【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から10月18日に刊行された『その『ざまぁ』請け負います 不遇ヒロインを救う陰の退職代行』です。みなさんの感想も聞かせてください！
いつの世にも、どんな世界にも、不当な扱いに苦しむ人々は多いものです。異世界なら厄介な魔法とかもあるでしょうし、厳しい環境から抜け出すのは現実より難しいかもしれません。時代劇なら水戸のご老公一行や、桜吹雪のお奉行様、必殺な仕事人の方々がいて、現実にだって今や退職代行サービスなんてのがあります。だったら、異世界にもそんな、裁けぬ悪を痛快に裁いて弱者を救ってくれるサービスがあってもいいですよね……？
本作は、そんな感じで「退職代行サービス」と異世界ファンタジーを掛け合わせた、令和の世ならではの作品でした。なんといっても、その痛快さがクセになります。
なんの罪もない人々が、違法や契約やパワハラなどで心身をすり減らしていく姿は、たとえフィクションであっても見るに堪えません。幸い、自分は今のところ、そういう状況にはありませんが……、世の中には実際に苦しんでいる人も少なくないわけで。しかし、いやだからこそ、せめて物語の中でくらいは勧善懲悪であってほしいのです。まして、本作の依頼人は、麗しいヒロインばかり。これはもう、絶対に救ってくれと思いながら読んでいました（笑）。
しかもクロウの場合、ヒロインたち本人すら知らなかった「真の能力」まで引き出してくれるというオプションつき。苦境から救われただけでなく、より幸せな未来へと導いてくれるのは、最高の結末です。悪党どもが成敗される様は、まさに「ざまぁ」以外の何物でもありません。おかげでヒロインたちはクロウに対して感謝以外の感情も芽生えていくのですが、そこがまたさらに読んでいて胸が躍るというか続きが気になるポイントになっています。沈みがちな気分をスカッとさせたい、そんな時にオススメの一冊です。
文：瀧田伸也
ざっくり言うとこんな作品
１）一見すれば、なんの変哲もない酒場〝灰色の止まり木〟しかし、そこで働くクロウやメイドたちには、〝陰の退職代行サービス〟という、真の姿があった！
２）リーダーに虐げられる新人冒険者、恩のために汚れ仕事を請け負うダークエルフ、自らを生贄にしてでも人々を救う聖女。聖王都では、女性たちが不当な扱いに苦しんでいる……
３）酒場にやってきた依頼者たちの悲痛な想いに応えるべく、クロウたち〝灰色の止まり木〟は、あらゆる手段を使って任務をこなし、悪人どもに『ざまぁ』していく――！
主要キャラ紹介
クロウ＝アッシュ・グレイ
表の顔は酒場〝灰色の止まり木〟のマスター。その真の姿は〝陰の退職代行サービス〟を統べる男。「完全投影変化」という異能を操り、巧みに姿を変えて依頼を確実に遂行していく
リン＝エレクトラ
味方の身体強化を担う、希少な強化術師。冒険者としては新人ながらA級パーティに所属しているが、術の効力が微量なこともあり、リーダーから不当な扱いを受け苦しんでいる
エリーテル＝サウス・エルフ
ある目的で聖王都にやってきたダークエルフ。凶悪な種族という偏見で恐れられていたところを商会の組合長に助けられ、その恩義に報いようと、怪しい仕事を引き受けるが……？
アルミナ
マザァーグ教団で聖女と讃えられている女性。強大な回復魔法で人々を癒しているが、その力は司教の金儲けに利用されており、普段は教会内の牢獄のような部屋に軟禁されている
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その『ざまぁ』請け負います 不遇ヒロインを救う陰の退職代行無愛想ながら料理の腕は一級品なマスターのクロウと、美少女ウェイトレス二名が営む酒場『灰色の止まり木』
平素は馴染みの客で賑わう何の変哲もない酒場だが、不遇に苛まれ、救いの手を求める者が訪れると――。
「あなたの心を蝕む不遇を――どうぞ、お聞かせください」
『ざまぁ』を請け負う陰の退職代行の姿が明らかになり……。
「俺たちが必ず、キミを救ってみせると誓おう」
強化術師を軽視するクズ冒険者パーティー、エルフを欺し利用する悪徳商会、聖女を酷使し私腹を肥やす教団。
ヒロインたちに降りかかる全ての悪意、胸くそ展開をクロウはブッ潰す！発売日： 2025/10/18
ファンタジア文庫
