声優として2021年『ラブライブ! スーパースター!!』の澁谷かのん役でデビューして以来、ラジオやテレビドラマ、そして音楽活動など幅広く活躍し、存在感を発揮している伊達さゆりさん。その天真爛漫な魅力を余すことなくお届けする2nd写真集がKADOKAWAより11/6(木)に発売されたということで、メクリメクルが特別にインタビューを敢行しました! 撮影の裏側や、最近の読書生活についてマル秘エピソードをお届けします。

それまでは活字が苦手で、私には無理だ!って遠ざけていたんですけど
――まずは伊達さんの読書習慣を教えてください。普段、どんなときに本を読むことが多いですか?
伊達さゆり(以下:伊達):実は私、本を読み始めたのって3~4ヶ月前なんですよ。以前は読書が苦手だったので、全然読んでこなかったんです。でも、声優というお仕事を始めてみると、やっぱり文章を読む機会がたくさんあるんですね。それでもっと読解力を鍛えたいと思って読み始めたんです。そのときに読んだのは、伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎/新潮文庫)。伊坂さんの作品は仙台を舞台にすることが多いんですけど、私も仙台出身なので読みやすかったですし、すごく面白かったので、そこで読書にハマりました。だから、そこから伊坂さんの作品をあさって読むようになって、今はお仕事の休憩時間やお休みで実家に帰ったときなどに1日2時間くらいは読んでいますね。
――移動中とかには読まないですか?
伊達:読みます! 最近、写真集の撮影で香港・マカオに行ったんですけど、そのときも本を1冊カバンに入れて持って行きました。今までの私からすると考えられないことなんですけど(笑)、本を読んでいるとリラックスできるんですよね。
――移動中って集中できますしね。伊坂幸太郎さんの他には、どんな作品を読んでいますか?
伊達:読書初心者だったので、最初はどんな作品を読んでいいのかわからなかったんですよ。でも、初心者の場合、いろんな場所で事件が起こるような小説のほうが飽きずに読めるんじゃないかなって思ったんですね。それでミステリーやサスペンスから読み始めたんです。ただ、だんだん心が温かくなるストーリーも欲して来たんですよ。それで最近読んだのが『カフネ』(阿部暁子/講談社)でして。読んで、すごく刺さりました。
――お読みになる本は、どういう基準で選ぶんですか? その作品の評価を見てとか、ジャケ買いとか、いろいろありますけど。

伊達:小説ってたくさんありすぎて、一体何から触れていいかわからなかったんですよ。だから、小説をオススメされている方のYouTubeでの動画を見て、そこでなんとなくのあらすじをチェックするんですね。その中から、これは好きそう!って思うものがあったら表紙を調べるんです。そして、かわいい!って思ったり、素敵!って思ったものがあると、そのあと本屋さんに行って買いますね。あ、あった!って思う瞬間が、すごく好きなので。
――ネットで購入するのではなく、実際に本屋さんに足を運ぶんですね。
伊達:本屋さん、大好きです。ずっといられます(笑)
――『カフネ』も2025年の本屋大賞を受賞されているんですよね。
伊達:そうなんです! でも、『カフネ』を知ったきっかけは、普段一緒に活動しているグループのメンバーにすごく本を読む子がいて、その子に教えてもらったからなんです。何かオススメの本はない?って聞いたら、2025年度の本屋大賞を受賞した作品なんだけど、すごくいいよって。だから、最初はまったく内容を知らないまま調べ始めたんですけど、表紙がすごくオシャレでしたし、見た瞬間、温かい作品なのかな?って、なんとなく思ったんですね。それで買ってみたんです。そしたら、確かに温かい物語なんですけど、それだけじゃなく、お仕事が大変で心が病んでしまったり、お母さんのお仕事が忙しくて、お子さんがなかなかごはんを食べられないっていうような、今の日本の残酷な感じも描かれていて。温かさの裏に、そういう一面があるからこそ、より胸に刺さる作品になっているんだなって思いました。
――家事代行サービスをなさっている方のお話なんですよね。
伊達:そうです。そういう方たちが、大変な家庭を支えていらっしゃるんです。小説はフィクションですけど、お話の題材はノンフィクションの世界。今もどこかで似たようなことは起こっていると思いますから。だから、私は家事代行サービスをしているわけではないですけど、その物語の中に出て来る小さな子供たちを元気づけられるような存在になれないかなって、自分の仕事と重ねながら読んだりしていました。
――確かに自分に大好きなものがあると、それが心の支えになりますからね。それに家事代行サービスのお話だけあって、登場する料理もおいしそうなんですよね。
伊達:お料理の作り方も結構細かく書かれていて、写真があるわけではないのにイメージが膨らむくらい、おいしそうなんですよ。だから、単純に食べてみたいって思いましたし、やっぱり人は食べないと幸せになれないんだなって思うきっかけにもなりました。
――活字を読んだだけでおいしそう!って思えるのって、すごいですよね。
伊達:本当に。私は読書初心者だったので、本の力ってすごいなって思いました。

――最初はお仕事に関する勉強の意味もあって読書を始めたと思いますが、実際にいろいろなジャンルの作品を読んだことで、自分の気持ちに変化が生まれたりはしましたか?
伊達:以前は、お休みの日やお仕事が終わったあとのリラックスタイムに家で何をしたらいいかわからないっていう時期があったんですね。テレビとかを見ていても、自分のことや先のことばっかり考えてしまって。そのときに、たまたま本と出会ったことで、初めて他の人の人生に触れるという経験をしたんですよ。それまでは活字が苦手で、私には無理だ!って遠ざけていたんですけど、学生時代とは環境が変わったこともあるのか、苦手だと思っていたことに挑戦してみた結果、苦手が好きになるんだ!って驚きました。
――読書すると世界が広がりますしね。
伊達:広がりました! それに自分の悩みとかが、ちっぽけに思えたりもするようになったんです。だから、本の世界に入り込めている瞬間がすごく楽しくて、今の私には読書が合っているのかなって思いました。
――読書って没頭できますもんね。しかも、その物語の世界に入り込むことがストレス解消になったりもしますし。
伊達:なりました! 今までは、そんなことを自分が思えるようになる日が来るなんて考えたこともなかったんですけど(笑)、生活の中でもいい効果を生んでいる気がします。
――生活が潤いますよね。
伊達:はい。それに文章を読むスピードも速くなりましたね。ナレーションのお仕事で原稿を読むときも、以前だと、どこで区切っていいかがわからなかったりしたんですよ。それで変なところで文章を区切ってしまって、まったく意味の違う文章として理解してしまったこともあったんです。でも、読書をするようになってから、この文章では何が一番大切かとかもわかるようになって、じゃあ、ここにアクセントを入れてみよう!って思えるようになりました。自分のお仕事にも繋がっているなって思うので、読書を始めて正解だったなって思っています。
――読書をすることで文章に慣れるんですよね。では、今は、これからもいろいろな作品を読んでいきたいと思っていますか?
伊達:はい。どんどん読みあさっていきたいです(笑)。今は、まだ自分が好きそうなジャンルしか読んでいませんし、読みやすいと言われるものを手にしているんですね。でも、それ以外の自分がまったく知らない世界も覗いてみたいなって思っています。
――読書への好奇心が旺盛になってきているんですね。それに書店に足を運ぶことも含めて、伊達さんは紙で読む派のよう。最近は電子書籍派の方も多いので意外でした。
伊達:私は今は紙で読んでいます。そもそも本の匂いが好きなんですよ(笑)。だから、本に触れ合っていなかった日々も本屋さんには通っていたんです。買わないけど入っちゃう、みたいな人でしたから(笑)。
――書店に行くと、書店員さんが書いたポップとかがありますよね。あれも本選びの参考になさったりしますか?
伊達:事前にお目当てのものを用意して本屋さんに行くこともありますけど、何も情報を入れずに行ったときには、そのポップを頼りに探したりしますね。そうやって、今はこれなんだ!とか、面白そう!って思って買うのも出会い感が強くて楽しいので。
――それまで知らなかった作家さんや作品に書店で初めて出会い、これは当たった!と思ったときって、すごくうれしいですよね。
伊達:めちゃめちゃうれしいですし、そのポップを書いた書店員さんのオススメをまた買おうかなって思ったりもします。
――それに身近なメンバーの中に詳しい人がいるのも助かりますよね。
伊達:はい。いろんなジャンルを読んでいる子だったので、迷ったら聞こうかなって思っています。それにそのうち私もたくさん読むようになったら、今度はその子と本を交換してみたい。これ面白かったよ!って、その子にオススメしたいなって思いますね。
――では、今の伊達さんが読者に読書をオススメするとしたら、まずは自分がピンと来たものを選ぶっていうことですかね?

伊達:そうですね。あまり縛られず、誰かからオススメされたにしても、自分の感覚で好きかもって思う作品を読むのがいいんじゃないかなって思います。私には、そのやり方が合っていたので、もし今までそんなに読書をしてこなかったっていう方がいたら、そうやって始めてみるのもありだと思いますね。今の私は、本当に読書が楽しいですから。
自分の欲が詰まった写真集になっているので(笑)
――そして、伊達さんは、11月6日に3年ぶりとなる2nd写真集『シルエット』をリリース。香港・マカオで撮影なさったそうですが、色彩が、もう日本ではないですよね。

伊達:はい。私にはドンピシャでハートに刺さって、あと何十回も行きたい!って思っています。実は写真ではずっと見ていて、前から行ってみたいと思っていた場所ではあるんですよ。ただ、プライベートで海外って、私にはなかなかハードルが高くて。だから、行くとしても何十年後かなって思っていたんです。その場所に22歳で写真集の撮影で行けたので、すごくうれしかったですね。
――実際に行ってみた、憧れの香港・マカオは、どんな印象ですか?
伊達:街並を見たとき、ドキドキもあったんですけど、ちょっとせつなさも感じました。でも、どの場所にも生命力が溢れていて。建物も結構古かったりするんですけど、それでも生き生き感じられたんですね。その理由がどこにあるのかはわからないですけど、だからこそ、何度も行きたい。きっと自分とは全然違う生活をしていると思うので、香港・マカオで暮らしている人の日常を見てみたい気持ちにもなりました。
――先ほど『カフネ』のお話を伺ったときも感じたんですけど、伊達さんは人間に興味がある方なのかもしれないですね。
伊達:あ! そうなんですかね? 初めて言われました。
――人に刺激を受けるとか、人の生き方に影響を受けるところがあるのかもしれないです。
伊達:ああ、そういうところはあるかもしれないです。香港・マカオでも、現地の人々のことが、すごく気になっちゃったので。

――『シルエット』に関して言うと、写真を見ているだけでもちょっと旅行気分になれるような1冊になっているなって思いました。
伊達:私としても、自分の欲が詰まった写真集になっているので(笑)、お仕事というよりは、プライベートを切り取っていただいたようなラフなものになっていると思っています。
――海やホテル、フェリー、ごはん屋さんや金魚屋さんなど、とてもいろいろなシチュエーションで撮影されていますが、伊達さんのお気に入りの写真はありますか?
伊達:私は、香港のごはん屋さんで真っ赤な服を着て撮影した写真が気に入っています。実際に、このお店でお昼ご飯を食べたんですけど、普通は飲食店で食器をバックにしたり、階段に座って撮るなんて、絶対無理だと思うんですよ。しかも、お昼時で結構混んでいたので。それを快く“いいよ!”って言っていただけるフレンドリーさに、お願いしたこっちが、え? いいんだ!?ってビックリしたくらいでした(笑)。でも、そのおかげですごく雰囲気のある素敵な写真が撮れたと思います。

――赤の衣装もお似合いですよ。
伊達:うれしい。ありがとうございます!こんなに赤い衣装を着たのは初めてだったんですけど、お店の看板にもマッチしていましたよね。
――金魚屋さんの写真もとてもキレイですよね。
伊達:私もお気に入りです。金魚街っていう場所があって、そのへん一体が金魚屋さんなんですよ。私の中では金魚ってお祭りの金魚すくいのイメージしかないので(笑)、金魚屋さんがいっぱい並んでいるのも新鮮でした。本当に楽しんで撮影させてもらいましたし、衣装もわりと露出の多いものを着たりしているんですね。でも、そういう衣装を着ているのに、小学生男子みたいにプールでただただはしゃいでいるのが自分らしい(笑)。そう思ったので、そのカットも採用していただいてうれしかったです。

――1st写真集から3年たった今の自分。それをこの1冊にパッケージできたという印象ですか?
伊達:はい。だから、ぜひ、いろんな方に見ていただけるとうれしいです。
――そして伊達さんは今年の12月でデビュー5周年を迎えます。これからの活動の中でチャレンジしたいことや目指すもの、野望などはありますか?
伊達:私が本を読むようになったきっかけって、勉強はもちろんですけど、自分に対して迷ったり不安に思ったりして出口が見つからないことがあったからなんですよ。そういうときに本を読んでスッキリしていたんですけど、その迷いや不安の原因って、自分が武器にしている声なんですね。でも、声をもっと自由自在に操れたら、より楽しいんだろうなとも思っていて。だから、これからも声を使って、いろんなものに命を吹き込みたいですし、私の声を聴いた方に、ちょっと前向きになれたかも!って思っていただける。そういう活動が、もっともっとできたらいいなと思っています。私自身が、声に元気づけられたひとりですから。


――2026年にはソロとしてのアーティスト活動もスタートしますが、そちらに関しては、いかがですか?
伊達:そのことは自分では、だいぶ挑戦な一歩なんですよ。ソロでアーティストデビューしますって発表することを自分で決めたのに、その2時間前くらいまで“大丈夫ですかね?”って周りのスタッフさんに言っていたくらい緊張していたので(笑)。でも、そういうマイナスな感情がないと、楽しい!っていう感情が出てこないのかなとも思うんです。だから、マイナスなことも全部自分の栄養にしたい。そして、歌やライブ、声を通して、私だけじゃなく、たくさんの方たちの“楽しい”を作っていけたらいいなって思っています!
取材・文●髙橋栄理子
ヘア&メイク●島守沙也花
スタイリスト●黒瀬結衣

伊達さゆり(だて・さゆり)
9月30日生まれ、宮城県仙台市出身。2020年、『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションに合格。2021年に同作品の澁谷かのん役として声優デビュー。同作品のスクールアイドルグループ・Liella!のメンバーとしても活動。また、ドラマ・映画・舞台 / 情報番組への出演、ナレーション業など幅広く活動している。2025年11月6日に2nd写真集「シルエット」を発売。2026年にはアーティスト活動をスタートし、3月25日(水)にミニアルバムをリリース予定。
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伊達さゆり 2nd写真集 シルエット『ラブライブ!スーパースター!!』澁谷かのん役、同作品のスクールアイドルグループ・Liella!のメンバーとして活動する一方、ドラマ・映画・舞台への出演など、さまざまなフィールドで活躍する声優・伊達さゆりの2nd写真集。
今作の舞台は、香港・マカオ。
初めて訪れる異国の地で溢れ出たさまざまな感情が、彼女の表情・佇まいなどから伝わるエモーショナルなシーンを多く収録。表現者としての成長や挑戦を感じさせる一冊!
■伊達さゆり コメント
1st写真集のお話をいただいた時とはまた違ったベクトルでのドキドキやワクワク、感謝の気持ちで溢れました。19歳の時に撮影をした1st写真集は「The等身大」な1冊だったので、2nd写真集のお話をいただいてからは、どんな中身になるのかな、どんな内容にしたいかな、とドキドキしていました。
香港・マカオは、「いつかこの足で絶対に訪れたい...!」と思っていた場所でした。日本ではあまり見ることのできない街並みや建物の雰囲気が、とっても大好きで。海外ということもあり少し緊張していたのですが、現地のみなさんがとてもやさしい方ばかりで、心から楽しく撮影することができました!
今回の2nd写真集もそうですし、12月にデビュー5周年という節目を迎えられるのもすべて、いつも応援してくださるみなさんのおかげだと思っています。(本作の発売記念イベントでは)私の口から、私の声で、感謝をお伝えできたらなと思っています。
応援してくださるあなた! いつも本当にありがとうございます。撮影時、みなさんのことを何度も何度も何度も思い出して楽しくなったり、笑顔になったり、うるっとくる瞬間もありました。感謝と愛が詰まった2nd写真集、ぜひよろしくお願いします!発売日: 2025/11/06その他単行本