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惨殺されたクラスメイトの運命を変えるためタイムリープ。武術を極めて彼女達を救い出せ!

角川スニーカー文庫
角川スニーカー文庫
2025/10/31

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は10月31日刊行のスニーカー文庫『昔クラスの女子を守れなかった俺の人生やり直し。』です。みなさんの感想も聞かせてくださいね。


 過去に戻って人生をやり直す物語は人気ですが、この作品の面白いところは主人公の振るう力が魔法でも超能力でもなく、ただ自ら鍛え上げた肉体と技のみだという点です。その新鮮さとストイックさに、気づけばどんどん引きこまれていました。

 圧倒的な力で敵を倒していく東悟。それを可能にしたのは、筋力をつけ、瞬発力を磨き、師匠の技を観察して確実に身につけるという、現実と地続きの鍛錬です。だからこそ、私にも彼の苦労や達成感を自分と結びつけて想像することができました。強さの背景が明確にわかることで、彼が勝利を重ねるたびに、私の興奮もより高まりました。

『昔クラスの女子を守れなかった俺の人生やり直し。』より

 実は私は、ボクシングやプロレスなど、流血も珍しくない格闘技にはほとんど触れてこなかった人間です。しかしこの物語を読んで、多くの人が熱狂する理由が少しわかったような気がします。日常生活の中で「独力で何かをやりきった」という充実感はなかなか得られないものです。けれどたゆまぬ努力で鍛え上げた肉体はいわば「100パーセント自力で作り上げた武器」であり、それを振るうときには「自分の力だけで闘っている実感」が湧き上がるのではないでしょうか。

『昔クラスの女子を守れなかった俺の人生やり直し。』より

そして、相手に自分の攻撃が効いた感触や、相手から受けた強烈な痛みでさえ、その実感を強める要素なのでしょう。その気持ちのたかぶりが、見ている側にも伝わるのだと思います。二人のヒロインを助けるという目的はもちろん忘れていないけれど、自分の力を試すことに執着を見せる東悟を見て、胸を熱くする自分自身に気づき、そんなことを考えました。

異能バトルとは一味違う、しかし確かに血肉湧き踊る熱い闘いに、心ゆくまで酔いしれることができました。

文:安芸 沙織理

ざっくり言うとこんな作品

1)クラスメイトの美少女二人が無残に殺された未解決事件。彼女たちを救えなかった悔しさを抱えた東悟は、過去へとタイムリープする。

2)事件発生まであと十年。東悟は武術の達人である叔父・穂村泰親に弟子入りし、実戦で役立つ格闘技の超絶技巧を習得していく。

3)チートも特殊能力もなにもなく、東悟にあるのは努力だけ。無限の努力で鍛え上げた肉体で「あの日」の彼女たちを必ず救う!

主要キャラ紹介

杵築東悟(きづき とうご)
主人公。タイムリープして小学一年生から人生をやり直すことに。叔父に弟子入りし、美優季と碧を守るために身体を鍛え、戦う術を身につけた最強の高校生へと成長していく。

杵築東悟

野間美優季(のま みゆき)
人懐っこくおっとりとしたセクシー系の美少女。誰にでも優しいため人気は高いが、反面警戒心が薄く、危なっかしい部分もある。西府中市首無し女子高生事件の被害者の一人。

野間美優季

青木碧(あおき あお)
クールビューティ系のギャル。基本的に冷静で、何かと先走る美優季をたしなめることも多い。バスケ部所属で体力がある。西府中市首無し女子高生事件のもう一人の被害者。

青木碧

  • 読書感想文レビュー
  • バトル
  • 現代
  • タイムリープ
  • 安芸 沙織理

関連書籍

  • 昔クラスの女子を守れなかった俺の人生やり直し。
    NEW
    昔クラスの女子を守れなかった俺の人生やり直し。
    西府中市首無し女子高生事件。
    夏休み明けの朝、野間美優季と青木碧という二人の美少女が無残な姿で見つかった。
    警察の必死の捜査の甲斐なく事件は未解決のまま幕を閉じる。

    ――20年後、杵築東悟は死に至る病に体を蝕まれながら、事件の直前に二人と最後に会った人間として後悔を抱え続けていた。
    もし過去に戻れるのなら、今度こそ彼女たちを守りたい。
    死の淵で強く願った男は、気が付けば小学一年生にタイムリープしていた。

    二度目の人生では絶対に二人を救ってみせる。

    東悟は武術の達人である叔父に弟子入りし、最強の高校生へと成長していった。

    これは一人の男が力ずくで「あの日」を変える物語。
    楽山 (著者) / ギザン (イラスト)
    発売日: 2025/10/31
    角川スニーカー文庫
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