由比ガ浜機械修理相談所

発売日 : 2019/08/17
ただ、君に幸せになってほしい。――たとえ僕が、隣にいられなくても。
皆が選んだNo.1! 電撃大賞×カクヨム読者投票で圧倒的支持を得た感動作、遂に刊行!!
 第25回電撃小説大賞《読者賞》受賞作

 2023年の夏。僕は世間から逃げるように、鎌倉に「由比ガ浜機械修理相談所」を開いた。ほとんど客の来ない相談所。そこへある日、奇妙な男・戸川が訪れる。
 彼とともに現れた女性、それは人に近づきすぎた機械「TOWA」だった。戸川に手放され、居場所を失った彼女・結のため、僕は新たなオーナーを探し始める。
 突然はじまった共同生活。二人の時間を過ごすなかで、僕たちはお互いを大切に想うようになっていくが――。
  • レーベル: 電撃の新文芸
  • 定価: 1430円(本体1300円+税)
  • ISBN: 9784049126624

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みんなのレビュー

  • よっち
    2019/09/26
    リアルなヒューマノイド「TOWA」を助けたい想いが空回りして挫折した若宮氷雨。世間から逃げるように鎌倉に機械修理相談所を開いた彼の元に、TOWAの結を伴った戸川が訪れる物語。十五億で結を売ってほしいという戸川の依頼から買ってくれる人を探すことになった氷雨。束の間の彼女と共に過ごす日々で少しずつ変わってゆく心境。けれどそれに素直に向き合えない苦い過去があって、不器用過ぎる氷雨の葛藤もありましたけど、様々なことが繋がって明らかになってゆく過去や、今の大切な想いにきちんと向き合えた結末がとても素敵な物語でした。
  • なみ
    2019/08/25
    人より少し不器用な青年、氷雨と、ヒューマノイド“TOWA”の結。どこまでも真っ直ぐでどうしようもなく純粋な恋の物語。 ままならない現実を、それでも懸命に生きる二人の姿が尊かったです。 こんなに作品の中に入り込んだのは久しぶりでした。文もキャラも展開も全てが好みです。
  • のれん
    2021/08/11
    【酷評】 なんだろう、凄く好みなテーマなのにまったく入れ込めなかった。元天才ロボット技術士に転がり込んできたロボット少女との恋愛劇。 使い尽くされた古典ネタだけで構成されている。 大多数のロボットをモノとして扱う層が露悪的に描かれており、つまり主人公が世間と乖離していて、そのズレが最後まで全肯定されているのに違和感。 ロボットも醍醐味の心理要素は最初から完璧に人間だし。金問題も悩んだのに最後は受け取らないし。 とにかく綺麗なステレオタイプの一言。やっぱり鉄板さというのはいつの世もあるのだろうか。
  • ルナ
    2020/05/18
    ネタバレあり
    人間に近づきすぎた機械TOWAとその機械をかつて造っていた男の恋物語。人に似せることを追求したTOWAは感情を持ち人間とほぼ変わらない。しかし悪魔でモノなので扱いもモノ。それがとても悲しく思えた。彼女達は何も悪くないのに悲しい辛い思いをしなきゃいけない。そんな事をよく思わなかった氷雨が結さんと出会って落ちこぼれていた生活が変わってゆく。2人はほんとに運命の出会いをしたんだなと思った。とても感動したし花火のシーンはやばかった。あの花火は2人の心情描写の役割をしているんじゃないかな。2人が幸せになれて良かった
  • りこ
    2019/08/19
    今よりほんの少し先の未来の、海の近くでの物語。人に近づきすぎたヒューマノイド・TOWAの瞳は、夕焼けに残る青空の色をしている。この作品もまさにそんな色をしていた。過去の傷から逃げるように鎌倉へやってきた氷雨は、オーナーに手放され居場所を失ったTOWA・結と出会い、一緒に暮らす中で惹かれ合っていく。だが乗り越えなければいけない試練は多く、臆病な二人は想い合っていながらも手を伸ばすことをためらってしまう。淡くも鮮やかで切ない恋だ。話も文章も出てくる人々も、とても心地よかった。菖蒲社長が特に好き。心暖まる傑作。