【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から10月18日に刊行された『転生先の世界観は無視するけど良いよね! ~和風世界で規格外の【魔女】になりました~』です。みなさんの感想も聞かせてください!
どんなジャンルであれ、その道の先駆者というのは本当に尊敬すべき存在だと思います。すべてが手探りの状況から、自らが進むべき道を切り開いてきたわけですから。正直、個人的には魔女よりも忍者に憧れてしまいますが、ここは先駆者様である本作の主人公・まほろの意志を尊重しましょう(笑)。
というわけで、忍者と魔女という異色の組み合わせに思わず目を惹かれてしまう、女の子主人公の異世界転生ファンタジー新シリーズが登場しました!
異世界転生といえば剣と魔法の世界が鉄板ですが、まほろが転生したのは、忍者たちが活躍する和風世界観な異世界。彼女にはそもそも生まれつき忍術の才能も充分にあるので、そのまま成長すれば、ほぼ確実に天才美少女忍者として大成していたでしょう。にもかかわらず、選んだのは忍者の世界で魔女になるという、いばらの道。もうこれだけでも賞賛に値しますね。引っ込み思案で決断力のない自分とは大違いです。自分の好きなものに一直線で、周囲の目なんか気にしないという生き方は、あまりにまぶしすぎます。それで、本当に魔法を編み出し、立派な魔女になっているのだから、言うことなしの偉業です。やっぱり可愛い女の子が頑張るストーリーって引き込まれますよね。応援したくなる主人公として、まほろは満点です。

彼女ならひとりでもこのまま楽しく過ごしそうな気もしますが、やがて素敵な友達ができる展開にほっこりします。苦労して習得した魔法を惜しげもなく、はやて、あずきに教えてあげるというのも、まほろの尊敬できるポイントです。そして、未知の魔法をふたりがあっという間に体得したのは、ふたりの努力のたまものか、はたまた、まほろの教え方がうまいのか。三人の実力は学生大会の時点ですでに、同年代の忍者ではかなわないほどになっていきます。うーん、このスピーディーな展開もサクサク読めて楽しい限りです。読み応えがないわけじゃなく、無駄がない読み味といった感じ。三人が魔女として、異世界を無双する未来が見える――。そんな、若さがきらめく楽しい作品でした。
文:瀧田伸也
ざっくり言うとこんな作品
1)まほろが転生した異世界は「忍者」の世界。しかし、転生前から魔女に憧れていたまほろは、「魔女」の概念すらないこの世界で、独学で魔法を習得し、魔女を目指す!
2)箒とローブ姿で周囲から変わり者扱いされてきたまほろだったが、中学生になってからは、はやてやあずきと友達になり、ふたりに魔法を教えながら、楽しい日々を過ごすことに!?
3)まだまだ偏見も多いなか、やってきた春の学生大会。忍術とはまったく異なる魔法で対戦相手を圧倒する三人の戦いぶりに、周囲の人々も大きな驚きを見せるが……?
主要キャラ紹介
東雲まほろ
元は日本のOLだった転生者。忍者の里長の一人娘で忍術の天才と呼ばれていたが、弟が生まれたことで後継ぎとなるのをまぬがれ、この異世界には概念のない「魔女」を目指す

速水はやて
まほろと友達になった、関西弁の少女。Aクラスだが忍術は苦手で、その分体術が得意。周囲から浮きがちなまほろに偏見を持たず、空を飛ぶ姿に憧れて魔法を教わることに

小鳥遊あずき
まほろの幼馴染で、別の里長の跡取り娘。実力もあり、雑誌の専属モデルもしている人気者。昔は父の目もあり距離を取っていたが、本当はまほろと仲良くしたいと思っていた

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転生先の世界観は無視するけど良いよね! 和風世界で規格外の【魔女】になりました魔女になりたい! その想いを抱き東雲まほろという女の子に異世界転生するも、そこは想像していたファンタジー世界でなく忍者の世界?
当然魔法などない世界だったが、まほろは魔法使いになることを諦めず、この世界の忍術を研究し――
「忍者に興味がないし、私は魔女になるんだから!」
――世界観をガン無視して【異端の魔女】が爆誕!
生前の知識を活かし、まほろはこの世界の誰も思いつけない【魔法】を使って魔女として好きに生きていく。忍者たちを蹴散らしているうちに徐々に魔女仲間たちも増えてきて――
魔女として和風世界をエンジョイする新感覚ファンタジー!発売日: 2025/10/18ファンタジア文庫