【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は11月29日刊行のスニーカー文庫『白昼夢の青写真』です。みなさんの感想も聞かせてくださいね。
2016年7月、新作美少女ゲームを物色する私の目に、『キミトユメミシ』というタイトルが飛び込んできました。何を隠そう、『白昼夢の青写真』の原作ブランドLaplacianの、その第一作目に当たる作品です。

その月は有名美少女ゲームブランドの新作が同時期に発売され、新興ブランドにとっては、それはもう厳しい状況であったものと思われます。ですが不思議と惹かれるものを感じた私は、元々購入予定であった三本に一本を加える形で、レジへと向かったのでした。
そんな出会いを経て、時は2025年11月。私の生活は大きく変化しました。そしてそれは、Laplacianを取り巻く状況も同様に。当時はまだ無名のゲームブランドであったLaplacianは、作品を経るごとにその知名度を大きく広げていき、ついにはノベライズ企画が立ち上がるところにまで至ったのです! いやはや、そうして自分がノベライズ版の感想文を書けるなんて……。
本作を読みながら、私はこう思いました。
──俺たちの緒乃ワサビが、思えば遠くへ行っちまったもんだな……と。

かつて緒乃ワサビは自作について、「悪ふざけと大まじめの高速ピストン」と形容しています。それは実際にLaplacianの作風に表れており、SFという一見堅苦しい題材でありながら、非常に読みやすい物語を生み出すことに成功してきました。そしてその「読みやすさ」はそのままに、テーマに対する深掘りという点についてはどんどんと洗練されていったのです。
自身の向き不向きを分析し、物語を四分割するという最適解を導き出したのも大きいでしょう。結果として『白昼夢の青写真』という傑作を生みだしたのですから、あっぱれと言うほかありません。
そんな感慨を懐きつつも、改めてこうして新たに多くの方に知ってもらえる機会が訪れたというのは、長いことLaplacianを見守ってきた一ファンとして非常に嬉しいものがありますね!

文:デワフジツバサ
ざっくり言うとこんな作品
1)傑作SFミステリーゲームを、原作シナリオライター自ら完全公式ノベライズ! 解説は『Re:ゼロから始める異世界生活』の長月達平先生!
2)世界と呼ばれた少女──世凪を救うため、三つの夢の世界を追体験するセカイ系作品。1巻ではまず、そのうちの一つが描かれることに……。
3)教育実習生のすももと、自称スクラップハンターの梓姫。二人の年上女性に手綱を引かれ、二週間後に訪れるハレー彗星をシャッターに収めるまでの、一夏の物語。
主要キャラ紹介
海斗と世凪(かいと と よなぎ)
真っ白な部屋で軟禁状態にある記憶を失った男性と、自我を失った白髪の少女。海斗は世凪を救うために自ら望んでこの環境にいるとのことだが、その真相は果たして……?

桃ノ内すもも(もものうち すもも)
ノベライズ第1巻におけるヒロイン。刹那的かつ奔放に生きる、それなりの男性経験を持つ教育実習生。大人のようで時に子供のような無邪気さをみせる姿に、カンナは翻弄されながらも惹かれている。

飴井カンナ(あめい かんな)
ノベライズ第1巻における主人公で、反抗的な不登校学生。父子家庭だが父との折り合いが悪い。亡き母のようなカメラマンになるのが夢で、そのためにハレー彗星の写真を撮ろうとする。

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関連書籍
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白昼夢の青写真見知らぬ白い部屋で目をさました僕・海斗。そこにはもう一人、言葉を失った儚げな少女・世凪がいた。人が消えて死んだように眠る新宿で、たった二人の僕ら。世凪と僕に何が起きたのか? そして──さっきまで僕が見ていた「夢」は、何なのか?
夏。高校。教育実習生の桃ノ内すもも。先生のくせに危なっかしくて、気づけば懐に踏み込んでくる彼女。ハレー彗星を最高の写真に収める、一世一代の大冒険。この夏を生きることが世凪を救うことに繋がると知った僕は、再び夢の中へ潜り込んでいき──。
並走する二つの物語は、交差しながら真実に向かう。【世界と呼ばれた少女】を巡る傑作ゲームを、原作者が小説化。
発売日: 2025/11/29角川スニーカー文庫