【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は11月10日発売の『生産スキルで内政無双』です。みなさんの感想も聞かせてください!
明言こそされないものの、おそらく現代日本において環境に恵まれず、才能を開花できないまま命を落とした主人公。とある異世界の神様がその可能性に目をつけ、転生へといざなってくれました。神様が主人公の内面まで見た上で認めてくれたこと、うれしいですよねぇ。ここで一気に主人公の行く先に期待が高まりました!

そうして生産スキルを与えられ、貴族の子息「ウィリアム(ウィル)」として転生する主人公。またもや自分をうれしくさせてくれるのですよ。だって彼も周囲の人たちも、みんないい人揃いで。というのも本作の貴族社会では剣や魔法の戦闘スキルが至上で、生産スキルは不遇の扱いなのです。でも、家族はみんな彼の天賦の才を評価してくれて、未来を拓く後押しをしてくれる。「最高の家族じゃないっすか」と思うと同時に、ウィルにも「みんなの期待に応えろ」って言いたくなるんです。
と、気がつけばそこまで彼へ入れ込んでいた事実に驚きましたねぇ。人との関係性から主人公をこうまで強く抽出し、物語へのわくわく感を高めるなんて、すごくないですか? すごいですよね!

おっと、肝心の生産スキルの魅力を忘れちゃいけません。このスキルは強いイメージで発現するもの。つまり知らないものは作れない。その縛りがウィルのものづくりを基本的に常識の枠内で収めているところも興味深い……のですが。イメージとは逆に自由自在なものでもあって、正しくイメージを固めることで常識外のすごい生産も可能になります。本作の見どころはそこへ至るためのストーリーラインがしっかり引かれている点! ネタバレはしませんが、生産物がまた実に彼らしく地に足の着いた物だってことだけ語らせていただきますね。
さて、ものづくりがウィルを人と繋ぎ、繋がった人がまた新たな人と彼とを繋いで高みへ誘いゆく。その頂きで彼が思うことはなんなのか? 今後の展開が気になります!
文:髙橋剛
ざっくり言うとこんな作品
1)主人公を取り囲む最高の家族や知人たち。優しくてあたたかな日々がもたらす穏やかなカタルシスはまさに極上!
2)主人公のスキルは素材があれば道具要らず。強いイメージだけで逸品を作り上げる! 自由な発想によるものづくりでストレスフリーに世界を変えていく。
3)主人公が人々に認められていく過程にちゃんと理由がある。この物語性を支える構成力に惹き込まれずにはいられない!
主要キャラ紹介
▼ウィリアム・フェアチャイルド(ウィル)
辺境伯家の次男坊にして前世の記憶を持つ転生者。転生時に神様から授かった生産スキルを使い、派手ではないながら唯一無二の品々を作り出しては人々を救い、喜ばせていく。

▼スカーレット(レティ)
フェアチャイルド家領のお隣を治めるカーディフ伯爵家の令嬢。ウィルとは幼馴染みで、快活にして心優しい性格。生産物の広告塔を買って出、貴族社会に彼の価値を宣伝する。

▼テオドール
ドワーフの少年。生産スキルを備えるが、事もあろうか鍛冶が苦手。ウィルに弟子入りして過ごす中で自分の個性の意味を見出し、彼の前世の秘密を共有する存在となった。

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