬼と宿命の姫

発売日 : 2020/05/22
願いは、ただひとつ。――共に生きたい。許されるなら。
薬師の文梧は、記憶を失った白皙の青年・主水と旅をしている。
30年前、平穏なこの地は一変した。青山領の民が突然変異して「鬼」となり、小寺領の民を襲い血を吸って殺すようになったのだ――。
彼らは、故郷から逃げ出し、身を潜めて暮らしている小寺の民を救うべく、山々を巡っているのだ。

一方、今から3年前。小寺の若き領主・菊は、屈託なく笑う勇敢な少年・元信に窮地を救われる。
青山の餌食となっている領民を護るため、もっともっと強くなりたいと願っていた菊は、元信に願い出て剣術を教えてもらうことにした。
やがて惹かれ合う2人。けれどそれは、禁忌の恋に他ならなかった……。

――旅の途中、文梧と主水は竜胆という少女と出会う。
竜胆はかつて仕えていた領主・菊を捜していた。菊は3年前、青山領に捕らわれたのだ。
旅を共にすることになった3人だが、やがて文梧は「一枚、二枚――」と何かを数える謎の声をしばしば聞くようになる。
心にこびりついて離れないその声を聞くたびに、文梧の胸はざわついて……。

出逢ってはならない者たちが出逢う時、物語は動き始める。
人の情と業が絡み合う、美しくも残酷な「和製ロミオとジュリエット」!

第5回角川文庫キャラクター小説大賞〈優秀賞〉受賞作!
選考会でも「筆力がある」「作り込まれた世界観でぐいぐい読んでしまった」「熱量を感じる」と絶賛を受けた作品がついに刊行!


イラスト/月岡月穂

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みんなのレビュー

  • あっか
    2020/06/02
    新刊。和風ファンタジーは普段あまり読まないのですが角川文庫キャラクター小説大賞優秀賞受賞作の金帯に惹かれ。思わず引き込まれる面白さでした!鬼モチーフ自体はよく見ますが、仕組みや世界観がビタッとハマっていてスッキリ綺麗。過去と現在が交錯し段々リンクしていく中でこの人は誰?あの人は何者?と分かっていく様も楽しめました。なかなかのダークファンタジー(若干グロ)。でも映像で観たら綺麗だろうなあ。わたし的には悲恋エンドだったのでそこは悲しい…なんやかんやの力で何とかして欲しかった…泣笑
  • 真理そら
    2021/11/20
    『贄の花嫁』の作者の作品。和製ロミオとジュリエット的な悲恋を軸に集団ドラキュラ的要素やら皿屋敷的要素(皿を数えるヒロインの名前は菊)。悲恋の2人より謎の助手・主水の方が目立っていることや時系列が分かりにくいことなどが気になるが、こういう和製ファンタジーは好きだ。
  • よっち
    2020/05/23
    青山領の民が突然変異し鬼となり、小寺領の民を襲い血を吸って殺すようになって30年。故郷から逃げ出し身を潜めて暮らす小寺の民の若き領主・菊が、勇敢な少年・元信に窮地を救われ、運命の出会いを果たす和風ファンタジー。民を救うために強くなりたいと願う菊に剣術を教える元信と、お互い惹かれ合ってゆく禁断の恋の行方。そして旅する薬師の文梧とその助手・主水が出会った少女・竜胆の決意。長らく続いた小寺と青山による因縁の真相と結末はほろ苦くやるせなかったですが、それでも二人で見事本懐を遂げてみせた結末はなかなか印象的でした。
  • はつばあば
    2022/07/30
    初読みの作家さん。軽いお話かと思えば呪いが渦巻いてました。小寺の領主は民を労わり素晴らしい領主であったのに青山領の民が突然変異して「鬼」となり小寺の民のみを襲い血を吸って殺す。何故??怨みが呪詛を招き・・小寺元領主・菊が番町皿屋敷のストーリーで登場する悲恋物語でした。鬼になる者も鬼に追い詰められ逃げまどい血を流す小寺の民も、いざこざの元はといえば領主の横恋慕。領主・国主たる者その時が良かれでは民が苦しむ。自国の領土を守るだけでは・・やっぱり恨まれますよね(^_^;)。(kU)
  • ゆなほし
    2020/05/27
    小寺の若き領主菊は、山中で勇敢な少年元信に窮地を救われるが、やがて惹かれ合う2人を待っていたのは禁忌の運命だった…。とても良質な純和風ダークファンタジーだった。鬼に変異した青山の民と、彼らに狙われる小寺の民との確執という決して大きくない規模の物語を、確かに読ませる見事な筆致が形作っている。過去と現在が入り乱れた先の、符号が一致する時の鮮やかさは素晴らしい。ありきたりな幸せに収束しない結末も好み。かなり重たく暗い内容だが、帯に和製ロミオとジュリエットとあるように、悲恋の面も持つ作品。続編があれば読みたい。