宮田俊哉(Kis-My-Ft2)が贈る青春小説『境界のメロディ2』創作秘話のスペシャルインタビュー! 「ロンドンに行っていなければ、書けなかった一冊」
――作中には心に響く台詞が散りばめられていますよね。たとえば「売れてるけど自信がないって、ダセェな」。「本物たちに勝ち続けていくことで自信がついていく。だから戦い続けなければいけない。それがメジャーじゃない?」など。
宮田:これは僕自身の経験が反映された台詞です。こういう仕事をしていると自信がなくなる瞬間がけっこうあるんですよ。ジュニアのときもデビューした後も、自分よりはるかにスタイルがよくてかっこいい人が大勢いて、しかも歌もダンスも魅せ方もうまい。そういう人たちを前にするとどうしても「自分なんて……」と思ってしまう。そんな昔の自分のことを「ダセェな」と思って、この台詞を書きました。どんな相手であれ、ひるまずに戦い続けることが大切だし、それができてこそ本物になれるんだと思います。
――かっこいい考え方ですね。仕事や勉強や恋愛など、自分に引き寄せて読み、勇気づけられる読者も多いのではないでしょうか。
宮田:そうだといいですね。ただし恋愛の参考にはしないでほしいです。女心を一番理解しているのは誰か、メンバーたちと競う「キスマイBUSAIKU!?」という番組を約10年やっていましたが、僕、2回くらいしか1位を獲っていないので(笑)。

まるでレアルマドリード集団!? 声優たちと作ったドラマCDにも自信
――特装版には、前作でも大好評だったドラマCDも付いています。キョウスケ役に伊東健人さん、カイ役に佐久間大介さん(Snow Man)、タケシ役に内田雄馬さん、マコト役に武内駿輔さん、ミノル役に斉藤壮馬さんを迎え、ナレーションはご自身が担当されました。このキャスティングについてはいかがでしたか?
宮田:最高でしたね。まず、内田雄馬くんがタケシ役ということに、すごくしっくりきました。熱い感じがタケシそのものだし、何より彼はすごく歌が上手いんです。作中で「タケシは天才。彼の歌声は唯一無二」という感じで書いてしまったので、「こんな人、実在する???」と思いましたが、雄馬くんがいました! 想像した以上のタケシを演じてくれて感謝しかありません。
マコト役の武内駿輔くんは低音ボイスが素晴らしい声優さん。録音ブースでもサングラスをかけているのが彼のスタイルらしく、「台本、見えてる?」と少し心配になりましたが(笑)、バッチリ決めてくれました。すごくマコトにハマっていたと思います。ミノル役の斉藤壮馬くんも完璧でした。じつは前作を書いているときから、ミノルは僕の頭の中で壮馬くんの声だったんですよ。実際に演じてもらったらやっぱりピッタリで!
――原作者として現場でディレクションはなさいましたか?
宮田:いやいやいや。僕から何か言うなんてありませんでしたよ(笑)。皆さん、レアルマドリードくらいのスーパー集団なので、収録を聴きながらただただ「すげぇ」と思うばかりで。
カイ役の佐久間(大介)も声優歴は短いけれど、マジで素晴らしかったです。僕の頭の中にいるカイをしっかり演じてくれました。普段の9割はふざけてるんですけど、決めるところは決めてくれるし、ひとりの役者・声優として本当に尊敬できる。レアルマドリードの中にいても遜色ないプレーができるんだから、やっぱりすごいですよ。
キョウスケ役の伊東健人くんには前作のドラマCDから引き続き参加していただきました。演技の面だけでなく、「サムライアーの音楽ってどういうものだと思う?」と、みんなに話を振ってくれて、チームをまとめてくれた気がします。おかげで現場はいつも笑顔が絶えず、最高の雰囲気でした。TVアニメも同じ声優陣で決まってますけど、いざこのメンバーでの芝居を見たら、僕、泣いてしまうかもしれません(笑)。

目標は10冊の本を出版すること!? 達成できるように書き続けたい
――作家になって改めて思う、ライトノベルの魅力とは?
宮田:軽い気持ちで手に取れるところだと思います。読書は敷居が高いと感じている人こそライトノベルから入ってほしいですね。僕の本をきっかけにしてくれても嬉しいですし、あと僕もよくやるんですけど、ジャケ買いもおすすめですよ。
――宮田さんのおすすめ作品は?
宮田:学生の頃、好きで読んでいたのは『キノの旅 -the Beautiful World-』です。あと『魔女の旅々』は繰り返し読んでいるお気に入りです。イレイナちゃん推しなので(笑)。最近だと映画化された『恋に至る病』も気になりますね。考察するのが好きなので、読んだ人と語り合うのが楽しそうじゃないですか? 著者の斜線堂有紀先生にもお会いしてみたいです。どんな風に作品を生み出しているのかぜひお聞きしてみたいですね。
――それでは最後になりますが、今後の作家としての目標を教えてください。
宮田:友人たちと飲んでいるとき「こういう話、面白いと思わない?」と語り合うのが好きなんです。少し前に「灯油でしか動かないロボットの話ってどう?」って聞いてみたら、みんなに「ハイオクじゃないのか」「弱そう」と却下されたんですけどね(笑)。他にも「原付で世界を救う話」とか、アナログがデジタルを超える系に惹かれています。いつか書けたらいいですね。
ラジオ番組で作家の室井佑月さんに「2冊くらいは書けるけど10冊書くのが大変。でもせっかく書き始めたんだからそこまで続けてほしい」と言われた言葉が心に残っています。2冊は書けたので、あと残り8冊。達成できるように書き続けたいと思います!
取材・文:高倉 優子
撮影:渡部 伸
ヘアメイク:津谷 成花
スタイリスト:柴田 圭
作品紹介


『境界のメロディ2』通常版、ドラマCD付き特装版 2025年11月25日発売
著:宮田俊哉 イラスト:LAM (メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
あらすじ
ロンドンで運命の出逢い――。4人の化学反応が、世界を動かす。ひと夏のセッションを終えた後、サムライアーたち3人はロックの聖地・ロンドンへと武者修行の旅に出た。現地のレベルの高さに圧倒されながらも、この地で頂点を目指すという決意を新たにした矢先、彼らの前に三味線を手にした青年が現れる。「マコトもミノルもタケシに合わせてるだけじゃん。全然バンドじゃない」彼の言葉はグループが抱える問題を見事に言い当てていた。そして、その歯に衣着せぬ物言いや姿形、名前までもがカイそっくりで……?

コミカライズ版『境界のメロディ ①』
原作小説の世界観を漫画ならではの表現で新たに描く。第1巻が小説第2巻と同日2025年11月25日発売
漫画:杉基 イクラ 原作:宮田 俊哉 キャラクター原案:LAM(角川コミックス・エース/KADOKAWA刊)
関連情報
▼著者プロフィール
宮田 俊哉(みやた としや)
1988年生まれ、神奈川県出身。Kis‒My‒Ft2のメンバーとして2011年8月にCDデビュー。ドラマや映画、声優、バラエティ番組、ラジオなど多方面で活躍。アイドル屈指のアニメ好きで、2020年10月に公開された映画「劇場版BEM~BECOME HUMAN~」のバージェス役でアニメ声優初挑戦。2024年よりTVアニメ「カードファイト!! ヴァンガードDivinez」シリーズでは主演声優を務める。作家デビュー作のライトノベル『境界のメロディ』は「次にくるライトノベル大賞2024」で四冠を達成。- インタビュー
関連書籍
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境界のメロディ ドラマCD付き特装版 2(特装版)■CAST
キョウスケ役:伊東健人 カイ役:佐久間大介
タケシ役:内田雄馬 マコト役:武内駿輔 ミノル役:斉藤壮馬
ナレーション:宮田俊哉
■ドラマCD内容
カイが生きている“if”の世界線で、「かにたま」と「サムライアー」がロンドン旅行に行くことに。キョウスケ、カイ、タケシ、マコト、ミノルの5人が繰り広げる、騒がしくも輝かしい青春の旅路を、超豪華キャストで音声ドラマ化!!
著者のロンドン取材から生まれた特製ブックレット『境界のメロディ2 ロンドン取材ノート』付き。
■書籍あらすじ
ロンドンで運命の出逢い――。
4人の化学反応が、世界を動かす。
ひと夏のセッションを終えた後、サムライアーたち3人はロックの聖地・ロンドンへと武者修行の旅に出た。
現地のレベルの高さに圧倒されながらも、この地で頂点を目指すという決意を新たにした矢先、彼らの前に三味線を手にした青年が現れる。
「マコトもミノルもタケシに合わせてるだけじゃん。全然バンドじゃない」
彼の言葉はグループが抱える問題を見事に言い当てていた。そして、その歯に衣着せぬ物言いや姿形、名前までもがカイそっくりで……?
※同梱されている書籍の内容は『境界のメロディ2』と同一のものです。発売日: 2025/11/25メディアワークス文庫
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境界のメロディ ドラマCD付き特装版(特装版)■CAST
弦巻キョウスケ役:伊東健人
天野カイ役:佐久間大介
ナレーション:宮田俊哉
■MUSIC
キョウスケとカイのセッション:藤永龍太郎(Elements Garden)
宮田俊哉(Kis-My-Ft2)が贈る、
少年たちの痛切な音楽×青春ライトノベル!!
2人の音が交わるとき世界は色を取り戻す――。
メジャーデビュー目前にして相方のカイを事故で亡くしたキョウスケは、音楽から距離を置き無気力に生きていた。しかし事故から3年。突然カイがキョウスケの前に現れる。
「生きていても、何もやらずに止まったままだったら、死んでるのと一緒じゃん」
生前と変わらない歯に衣着せぬ物言い。そして思わずつられて笑顔になってしまう強引さ。キョウスケはカイに説得され再び音楽の世界と向き合い、共に音を重ねる喜びを感じる。でも、カイとの幸せな時間は永遠ではなくて――。
※同梱されている書籍の内容は『境界のメロディ』と同一のものです。発売日: 2024/05/24メディアワークス文庫