銀塩写真探偵 一九八五年の光
発売日 :
2018/05/25
切ないラストに余韻が残る──『活版印刷三日月堂』の著者、新作!
陽太郎の師、写真家の弘一には秘密の顔があった。それは銀塩写真探偵という驚くべきもの。ネガに写る世界に入り、過去を探れるというのだ。入れるのはたった一度。できるのは見ることだけ。それでも過去に囚われた人が救いを求めてやってくる。陽太郎も写真の中に足を踏み入れる。見たのは、輝きも悲しみも刻まれた永遠の一瞬で──。生きることとは、なにかを失っていくことなのかもしれない。哀切と優しさが心を震わす物語。
- レーベル: 角川文庫 キャラクター文芸
- 定価: 748円(本体680円+税)
- ISBN: 9784041067789
角川文庫 キャラクター文芸の新刊
みんなのレビュー
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しんごろ2018/10/21236暗室、現像、懐かしい言葉がでてきましたね。物語では、いいカメラを使ってるなと羨ましく思いました。なんてたって、そんないいカメラ持ってないし、買えないし、「写ルンです」で撮りまくってたからなあ(笑)物語は、ほしおさなえさんらしい優しさと温もりを感じる温かい仕上がりで、続編がでる要素がある感じがしますが、たとえ今作で終わりだとしても、温かくさせてくれます。でも続編が出てほしいなあ。
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しんたろー2018/07/17202『三日月堂』シリーズのほしおさんの新作ということで期待して読んだ。タイトルから想像していたのはミステリだったが、意外にもファンタジー…それも何故か『ドラえもん』を連想するような温もりのある味で、ほしおさんらしい文章が馴染み易くてサクサク読めた。自分の青春時代である昭和がノスタルジックに描かれていたのも親近感を抱けた理由だろう。フィルム時代の写真を思い出しながら、当時の仲間たちの姿が蘇ってくるかのような懐かしさを覚える作品だった。プロローグ的な中編だったので、シリーズ化して人の気持ちを救い上げて欲しい♬
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へくとぱすかる2018/09/01166探偵、とは言うけれどSF。そして著者の作風がとてもよく生かされた心あたたかな作品。フィルム時代を知る人なら、解説不要な写真知識が散りばめられているけれど、今はこういう説明ぬきでは理解されなくなったのだろう。最初の部分など、不要なエピソードだと思っていたら、立派に伏線だった点がミステリ的。ところで、あのお父さんのニコンF3って、とてもいいカメラですよ。
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おしゃべりメガネ2018/08/05161『活版印刷三日月堂』シリーズのほしおさん作品で、ネタが写真印刷になっています。話の雰囲気はやはり『三日月堂』シリーズと似ていますが、主人公が大学生だからか、ちょっとドラマにインパクトが不足気味かなと。カメラや写真現像に関する記述が多く書かれ、その部分が読んでる側にはちょっとストレス気味になり、流してしまいました。写真に興味ある読者さんなら全然苦にならないんでしょうね。今後も続きそうな展開ですが『三日月堂』シリーズがあまりにも秀作なだけに、少しツラいかもしれません。サラッと読める点はやはりさすがだなと。
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KAZOO2018/10/16138ほしおさんの新シリーズで、昔ながらの黒白の写真をしかも一眼レフでフィルムに写すはなしでなつかしく読ませてもらいました。私もカメラ小僧とはいわないまでも学生時代は一眼レフで銀塩写真ではなくコダックのエクタクロームですが写真を撮っていました。今は携帯の写真機能も使ったことがありません。はなしは探偵というほどでもないのですが、若い人向きなはなしに仕上がっている感じはします。ほしおさんは今までのシリーズと同様にむかしのものを掘り出すのがうまいですね。今の人がどれだけ興味を示すかですね。
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