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中華風ファンタジー×陰謀劇の裏で奏でられる命がけのロマンス。嘘と本音の駆け引きがあなたの心臓を鷲掴みにする!

富士見L文庫
富士見L文庫
2025/10/15

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は富士見L文庫から10月15日に刊行された 『その巫女は悪女につき お前は、わたくしを殺す番犬』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 高貴な人物とその側に仕える従者との間の、身分差ゆえの許されざる恋には、独特のときめきを覚えます。さらに二人の仲が甘々ではなく、愛憎が半ばする関係性であればなおよし。そんな私にとって、国一番の大巫女で悪女×彼女に自尊心を踏みにじられている護衛という設定は、まさにツボど真ん中でした。わけあって偽物の巫女を演じている雪玲は、自分を殺してもらうために専属護衛として志強を雇い、あの手この手で自分を憎ませようと挑発します。そんなヒリヒリした二人の関係性や、スリリングな心理劇にゾクゾクさせられました。

 本作で何よりも面白かったのが、巫女は外で足をつくことは許されず、護衛が抱えて移動するという設定です。結果的に雪玲と志強の身体的な接触が多くなり、ドキドキする場面がいくつもありました。とりわけ二人が出かけた夜の湖の場面は幻想的で美しく、切なくも甘やかなラブシーンとして忘れられません。

 悪女を演じようとしつつも、上から目線にはなりきれずに素の人のよさが垣間見えてしまう雪玲は、なんとも不憫で応援したくなるヒロインです。彼女の境遇を知れば知るほど、真の悪役の末恐ろしさと権力欲にぞっとさせられました。一筋縄ではいかない主従関係に加えて、緻密に作り込まれた中華風ファンタジーの世界や、九つの国を束ねる巫女姫の選定をめぐる政治陰謀劇という要素も楽しめます。クライマックスでは、偽物の巫女・雪玲がたどり着く真実に大きく心を揺さぶられました。

文:嵯峨景子

ざっくり言うとこんな作品

1)悪女を演じるのは殺されるため──? 権力者の座を巡って数多の思惑が交錯する、スリル満載の陰謀劇。

2)生も死も、すべてを託した護衛とのロマンス。命をかけた駆け引きの中、近づく心の距離にドキドキが止まらない!!

3)固い決意と揺れる想い。長い旅路と過酷な試練の果てで、“悪女”の少女が選び取る未来とは?

主要キャラ紹介

▼雪玲(せつれい)
仙女の生まれ変わりである白王国の大巫女。とある事情から悪女を演じており、志強に殺されることを望む。

雪玲

▼志強(しきょう)
雪玲の専属護衛。自分を犬呼ばわりする雪玲に憤りを感じつつも、その裏に隠された真意を読み解こうとしている。

  • 読書感想文レビュー
  • ファンタジー
  • サスペンス
  • 嵯峨景子

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    その巫女は悪女につき お前は、わたくしを殺す番犬
    白王国の大巫女・雪玲は悪女である。
     金遣いは荒く傲慢、人を人とも思わない彼女は、新たに護衛となった男にこう言い放った。

    「誓いなさい――わたくしに忠誠を尽くす犬になると」

     九つの国を束ねる巫女姫。その選定の儀のため、雪玲は護衛の志強とともに帝国へと旅立つ。道中も無理難題を押し付ける雪玲だが、その“真の目的”は別にあり……。
     偽物の大巫女である自分を殺してほしい。胸に秘めた宿願を果たすため、志強に憎まれようと悪女を演じ続ける雪玲だったが、その行動はことごとく裏目に出てしまい!?

    ■□■□■□■□■□■□■□■□

    登場人物

    雪玲(せつれい)
    仙女の生まれ変わりである白王国の大巫女。とある事情から悪女を演じており、志強に殺されることを望む。

    志強(しきょう)
    雪玲の専属護衛。自分を犬呼ばわりする雪玲に憤りを感じつつも、その裏に隠された真意を読み解こうとしている。
    岡達 英茉 (著者) / 丑山 雨 (イラスト)
    発売日: 2025/10/15
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