【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は11月14日に刊行された『誰のことも好きじゃない はずが自由すぎる王弟殿下に振り回されています』です。みなさんの感想も聞かせてください!
「お姫さまを助けだす王子さま」。幼い頃に読んでいた物語にはよくこういった展開が見られたが、女の子にとって憧れのシチュエーションではないだろうか。王族フランシスとの出会いによって新たな世界を知ることになった主人公アデルの物語にも、そのような雰囲気をひしひしと感じたのだ。
実家を継ぎ、女伯爵になる予定だったアデルだが、とある理由からその立場を弟へ譲ることに。そんな彼女の前に現れたフランシスは事情を聞き、容赦無く問い詰めるのだが、読んでいてまさに共感しかない。「弟帰って来ることについてちゃんと怒った?」などの言動は、まるで「読者の感想を代弁しているのか……?」という気持ちにさせられる。
そんなフランシスとの日々はアデルにとって予想外の連続。川で石探しをしたり、流行りものを食べに行きたい彼に振り回されたりと、知見を広げることで徐々に変化していくアデルの様子も見ていて微笑ましい。今まで跡継ぎとしてふさわしい振る舞いを求められていた彼女に対し、「親にどう思われたっていいじゃん」とフランシスが語るシーンは心をグッと掴まれた。
新たな価値観にふれたアデルは自身の弟・ジェフの立場になって物事を考え始める。自分だけでなく、これまでとは違う職業に就く弟もプレッシャーを感じているはず。立場が変わると見え方も変わる……これからの人生を生きていくにあたり、大切なことだと筆者も改めて考えさせられた。
友達である二人の距離が近づく過程にも注目してほしい本作。読書の秋だからこそ、この機会にぜひ読んでみてほしいオススメの一冊だ。
文:渡辺美咲
ざっくり言うとこんな作品
1)フリーダムすぎるフランシスに振り回されるアデル。彼との交流を通じて成長していく姿に心が揺さぶられる!!
2)“普通”や“自由”について考えさせられる物語に感動!! 自由奔放だけど言うときは言う、フランシスのギャップもたまらない!
3)友達として徐々に距離を近づけていく二人。関係性の変化や、ほんのりとした恋愛模様も見逃せない!!
主要キャラ紹介
▼アデル・シャグラン
実家のシャグラン伯爵家を継ぎ、女伯爵になる予定だった主人公。責任感が強く、非常にしっかりとした人物だが、とある理由から他者との会話がうまくできなくなってしまう。
▼フランシス
隣国への長い留学から帰ってきた現国王陛下の弟。発作を起こしたアデルを助け、友達になってほしいと話す。自分勝手だが勉強熱心な性格。
▼ロラン
フランシスの留学先での同期で、現在は彼の補佐を務めている。長身でがっしりとした体格の男性。
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