【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は10月31日刊行のスニーカー文庫『純情ギャルはカノジョじゃないのに』です。みなさんの感想も聞かせてくださいね。
一般的な男子高校生は年がら年中「エッチなこと」しか考えていない──という評は、よく見かけることだろう。だが本作は貞操が逆転した世界。女子の方から性欲のままに一発ヤらせろ! と、迫ってくるのだ。この世界を夢があるか、恐ろしい世界と感じるかは人によって分かれるとは思うが、私は若干後者よりかもしれない。本能を剥き出しにした欲望というものは、やはりちょっと怖い。
だが、読み進めるうちに興味深い感覚が私の中に芽生え始めた。主人公の朝陽に感情移入をしていると、ヒロイン扱いされているような気分になってくるのだ。朝陽の言動が逐一女子たちの心を惑わし、その情欲を一身に向けられる状況は、まさに逆ハーレムモノの王道展開なのではなかろうか!? これはミラーリングとしても面白い試みであるとも感じた。

昨今は多様性が重視される時代である。そこに、男らしさとか女らしさという性差はかつてよりも少なくなってきたように思う。しかし、完全に性差がなくなったわけではないだろう。ひるがえって本作では貞操、ひいては価値観を逆転させることによって、それぞれの性別の「らしさ」というものを明確に浮き彫りにしているように感じた。女子はより男らしく、男子はより女らしく。それは今も残る性差のアイコンを描いていた部分だ。
……と、ゴチャゴチャと細かいことを考えたが、結局のところエッチな事には勝てんのです! 朝陽と凛々亜のヤりたい盛りな青春活動は、逆転した世界の中でもただただエッチだった。難しいこと、細かいことは考える必要はない。人よ、ただただエッチであれ──そう思えるような物語だった。
文:明日香 譲
ざっくり言うとこんな作品
1)貞操逆転の世界で、普通の男子の朝陽は女子を惑わす魔性のビッチ!? 普通の行動がエッチな誘いになってしまう逆転現象が面白い!
2)巨乳が敬遠されてしまう社会で、巨乳好きを爆発させる朝陽が悩める女子をカウンセリング。それを捨てるなんてとんでもない!
3)朝陽と凛々亜のドロドロなイチャラブが止まらない! どこまでもエッチで、どこまでもラブなストーリーにドキドキが止まらない!
主要キャラ紹介
平川朝陽(ひらかわ あさひ)
平凡なフツメンの男子高校生。ある日突然貞操逆転した世界に迷い込んでしまう。一般的なスケベさを持ち合わせるが、それがかえって女子を魅了するエッチな男の子として扱われる。
外ヶ浜凛々亜(そとがはま りりあ)
本作のヒロイン。クラスの一軍女子として確固たる地位を築いている明るいギャル。しかしその内面は純情で、性の方面には奥手な乙女のような姿も見せてしまう。愛称はガハマ。

西目屋雛世(にしめや ひなよ)
クラスの女子。とてもおどおどとした性格で朝陽からはスーパー陰キャとして認識されている。朝陽と凛々亜の行為を偶然見かけてしまい、それからは朝陽に興味津々な様子。
藤崎晴人(ふじさき はると)
朝陽の友人。運動部に所属しており、背が高いスポーツマン。しかしその背の高さを恥ずかしがり、コンプレックスとしている。貞操逆転の世界ではほとんど可憐な乙女のような存在。
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