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50代60代に支持されるライトノベル!? その魅力の源泉はいったいどこにあるのか【著者インタビュー】

MFブックス
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2025/10/29

 先日10月24日(金)に小説最新5巻が発売され、さらには10月頭には満を持してコミカライズの連載も始まった人気作『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』(MFブックス)。本作はなんと50代60代の層を中心に大人気であり、本日10月29日(水)には「東奥日報 週刊てれびぱーく」に広告が掲載されたという。
 今回はそんな『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』の魅力の源泉に迫るべく、著者のそえだ信先生にお話を伺った。


赤ん坊の一人称だけでこの分量の小説は、あまり前例がない

――本作は主人公が“赤ちゃん”というところがテーマであり、その後も最新5巻まで1歳児が活躍するという作品となっていますが、もともとはどのような構想・狙いから生まれた作品なのでしょうか?

 もともとは(自分が)ミステリ作品でデビューしたもので。「頭脳の他には何も取り柄がない、考えることだけに特化した探偵役」というものに魅力を感じていました。それを集約したのが、本作の赤ん坊という存在です。とにかく考えて提案することだけでさまざまな問題を解決していく、ということだけを考えて構想しています。

――そのコンセプトから、主人公が赤ん坊になるというアイディアはすごく斬新で面白いですね! やはりそんな赤ん坊主人公が、本作一番の魅力、こだわりでしょうか?

 そうですね。やはり、赤ん坊ルートルフのキャラクターがいちばんだと思います。
 あとは、本筋とは関係ないかもしれませんが、ラノベに限らず赤ん坊の一人称だけで複数巻にわたる物語というものを見た記憶がないので、それに挑戦してみようと思いました。別視点がまったくなく、赤ん坊の一人称だけでこの分量の小説、あまり前例はないのではないかと思っています。

――主人公のルートルフを孫のように応援している読者が多いのかもしれませんが、本作は50代60代の方に支持されてヒットしているようです。この状況はご自身としてイメージ通りでしたか?

 一つ一つの出来事に起きた理由をできるだけ説明したこと、すべての登場人物に性格付けを心がけたこと、というあたりが高年齢の方にも納得いただけたものかと思います。ルートルフを初めとしてそうしたキャラクターに関する感想をいただけるのをたいへん嬉しく感じています。

――作中において、ご自身でも印象に残っているシーン、お気に入りのシーンはありますか?

 特に力が入ったのは、(最新巻の)5巻中盤の新製品公開シーンです。ここを印象的にするために、いろいろなことを伏線として用意しました。
 また、ルートルフと家族との交流シーンは、時々別の意味で作者も涙ぐみながら書いていることがあります。

――印象に残っているキャラクター、イチオシのキャラクターは誰でしょうか? 理由もあわせてお聞かせください。

 イチオシのキャラクターはもちろん、ルートルフなのですが。現在ストーリー進行中で詳しく説明できないのですが、4巻以降で登場する2名のキャラクターについて、初登場時には絶対読者に嫌われる、それをその後どのように挽回してもし人気投票をしたとしたら上位にのし上げられるか、かなり苦労して挑戦してみました。目的は果たしたと思っています。
 ちなみに、一人は侍女のナディーネ。もう一人は、5巻終盤で登場する新キャラです。


こんなふうに個性を表現するのか、と予想を超えた外観でした

――フェルネモ先生のキャラクターデザインで、お気に入りのポイントやぜひ見てほしいポイントがあれば、そのキャラクターとあわせて教えてください。

 幸せなことに、フェルネモ様のイラストにはすべて満足させてもらっています。
 ルートルフとウォルフに関してはもちろん文句なく、作者の脳内でもこのビジュアルで定着してしまいました。
 4巻以降では、ナディーネのデザインに感嘆しています。ふつうならただ可愛い女の子になりそうなところ、こんなふうに個性を表現するのか、と予想を超えた外観でした。

――特にお気に入りのイラスト(カラーイラスト、挿絵問わず)があればぜひ教えてください。

 挿絵は、2巻p167のもの。一枚絵で赤ん坊三人の個性が描き分けられていて、何度見ても感心し癒されます。

『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』2巻挿絵より
『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』2巻挿絵より


 現在はどうしても、5巻の表紙(カバーイラスト)がいちばんの気に入りです。本の表紙でここまで見事に光と影を生かした表現、他に類を見ないのではないでしょうか。

『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』5巻カバーイラスト
『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』5巻カバーイラスト



――ところで今月(10月)から、ミヤイチ先生の手によって、「ヤングエースUP」にて待望のコミカライズが始まりましたね! コミカライズ第1話の中でも印象的なシーンについて、原作者としてのコメントを伺ってもいいでしょうか?

 まだ始まったばかりで、ストーリー的なところに触れるのは憚られるのですが。ただただ素敵なビジュアル、ミヤイチ様に感謝しています。

――まずは第1話冒頭において、ルートルフの人格とは乖離された別世界の『記憶』が頭の中で語りかけてくるという、いわゆる「転生ジャンル」とはひと味違った作品の設定が独特に感じます。このような設定にした狙いや理由があれば教えてください!

 前述したように主人公を頭脳だけの存在にしたかったので、その補助に徹するだけの設定にしています。

コミカライズ『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』1話より
コミカライズ『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』1話より


――頭脳明晰だけど体は0歳というルートルフですが、ファンタジーながら実年齢らしい地に足のついた表現が原作でも光っていますね。赤ちゃんの描写について、執筆時に気をつけていたことなどはありますか?

 頭脳は大人、身体は赤ん坊、というアンバランスの面白みに加え、考え方や感じ方にもその辺の混在した危うさが垣間見えるように工夫しています。

コミカライズ『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』1話より
コミカライズ『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』1話より


――コミカライズ第1話は、先行きが不安な辺境の村で、兄弟の活躍が期待される締めで終わりました。小説では、兄ウォルフはどのようなキャラクターとして描かれていますか?

 ルートルフが型破りなのに比較して、ウォルフはふつうにしっかりして真面目、他のノベルなら主役を張れるようなキャラクターを目指しました。

コミカライズ『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』1話より
コミカライズ『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』1話より




すべての年齢性別の方に広く読んでいただきたいという思いで書いてきました

――本日10月29日(水)、「東奥日報 週刊てれびぱーく」に本作の広告が掲載されました。そちらの感想、お気持ちをお聞かせください。

 どのような形で一般の方々の目に触れるか、イメージがうまく湧かないのですが。とにかく光栄ですし、これで書籍に興味を持たれる方が増えてくれればと思います。

東奥日報 週刊てれびぱーく(10/29)掲載『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』広告
東奥日報 週刊てれびぱーく(10/29)掲載『赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録』広告


――本作読者のみなさまに、どのような気持ちでこの物語を楽しんでいただきたいですか? 読者のみなさまへのメッセージを兼ねて、お聞かせください。

 もともとは、すべての年齢性別の方に広く読んでいただきたいという思いで書いてきました。未読の方は、何はともあれ一度お手にとって覗いていただければ、と思います。「またあれと同じだ」というような失望はさせないはずです。
 ずっとお読みいただいている方には、いよいよの盛り上がりを楽しんでいただきたいと思います。

――最後にインタビューをご覧の方へメッセージがあれば、お願いします。

 とにかく開いて、赤ん坊ワールドにお浸りください。応援や感想をいただけると、たいへん嬉しく思います。


取材・文●大竹卓

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