「悪役令嬢の父親視点の作品が読みたい！」と思って執筆を始めた悪役令嬢✕家族愛作品【制作裏トーク】

　新作ラノベの誕生には、笑いあり、涙あり、驚きあり！　作品の見どころから、キャラクター誕生秘話、こだわりのストーリー展開まで、作者自ら語る「制作裏トーク」。
　第２回目は、10月24日にMFブックスから発売される注目作『俺の愛娘は悪役令嬢』について、著者のかわもり かぐら先生に語っていただきました。

私が読みたいのは父親の話なんじゃ！

　悪役令嬢 ✕ 愛はいいぞ！　という精神で書き続けています、皆さまはじめまして。たくさんの素晴らしい「悪役令嬢モノ」の作品がありますよね。そこからさらに「転生」「憑依」「努力」「才能」などいろいろなテーマがあるので、私にとっては飽きのこないジャンルです。
　本作『俺の愛娘は悪役令嬢』はたくさんあるテーマの中で「家族愛」を書かせていただきました。その裏話にお付き合いいただけますと幸いです。

　当作の執筆のきっかけは「悪役令嬢の父親視点の作品が読みたい」と思ったからですね。
　今まで読んできた悪役令嬢系の作品は、その作品の悪役令嬢本人だったり、ライバル（ヒロイン）、ヒーロー、友人や母親などの視点が多かったのですが、ふと父親の視点の作品が少ないな？　と思いまして。
　当初は転生してきたことに気づいた悪役令嬢本人の視点で父親のことを書いていたのですが、思ったように筆が進まず……ええい、私が読みたいのは父親の話なんじゃ！　となって書き直したことで、本作の語り部であり転生者でもあるヴォルフガング・ゾンターと、その娘であるルイーゼ・ゾンターが生まれました。

書籍化のお話が来たときは……？

　アルファポリス一本でやっていたのを、カクヨムにも並行して投稿するようになって２年後ぐらいでしょうか。ちょうど当作を連載中にカクヨム運営さんから連絡があり、そこから現在の編集担当さんから書籍化打診の連絡をいただきました。
　当時は書籍化とか全然考えてなくて、コンテストとかにも応募せずに趣味で書いていただけだったので連絡を受けたときは最初「詐欺なんじゃないか」と疑ってました（笑）。担当さんすみません。

　書籍化するにあたっていろいろ作業した中で一番驚いたのは、校正さんです。自分でもチェックしたつもりが校正さんにチェックを依頼すると出てくるわ誤用や矛盾や誤字脱字……え、こんなに出るの！？　って感じで。「こちらの表現が良いのでは」という提案もいただけて、本当に助かりました。
　当作は１巻あたり３００Pを超える文量なので、それにすべて目を通してご指摘いただけるのはなんとありがたいことか……と実感しました。自分ではすべて見つけることはできなかったので、校正作業をされる方々を尊敬しています。

読者の皆様には、一緒に娘のために奮闘する父の姿を見守ってほしい

　当作は「悪役令嬢となる未来を持つ娘を、絶対に幸せにする」と奮闘する父親の物語となっており、娘のためならヴォルフガングは多少の無茶もします。
　そんな彼を支える周囲の「愛」も、話の中で少しでも感じていただけたら……と思っています。

　実は、過ごしてきた家庭環境の影響もありますが、ヴォルフガングは誰かに「愛」を与えることはできても受け取ることがとても苦手です。
　第１巻で本人がやらかしたときに弟に叱られ、娘に大泣きされ、親友に呆れられたときにようやく彼らからの心配を無碍にしていたと自覚したほどです。鈍感にも程がある。
　猪突猛進で、愛する娘のためなら王宮にだって乗り込む彼が周囲の協力を取り付けて目標である「ハインリヒ第一王子との婚約破棄」「ルイーゼが笑って過ごせる相手との未来」をその手に掴むまで、読者の皆様と一緒に見守っていただけると良いなと思います。

コミカライズが最高！

　ほづみりや先生に当作をコミカライズいただきまして、いや、本当、お話いただいたとき泣きたくなるほど嬉しかったです。
　実際、ネームや完成した原稿をチェックのために見せていただいて「文章に書いていたシーンが絵になってる！！」と両手をあげて喜んでいます。自分では絵を描けないので、頭の中にあったシーンが実際に動きのある絵となっているのを見ると、毎回感動で胸がいっぱいです。

　どのシーンも気に入っているのですが、その中で特にお気に入りのシーンをあげるとすると、ヴォルフガングとペベルのやり取りですかね。ドン引きしてるヴォルフガングに対してグイグイ迫っていく彼は本当に想像通りでした。
　コミカライズ第７話のヴォルフガングからペベルに話しかけたときのペベルの反応もお気に入りなので、ぜひご覧いただければと思います。

そして続く２巻で娘のライバルが登場

　２巻はとうとうゲームシナリオ本編の時間軸に突入する話で、ルイーゼのライバルであるヒロインが登場します。
　ヴォルフガングが苦労したり神様が出てきたりといろいろと不穏な展開もありますが、新たな味方も登場するのでお楽しみいただけると幸いです。

　なお、このシリーズは次回３巻が最終巻予定なのですが、３巻が出せるかギリギリな状況とお聞きしておりますので、ぜひ！　買っていただけますと幸いです！
　どうぞよろしくお願いいたします！

文●かわもり かぐら