【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファミ通文庫・10月30日刊行の『錬金術師のハンドメイド ~フリマやってるだけなのに伝説的な扱いされてました~』です。みなさんの感想も聞かせてください!
自分として込めた意図とは異なる意味で受け取られるものが、たまにある。例えば「この作品のことをオマージュしたネタを入れよう」と思って書いた文章があったとして、提出した先の担当編集が知らなければスルーされてしまうことがある。それどころか、「これはどういう意味ですか?」と正当な理由があっても聞き返されてしまうことがあり、「すみません……それは……」と無粋な説明をすることになるのだ。いや、悪いのはネタを突っ込んだ自分なんですけどね。
その逆として、意図しない形で褒められるということもたまにある。「これって、○○のことですよね?」と自分が書いた文章の行間を汲んで(全然そんなわけはないのだが)、褒めてくれる方が出たときには嬉しいものの、何か釈然としない気持ちを胸に抱えてしまう。いや、自分の成果物が褒められるのは嬉しいけれど……偶然なんだよ! という煮え切れなさというか……。
そんな、意図しない形で褒められてしまって、あれよあれよとさまざまなギルドから引っ張りだこになってしまったのが蒼唯である。いや、可愛いものを追求していただけなのにね……可哀想にね……というクリエイター側の気持ちも分かりつつ、発注側(編集者)としての気持ちになると、いや、効能があるならそっちを重視しますよ、という思いも抱いてしまうのが辛いところ。
いや、本編を読み進める際はそんな同情心と辛い気持ちを両方抱えていましたけど、かわいいぬいたちが登場したりとほんわかムードが連続していたので、楽しかったですよ……! ちなみに、ここまで蒼の錬金術師が有名になってしまったら、蒼唯は作りたいものを作ることができるのでしょうか……? どうか、そこだけは揺るがないでいてほしい……(クリエイターへの同情心から)。
文:太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品
1)可愛いものばかり作りたいのに、注目されるのはそのずば抜けた効能ばかり!? 不本意ながら注目されてしまう変わり者女子高生錬金術師が可愛い!
2)ぬい&まっくよが織りなす、マスコット(ぬいぐるみ)たちのほんわかしたやりとりと、ダンジョンで活躍するかっこよさのギャップがたまらない!
3)主人公・蒼唯に振り回されていく探索者たち。個性豊かな面々が「蒼の錬金術師」に興味を抱いていく展開が楽しい!

主要キャラ紹介

齋藤蒼唯
可愛いものを作ることが大好きな女子高生。巷では「蒼の錬金術師」と呼ばれ話題だが、当の本人は全く気にしていない。

ぬい&まっくよ
蒼唯が生み出したぬいぐるみ。可愛い見た目に反して、ダンジョン内では一人でモンスターを倒すほどの異次元性能を誇る。

小鳥遊星蘭
攻略系ギルド『流星』のギルドマスター。蒼唯が活動を開始した初期から制作したアイテムを購入している常連客。たまに無茶なオーダーをすることも……?
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