【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は富士見L文庫から11月14日に刊行された 『清流神社のあひるの子 宵月夜に呪物と踊れ』です。みなさんの感想も聞かせてください!
突然ですが、私には弟がいます。幼い頃は共働きの両親に代わってよく面倒を見ていました。お互いに成人してからは実家を離れてしまい、顔を合わせるのも年に数回になってしまいましたが、いまでも仲は良いほうだと思います。
こんな話をしたのも清流神社に暮らす白河家の四兄妹が、実に兄妹愛にあふれた素敵な家族だったから。家庭的で頼りがいのある長男・温太、クールでイケメンな次男・蒼司、甘えん坊で小悪魔な末妹・瑞葉。そして主人公のまつり。それぞれ個性は違っても兄妹の絆は固く、両親を亡くしたあとも「力を合わせて清流神社を守っていこう!」と前向きに生きる姿が本当に微笑ましいんです。最近、年齢のせいか涙もろくて、こういう若い子たちが懸命に頑張る光景に弱いんですよね。
それにしても、まつりだけは養子として白河家に迎えられたことを少し気にしていて、頑張りすぎてしまうのが気がかりなんですよね。放課後も巫女見習いとして働いたり、独学で呪物の知識を学んだりといじらしいんですよ。美形の兄妹に比べて平凡と本人は言いますが、危険な目に遭っても、まず他人を心配してしまう、そんな優しさがとても魅力的ですよ。騒動に巻き込まれるたびに兄妹たちに心配されたり、叱られたりするけれども、心の底から愛されている様子が、また家族の温もりを感じさせてくれるんです。
読み終わったあとに、自分の家族のことを思い出して愛おしさがこみあげます。そんな温かい白河家の四兄妹が織りなす愛と絆の物語、ぜひ皆さんも覗いてみてください。
文:愛咲優詩
ざっくり言うとこんな作品
1)いわく付きの呪物が集まる清流神社で繰り広げられるオカルティックファンタジー。
2)神社を営む白河兄妹の中でまつり一人だけは血の繋がりがないけれど、そんなまつりを愛する兄妹たちの家族愛が尊い。
3)どんな危険な出来事に遭遇しても、相手に心を寄せて、他人への思いやりに満ちたまつりの優しさが心に染みる。
主要キャラ紹介
▼白河まつり(しらかわ まつり)
長野県にある実家の清流神社で巫女見習いをしている女子高生。他の兄妹とは血が繋がらないことを気にしている。
▼白河温太(しらかわ はるた)
白川家の頼れる長男。両親から清流神社を引き継ぎ宮司を務める。家庭的で心優しい、みんなのお母さん的存在。
▼白河瑞葉(しらかわ みずは)
白川家の可愛い末妹。小学五年生ながらも自分が可愛いことを自覚している小悪魔的存在。まつりのことが大好き。
▼えにし堂(えにしどう)
清流神社と縁が深い、地元で骨董店を営む謎めいた美形の青年。呪物マニアで世界各国の呪物に精通している。
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関連書籍
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清流神社のあひるの子 宵月夜に呪物と踊れ白河まつりは十歳の時に両親を亡くし、清流神社に引き取られた。
ゴリラ系おかんの長男温太(はるた)、頑固オヤジ系美形の次男蒼司(そうじ)、ツッコミ系美少女の末っ子瑞葉(みずは)と力を合わせ、四兄妹で神社を営んでいる。
清流神社、通称「呪物神社」はいわくつきの品物がよく持ち込まれる。
本日預けられたのは、護符と麻縄で厳重に封印された行李【ほしいさま】。富をもたらす反面、中を覗いた者の命を奪うと言われている。
それを預かってから、まつりの周囲で不思議なことが次々起こり……。
四兄妹が織りなす呪物ときどきおいしいごはんの物語。
発売日: 2025/11/14富士見L文庫