予想の「逆」を行く関係性だからこそ面白い！　クール系女子が、かわいい子犬系の後輩に「わたしのメスになってください」と迫られる初々しい百合ラブコメ!!

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から11月20日に刊行された『「え、私がそっちなの!?」子犬系後輩彼女に食べられるカッコいい私』です。みなさんの感想も聞かせてください！

　女子校出身者なら誰しも、かっこいい同性の先輩に憧れたことがあるはず。かくいう私も女子校出身ですが、応援団員のクールな先輩にサインをもらった経験があります。友だちにもそれぞれ推しがいて、みんなでキャーキャー言いながら疑似恋愛を楽しんだものでした。だから本書を手にした時、あまりにも「女子校あるある」な内容で、懐かしさで胸がいっぱいになりました。

　クール系女子を絵に描いたような沙琴と、かわいい子犬系の年下女子のめぐるが主人公。普通に考えれば、沙琴が男子役で、めぐるが女子役ですが、本書の魅力は、2人の役割が真逆になっているところにあります。なにせ、めぐるから沙琴への告白の言葉が「わたしのメスになってください!!」ですからね。

　クールで隙のない沙琴が、個性的なめぐるに翻弄されたり甘やかされたりしながら、新しい自分を発見していく姿がかわいくて応援したくなります。「他人の目に左右されなくていいよ、自分らしくいたらいいさ」と。

　めぐるは、突拍子もない言動を取っているように見えて、じつは沙琴の本質を見抜き、正しい方向へ導いてくれる人。ふわふわしたルックスからは想像できないけれど、真のハンサムガールなのです。本当に2人はお似合い。ベストカップルです。

　ただし2人とも恋愛初心者だから、すべてが初々しく、スキンシップも手探り状態です。エロかわいい描写がたくさんあるので、ムズムズキュンキュンの連続！　もっと読みたかったけれど、お預けを食らいました。

　百合作品が好きな方はもちろん、少女の成長譚を読みたい方におすすめしたい1冊です。

文：高倉優子

ざっくり言うとこんな作品

１）衣園女子高等学校の「王子様」と呼ばれ、大勢のファンがいる沙琴とかわいい新入生・めぐるが織りなす、百合系青春ストーリー。

２）壁ドン、腕枕、頭なでなで、そしてキス……。付き合い立てカップルの初々しいスキンシップの描写にドキドキが止まらない！

３）めぐるのおかげで「かっこよくいなければならない」という呪縛から解き放たれた沙琴。「本当の自分とは？」を問う物語。

主要キャラ紹介

雨ノ音沙琴（あまのね・さこと）
結衣園女子高等学校の2年生。中性的なルックス、抜群のスタイル、成績優秀な人物で「結衣園の王子様」と呼ばれている。生徒会の広報を担当。めぐるに告白され、付き合うことに。

花華めぐる（はなばな・めぐる）
子犬みたいな外見のかわいらしい新入生。沙琴に「わたしのメスになってください!!」と告白して成功する。かわいらしい外見とはうらはらに、頼りがいのあるしっかり者。