SHARE

【あの作品ってどんな話?】ゲーム内の死=現実世界の死。VRMMO系ラノベを確立させた革命的作品『ソードアート・オンライン』をご紹介!

電撃文庫
電撃文庫
2025/12/29

 12/28(日)まで開催されていた「ライトノベル展2025」をスペシャルな描き下ろしイラストで飾った15作品を、年末年始の毎日ご紹介する特別連載特集!
 「名前は知ってたけど、お話は知らないかも……」「気になってたけど、どんなお話なんだろう?」といった未読の方へ、作品の見どころをお届けします。

 第3回目は電撃文庫の『ソードアート・オンライン』。本記事を読んで気になった方は、ぜひこの機会に本編をチェックしてみてください!


『ソードアート・オンライン』
(著:川原 礫 イラスト:abec/電撃文庫)

 「現実より、インターネットの世界のほうが楽しい」。そんな言葉を口にする人がさほど珍しくなくなるほど、テクノロジーが発達している昨今。アバターを介して他者と交流し、協力しながらゲームクリアを目指すメタバースゲームに夢中になる人も多いですよね。本作は、そんなオンラインゲームの世界を舞台としたヒューマンストーリーです。

 物語の舞台となるのは、ユーザーの五感を仮想空間と完全に同期させ、現実のような体験ができるフルダイブ技術を使用した最新のVRMMORPG《ソードアート・オンライン》。ネットゲームが大好きな主人公・キリトは、正式サービス開始と同時に、約1万人のプレイヤーとともに胸を躍らせながらログインします。しかし突如として「ゲームからログアウトできない」という前代未聞の異常事態が発生! さらに運営から告げられたのは、ゲーム内での死が現実世界での死に直結するという、あまりにも過酷なルールでした。

 本来ならば、ゲーム内での死は「やり直し」がきくものです。リトライや復活が前提であるからこそ、どんなに無謀に思える高難度のミッションにも気軽に挑戦できるというもの。しかしその前提が失われた途端、ゲーム内での選択の一つひとつは恐ろしいほど重みを帯びます。数値化されたヒットポイントの減少は単なる演出ではなく、強烈な恐怖としてプレイヤーに突きつけられるのです。

 本作の見どころは、熾烈な環境下で何とか生き抜こうとするプレイヤーたちの心の動きや、その中で育まれる人間関係の濃密さがストーリーの随所に息づいているところでしょう。中でも物語の軸として丹念に描かれているのが、主人公・キリトと女剣士・アスナの関係です。

 ある出来事をきっかけに他者と手を取り合って生きることを諦め、孤高のソロプレイヤーとして戦い抜く覚悟を決めていたキリト。そんな彼が、アスナとの出会いを通して再び誰かと肩を並べて戦う道を選ぶ展開がとにかく胸アツです。トラウマを抱えた主人公が、運命的な出会いをきっかけに少しずつ心を開き、孤独を手放していく――そんな展開が大好物な人、結構多いのでは!? 戦闘の合間にわりと高頻度で差し込まれるキリトとアスナのイチャイチャ描写が至福でした。

 しかし、本作で描かれているのは決して、華々しい活躍や爽快感だけではありません。取り返しのつかない選択への深い後悔も苦しい記憶も、日々命を懸けて戦うプレイヤーたちの心に静かに積み重なっていきます。生きるとはすなわち、無数の選択を重ねていくということ。舞台こそ仮想世界であっても、選び取った行動の結果が現実の自分に返ってくる構造は、現実を生きる私たちの世界と何ひとつ変わりません。

 極限状況で迷い、悩み苦しみながらも前に進もうとするプレイヤーたちの姿には何とも人間味が溢れており、気づけば思った以上に感情移入している自分がいました。仮想世界でのバトルものが好きな人はもちろん、誰かとつながる温もりを感じたい人、自分を信じる気持ちを取り戻したい人にもぜひ手に取ってほしい作品です。

文:糸野旬

キャラクター紹介

1. キリト
SAOクリアを目指すソロプレイヤー。反応速度と剣技に優れており、特殊な二刀流を操る。あるトラウマから他者と距離を置いていたが、女剣士アスナの強引な誘いにより、彼女とコンビを組むことに。

2. アスナ
SAO屈指の実力を誇る剣士で、ギルド《血盟騎士団》の副団長を務める女性プレイヤー。華麗な剣技と凛とした美しい容姿で知られている。芯が強く責任感も高い一方、優しさと繊細さを併せ持つ。

『ソードアート・オンライン』 
『ソードアート・オンライン』  ©川原 礫 2025 イラスト/abec

  • バトル
  • 現代
  • アニメ化
  • 仮想世界
  • 糸野旬

関連書籍

  • ソードアート・オンライン 1 アインクラッド
    ソードアート・オンライン 1 アインクラッド
    クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する──。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずログインした約一万人のユーザーと共に、その過酷なデスバトルは幕を開けた。 SAOに参加した一人である主人公・キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れる。そして、ゲームの舞台となる巨大浮遊城『アインクラッド』で、パーティを組まないソロプレイヤーとして頭角をあらわしていった。 クリア条件である最上階層到達を目指し、熾烈な冒険(クエスト)を単独で続けるキリトだったが、レイピアの名手・女流剣士アスナの強引な誘いによって彼女とコンビを組むことになってしまう。その出会いは、キリトに運命とも呼べる契機をもたらし……。果たして、キリトはこのゲームから抜け出すことができるのか。 第15回電撃小説大賞<大賞>受賞作『アクセル・ワールド』の著者・川原礫!
    川原礫 (著者) / abec (イラスト)
    発売日: 2009/04/10
    • ラブコメ
    • ファンタジー
    • バトル
    • アクション
    • SF
    • 青春
    • 主人公最強
    • ハーレム
    • アニメ化
    • コミカライズ
    電撃文庫
    試し読みする

関連記事

  • 【あの作品ってどんな話?】思春期の悩みに共感! 心揺れる少女たちとの青春模様を描いた傑作『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』をご紹介!
    【あの作品ってどんな話?】思春期の悩みに共感! 心揺れる少女たちとの青春模様を描いた傑作『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』をご紹介!
    • 特集
    • ファンタジー
    • 現代
    • アニメ化
    • 糸野旬
    電撃文庫
    2025/12/31
  • 【あの作品ってどんな話?】田舎の一軒家で神様とスローライフ! 優しい世界観が沁みる現代ファンタジー『神の庭付き楠木邸』をご紹介!
    【あの作品ってどんな話?】田舎の一軒家で神様とスローライフ! 優しい世界観が沁みる現代ファンタジー『神の庭付き楠木邸』をご紹介!
    • 特集
    • ファンタジー
    • 現代
    • アニメ化
    • 阿月シオ
    電撃の新文芸
    2026/01/02

みんなにシェアしよう