帰宅
発売日 :
1997/03/01
「お父さん、僕を抱いて」――痛く、せつなく、純粋で激しい愛を描いたラブ・ストーリーズ
爆発事故で妻を失い、ひとり息子も大怪我を負った中堅俳優の佐伯は、事故後の息子が異常な愛情で接してくるのを苦悩しつつも、受容していた。しかし、「息子」として接していた彼は本当の息子ではなかった……。表題作のほか、デビュー作を含めた、痛く、せつない愛を描く著者初の作品集を電子化。 ※こちらの電子書籍については、口絵や挿絵は収録しておりません。ご了承ください。
- レーベル: 角川ルビー文庫
- 定価: 528円(本体480円+税)
- ISBN: 9784044362010
角川ルビー文庫の新刊
みんなのレビュー
-
honoka2016/04/1143ネタバレあり「ぴすとる」まだ明るい未来も想像できて良い。「帰宅」結局、息子なのか同級生なのかわからない…。「一枚の遺書」そこまで許せないものかな、母親。
-
のこ2017/06/0423ネタバレあり昔の作品を物凄く読みたくなって電子で再購入。JUNEの香り漂う印象鮮やかな短編3作。「ぴすとる」はストックホルム症候群ではあるものの、主人公カップルの未来を感じさせるエンディングにハッピーエンド感が3作中最も強い。「帰宅」は閉塞感漂うエンディングではあるが、他者と成り代わっても愛する人を手に入れた異常な執愛に強く心揺さぶられる、2人が幸せであればそれでいいと思わせてくれる作品。「一枚の遺書」は同性愛であったが故の少年の悲劇。思春期の自我を持った息子の心を母親がどうにかできるはずなどないのに…。
-
リリー2015/06/0716特濃おジュネ作品!短編3作と思えないずっしり感で、ルビー文庫の薄さが逆に功を奏してました。「ぴすとる」一番好き。コンビニ強盗の片棒を担がされた受が逃げる攻に連れ回される話。受は半ばストックホルム症候群でしょうが、1人になるのを極端に恐れる攻の孤独、受の子供らしい楽天的な愛に絆される様子がよかった。「帰宅」ニア近親相姦。死んだら化けて出そうな受。「一枚の遺書」また化けて出る系の受かと思いきや、ラストの遺書で胸が詰まりました。中学時代の初恋って刹那的で、でも全身で縋り付くのも厭わないくらい必死なものですよね。
-
なみ2015/02/0713ネタバレあり電子にて☆デビュー作含めた3作品だそうで…そのデビュー作だという「一枚の遺書」は凄かった…死別ネタもだけど、2人の14歳という年齢、そして執着と愛欲。3作品とも誰かが病んでて痛く、そして犯罪臭、切なさがガツンときて暫く余韻に引きずられました。私は…2作目の「帰宅」が…恐怖だな、と思う。
-
たかはし2014/02/2611剛先生のデビュー作含む短編3作。表題作の「帰宅」とデビュー作である「一枚の遺書」が作者の思惑通り切ない気持ちになりとても良かった。初々しいけど流石剛さん!という巧さ。3作通して「喪失」がテーマだったように思う。「ぴすとる」は愛されることを渇望していたからこそ一度手にした熱を失うことへの恐怖。「帰宅」は実の息子を失い、成り代わりの息子だとしても自分を愛してくれる存在の尊さ。「一枚の遺書」では死んでしまった親友の愛の深さを改めて思い知り、もう元には戻れない今に涙し死を実感する。JUNE感漂い哀愁に満ちた一冊。
powered by
レビューをもっと見る