時槻風乃と黒い童話の夜
発売日 :
2014/01/25
──少女達にとって生きることは『痛み』だ。
母親の顔色を窺いつつ二人で助け合ってきた兄と妹。だが二人の絆の中で、負の想いが膨らんでいき――。「ヘンゼルとグレーテル」「シンデレラ」など、現代社会に蘇る恐怖のグリム童話ファンタジー。
- レーベル: メディアワークス文庫
- 定価: 715円(本体650円+税)
- ISBN: 9784048663212
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みんなのレビュー
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くろり - しろくろりちよ2014/04/1358『断章のグリム』風乃の物語。自らを死人と称し、死装束であるゴシックロリータを着て夜中に出歩く風乃。家族に愛されず行きたかった高校、舞踏会に行くことができなかった「シンデレラ」は学校を破壊し破壊し。割れた硝子が足に刺さり硝子靴で踊る。両親の愛を受けられず祖母の甘い家を訪れた兄妹「ヘンゼルとグレーテル」。妹は祖母が魔女と知り焼殺し。本編にある「金の卵をうむめんどり」も収録。グリム童話をモチーフとし現代の残酷な物語を描く。生を『痛み』『火』とする風乃の内面に触れ、彼女も一人の少女だったのだと気付かされる。
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た〜2014/02/0657【ストーリー重視型】童話をモチーフに舞台を現代にして救いのない展開にした話の短編連作。かなーりエグい
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コリ2014/04/2151『断章のグリム』のメインキャラの一人、時槻風乃の生前の物語。まさかグリムのスピンオフが読めるとは!相変わらず目を背けたくなるような展開ばかりだけどぐいぐい引き込まれた。〈金の卵をうむめんどり〉については再読になるのかな。久々に読んだけどやはり衝撃的。絶望的にして凄惨であり、胸の痛み無しでは読めなかったのは今も変わらず。父親と継母に対する翔花の絶叫は読んでて鳥肌が立った。救いなどなく、ハッピーエンドなんて1話もない。それでもまた「読みたい」と思ってしまう。個人的には蒼衣や雪乃のストーリーもまた読みたいな…。
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Yobata2014/07/2548夜を愛すゴシックロリータの時槻風乃。そんな彼女が夜に出会う人達は童話のような悩みを抱えていた。悩みに乗る風乃。しかし彼女は死に愛された人物であり…。現代社会を舞台に童話になぞらえたホラーファンタジー。同著作の「断章のグリム」に登場する風乃を主人公に生前の頃を舞台に再び童話になぞらえた人間の底に眠る黒い感情と向き合う。今回はシンデレラ,ヘンデルとグレーテル,金の卵をうむめんどりの3本。MW文庫になることで「断章」という能力がないので、童話による配役がわかりやすくなったが全てが怪異ではなく人間に纏わることに→
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(●▲●)とらうまん(*^◯^*)2014/03/1945【★★★★☆】誰も救われない何も報われない、ただただ不条理さと後味の悪さばかりが残る、現代の暗黒童話集。 断章のグリムや、ほかの甲田作品は未読で本作が初読みとなりますが、このなんとも言い難い空しさと血肉のエグい描写は納得の暗黒ライトノベル作家さんですね (・・;) 少女たちの抱える絶望の闇と、芽生えた狂気からの破滅までが、童話の世界観や人物配置をベースに上手いこと描かれてますよね。いやーな話ばかりなのに、ぐいぐい読ませられる文章は作者の成せるわざか。 グリムのほうも、機会があれば手にとってみます。
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