【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMFブックスから11月25日に刊行された『ダンジョンは努力しか勝たん1 チートを失ったが全肯定幼馴染とスキルを磨いて暮らしていく』です。みなさんの感想も聞かせてください!
チート能力授与から始まるのが異世界ものの定番なのに、剥奪から始まる掟破り! しかも元の世界に帰る方法一切なしと女神様から念押しまでされて……いったいどうなってしまうのか!? 結論から言えば見せつけられますよ。タイトルに掲げられた「努力しか勝たん」を。
龍一は努力の人ですが、天才ではないのです。
勉強もスポーツも努力によって並以上にできるけれども、一番にはなれない。けれども努力をくじけず続け、ひとつずつ身につけてきたスキルで生き抜いてきたわけです。努力と挫折は誰しも経験のあるもの。そこに不屈をひと味足すことでこうも揺るぎない主人公が生まれるか!と感動しましたよ。

チートと真逆の努力のカタルシス輝かせる龍一という主人公は間違いなく本作最大の魅力なのですが、それをまっすぐ読者に伝えてくれるヒロイン、トワの存在も同じくらい大きなものですね。彼の努力をただ褒めるだけじゃなく、しっかり内容を理解した上で四方八方から言葉を尽くしてくれる。羨ましいより妬ましい!
でも、俺の龍一はすごいだろーと気持ちよくさせられてしまうのですよねぇ。よし、私ももう少しがんばりましょう明日から!
おっと、この魅力を語らずには終われません。本作、ものすごくテンポがいい!
ダンジョンでの冒険パートと地上での生活パート、このふたつがぽんぽん切り替わりながら進んでいくので中だるみ皆無ですし、読書時間の区切りもつけやすいのです。読みやすいだけじゃないこの構成、匠の技ですよねぇ。
努力がこの上なく報われる最高の痛快さ、どうぞ打ちのめされちゃってください!
文:高橋剛
ざっくり言うとこんな作品
1)女神の贔屓やチートスキルなんて一切不要! たゆまぬ努力で未来を拓く主人公・龍一の“最強”がとにもかくにも気持ちいい!
2)最高に主人公をわかってくれるヒロインとの同棲生活の甘々、そして死んだら終わりな冒険生活のスリルが両取りで楽しめる!
3)どんなに辛くても目を逸らさない、くじけない、逃げない! 龍一がどん底からさらに成長していく過程そのものが見どころ!
主要キャラ紹介

▼黒衛龍一(くろえ・りゅういち)
「努力は人を裏切らない」が座右の銘の19歳男子。異世界召喚の特典で得たスキルがハズレだったこともあるが日々直向きに努力を続け、独力で上級冒険者へまで成り果せている。

▼白井トワ(しらい・とわ)
龍一の幼馴染みであり、彼の努力を誰より評価するクォーターの美少女。チート能力剥奪後奴隷として売られかけていたところを彼に救われ、以後は恋人兼パーティーメンバーに。

▼南條ツバキ(なんじょう・つばき)
龍一とトワの新居予定宅を不法占拠していた、ふたりとは別口で召喚された元ニート。ふたりの住居となった家の居候となり、異世界で学んだ錬金術を生かして社会復帰を目ざす。

▼ティーナ
冒険者・龍一の担当を務める冒険者ギルドの受付嬢。龍一の有能さに目をつけており、露骨なまでのアピールを重ねて彼を物にしようと企んできた。一応はトワのお墨付きである。
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ダンジョンは努力しか勝たん チートを失ったが全肯定幼馴染とスキルを磨いて暮らしていく 1クラス丸ごと異世界召喚に巻き込まれた主人公・龍一は有用なチート能力を持っていなかったため城から追放されてしまう。
冒険者として堅実に淡々と日々を過ごしていたある日、久々に女神の声が脳内に響き渡る――全ての転移者のチート能力を取り上げると……。
チートに頼ることなく努力の結果身に付けたスキルだけで生き抜いてきた龍一にとって、それは別に困りもしないこと。意に介さず冒険者暮らしを続けていたのだが、一緒に召喚され、その美貌と有用なチート能力により城に残っているはずの幼馴染・トワが奴隷として売られているのを目にしてしまい、貯えの全てを吐き出しトワの身を引き受ける。
二人で暮らす家を買うため共にダンジョンに潜ったり、暮らしを彩るためのショッピングを一緒に楽しんだり、ダンジョン産の食材を使用したトワの手料理に舌鼓を打ったり……と一緒にいられなかった日々を取り戻すかのような時間を積み重ねるなか、トワの龍一へ向ける溺愛は天井知らずに大きくなる。そして、龍一もトワのために凡人ながら努力を積み上げてきた努力の原点を思い出し――。発売日: 2025/11/25MFブックス