【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は12月10日発売の『魔法の鏡 やられっぱなしの気弱令嬢が我慢をやめたとき、反撃を開始します。』です。みなさんの感想も聞かせてください!
たとえ現状に不満があったとしても、変化のための一歩を踏み出すのは容易ではありません。行動を起こしたとして、もっとひどい目に遭わないとも限らない。それが怖くて、私はいつも尻込みしてしまいます。
処刑される未来を回避しようとするアリシア。生きながらえるために行動する過程で、それまで慕っていた人の嫌な面を知ってしまったり、気弱だった自分を情けなく思う彼女を見ていると、やはり変化を求めて行動するのは生易しいことではないと痛感させられました。現状に甘んじていれば知ることのなかった苦痛を受け止め、自分の中でしっかり噛み砕くことが、自分を変える条件なのだとすれば、それは間違いなく苦しいはずです。
しかし、それでもアリシアは行動を起こす道を選びます。人は同じ場所にとどまり続けると、その場の常識に馴染みきってしまい、自分の能力の限界も決めつけてしまいがちです。けれど一歩外に出てがむしゃらに動いていれば、新たなことに挑戦する気力が湧いてくることもある。アリシアは何度も挑戦を繰り返した先で、心から信頼できる友人や、自分の力で人生を切り開く自信を手に入れていきました。これは、思い切って動かなければ一生知ることのなかった彼女の新しい強さだと思います。力を得てそれを血肉にした彼女は、本当にいきいきしていて、苦難を知っているぶんだけ胸が熱くなりました。

生きていると苦しいことも悲しいことも無数にあります。けれどひとつひとつにきちんと向き合えば、それは自分を成長させてくれる糧になるかもしれない。人が成長するとはどういうことかを、アリシアを通して実感できる物語でした。
文:安芸 沙織理
ざっくり言うとこんな作品
1)王太子の婚約者なのに蔑まれ、気弱ゆえに我慢を重ねるアリシアは、処刑の未来を知って一変する。彼女の変化から目が離せない!
2)魔法の鏡で見た破滅の未来を、アリシアは変えられるのか? 彼女を陥れた犯人は誰なのか? 深まる謎と困難の連続に、ページをめくる手が止まらない!
3)未来を変えようと奔走するアリシアに手を差し伸べるのは頼れる仲間たち。彼らとの絆を深め、真の友人を得る様子に胸が熱くなる!
主要キャラ紹介
▼アリシア
普通科。気弱で言いたいことが言えない侯爵令嬢。本当は魔法科に行きたい。

▼サミュエル
魔法騎士科。明るく飄々とした公爵家の次男。ジョシュアの友人。

▼マリアベル
普通科。アリシアの義妹。社交的で可愛く誰からも愛される。

▼ジョシュア
魔法騎士科。テルミアナ王国の王太子。幼い頃、アリシアと婚約する。

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