海のカナリア

発売日 : 2019/09/10
外と断絶した、閉じた夏休み。そこに、ぼくたちは生きていた。
 近所に住む小5女子の城ヶ崎君は、朝から鯨を見に海へ行こうと誘ってくる、行動力だけで生きているような少女だ。そんな彼女に言われるがまま、一緒に海へ向かう高2のぼく。11歳と17歳、恋愛、ではないと思う。2人で過ごすいつもの夏の水曜日。こんな穏やかな日々がずっと続けばいいのに──。

 夏の朝、目が覚めたらいつものように鏡の前で情報整理。「海野幸、十七歳、性別女性、二年C組、両親は健在──」顔にかかる髪を払い、ぼくを私に切り替える。曜日を確かめると水曜日。さぁ、今回も三日くらいがんばろう──。

 そして城ヶ崎君は宣言する。「この世界を破壊したい」と。
 閉ざされた海辺の街で、ぼくと彼女は今日も出会う。
  • レーベル: 電撃文庫
  • 定価: 693円(本体630円+税)
  • ISBN: 9784049128079

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みんなのレビュー

  • 黒瀬
    2019/10/02
    久し振りに入間ワールドを堪能した気分です。ちょうど一年前に発売された『世界の終わりの庭で』のように、初めは世界観や人物相関が分かり辛いのですが、読み進めていくに従い、点と点が線に繋がっていく高揚感。十一歳の女の子と十七歳の少年によって繰り広げられる奇妙なラブコメかと思いきや、百合らしきものが始まり、一粒で二度楽しめる。おそらく思春期でしか経験出来ない虚構の世界の思い出。海野幸はもう、あの世界に行く事は出来ないのだろう。それが『大人』になるという事なのか、はたまた『老い』か。
  • たけ
    2019/09/16
    ★★★☆☆ 近所に住む小5女子の城ヶ崎君は行動力だけで生きているような電波少女である。そんな彼女に連れ回され苦労する少年は、目が覚めたら高2女子になっていた。いつものことである。そしてまた寝て起きると再び少女は少年に戻り...。そうした中でだんだんとその世界の謎が解き明かされていくお話。非常に難解。1ページ目から謎が深い。しかし、そんなミステリアスで思わず考え込んでしまうような展開に深く引き込まれちゃいました。入間先生の作品はあんまし読んだことありませんが、この作者が愛される所以が少しわかった気がします。
  • 芳樹
    2019/09/30
    ネタバレあり
    高2少女の海野幸(うみゆき)の心の中に成立する閉じた世界で、11歳の女子小学生城ヶ崎君と17歳高2男子のぼくが綴る物語。入間作品の感想はいつも上手く言葉に出来ないが、現実と精神世界で展開される物語は自分の好みです。あとがきで「夏を背景にしたラブコメ」とあるけど、精神世界の”ぼく”が現実世界の”うみゆき”を想う姿は確かに「ラブ」を感じさせます。結論、面白かった。何度か読み返したい小説でした。
  • 真鍋
    2019/11/17
    夏特有の倦怠感やら虚無感やらがビシビシ伝わってきました。とてもふわふわした話で正直すべて理解できているかは怪しいところですけども、ラストへの話のもっていきかたが相変わらずうまくて読後は気持ち良いです。
  • スズ
    2019/10/19
    海野幸という女子高生の心の中に生まれた男子高校生のぼくと、小学生の城ケ崎君が少女の閉ざされた心の世界で生きながらも、表人格である幸に代わって表面世界に浮上して現実世界と精神世界を行き来する不思議な物語。海野幸として女子高生として生きるぼくと、捉え所のない城ケ崎君の二人が主人公の真夏のボーイミーツガール的なのを想像していましたが、多重人格になった少女の心の中という世界観に気付いてからはこれは人を選ぶが、刺さる人にはぶっ刺さる不思議な物語だなと感じました。入間先生好きとしてはこういう作品にもっと出会いたいです