時の果てのフェブラリ- 赤方偏移世界

発売日 : 1990/01/01
科学者さえも苦しめる物理現象を解明できるのは、オムニパシー能力を持つひとりの少女だけだった

 アメリカのオクラホマをはじめとして、地球の6箇所に時間重力異常地帯〈スポット〉が出現した。直径10マイルの地帯に電磁誘導現象が起こり、重力異常が生む低気圧が全地球的な気候変動を作り出し、地球に危機が迫る。〈スポット〉は幾科学的に並び、自然現象とは思えなかった。あらゆる科学調査は失敗したが、超感覚知覚のオムニパシー能力を持つ11歳の少女フェブラリーだけが、ある仮説で謎を解明する。現地調査隊と共に彼女は〈スポット〉へと出発。その中では、時間が200倍に加速され、UFOが飛びかう驚くべき世界が…。

●山本弘(やまもと・ひろし)
作家。元「と学会」会長。日本SF作家クラブ会員。1956年京都府生まれ。1978年『スタンピード!』で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。1987年ゲーム創作集団「グループSNE」に参加。作家、ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、また2007年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、2006年の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補に挙がる。2011年『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞を受賞。

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みんなのレビュー

  • おMP夫人
    2012/11/14
    二十数年ぶりの再読。思えばこの作品を手にした事がSFを読み始めるきっかけのひとつだったかもしれません。初めて触れるハリウッド映画のようなシチュエーションのハードSF、それなのにやたらとタフなおじさんではなく、11歳の女の子が主人公。おかげで当時はまだ少女と呼べた私は深く感情移入して、最後の一行を読み終えた時は感動でしばらく放心したものです。今回、読み返してもその感覚は変わりませんでした。あとがきで今では通報されそうな勢いのロリコンカミングアウトをする作者が余韻を消し去ってくれるのですが、それもまた潔し。
  • ゆーいちろー
    2010/10/03
    約20年ぶりに読み直して、こんなに本格ハードSFだったかと少々ショックを受けた。本作には、後の作者の仕事の全ての片鱗がちりばめられている。まったく記憶に残っていないが、おそらく、当時14歳のわたしはこの本を読んでかなりの影響(SFや、似非科学、オタク的発想、あるいは美少女趣味について・・・)を受けたであろうことが推測できる。初版本を今だに手元においているのがその証拠だ。作者の人となりについては、3パターンのあとがきがよく表しているように思える。表紙のイラストは断然初版の方がいいと思うのだが・・・。
  • さかな
    ハードSFながら、ライトノベルに近い作風。ストーカーの後継作品としては、不可解さを重視したサザーン・リーチとは逆に、「時間が早進む空間がもしあったなら」を科学知識により厳密に表現している。ただ、知性体の正体にはまたそれかよと思ったりも。 ★3/5
  • やちべー
    2014/09/27
    ★★★★ ソードワールドのリプレイ時から山本弘は好きだった
  • 藪田 和彦
    2014/01/27
    先日読んだ改訂版の徳間デュアル文庫版に違和感があったので、こっちも読む。これを出版当時に読んだことがあるので思い出補正もあるんだろうが、こっちの方が完成度が高いと思う。