【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は電撃文庫・10月10日刊行の『遙か遠くのスターライト』です。みなさんの感想も聞かせてください!
自分の居場所がない、早く「ここではないどこか」に行きたい、と思ったことがあります。
自分は小中学生時代にいじめられていたので、早くここ(地元)から出ていきたい、と思っていたのです。そうして高校受験は他市の進学校を受験し、知り合いが誰もいない場所で心機一転生きていくことを夢見たものの――結果は不合格。そうして知り合いが何人かいる私立高校に通うこととなり、またクラスメイトからいじられる再生産の日々を過ごしていました。
では、あのときに自分を「ここではないどこか」に連れていってくれる存在と出会えたとしたら。そして、その存在との関係がかけがえのないものになっていったとしたら。
本作は『月とライカと吸血姫』の牧野圭祐さんによる新作なので、宇宙関係の知識バリバリのSF青春ものなのかと思って読み始めたものの、そこよりも私の目はルーと陽奈乃の関係性に吸い寄せられました。ルーは「ここではないどこか」=母星に行きたい。けれど、陽奈乃との関係性が深まったとき、二人の仲はどうなってしまうのか? そこが気になってからは、もうクライマックスまで一息でした。
自分の目の前に陽奈乃が現れたら。……とここまで書いたものの、確実に「ここではないどこか」へ連れていってくれる存在だろうけれど、絶対にうるさい! 孤独の時間も欲しい人間にとっては、毒です。でも、こういうはちゃめちゃな女の子じゃないと、ルーのような女の子を救い出せないんですよ! という意味で、最高のガールミーツガールなのでした。
――最後に補足しておくと、SF宇宙青春ものとしてもちろん素晴らしいですよ! そしてあとがきであの作品名を見ることになるとは……(笑)。
文:太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品
1)遙か宇宙の彼方からやってきたのは――ウサ耳しっぽの宇宙人!? そんな彼らが、石川県に住み着いた!?
2)コミュ力強者な転入生JKがコミュ障ぼっちな宇宙人の夢を叶えるため、遙か250万光年先にメッセージを届けようと奮闘!!
3)女子高生4人が立ち上げた「無人機製作同好会」による、秘密の宇宙開発プロジェクトが開幕――!!

主要キャラ紹介

花宮陽奈乃
コミュ力強者な転入生。ちょっぴりドジながら、持ち前の明るさで周囲を巻き込みながら全力疾走! ルーを母星に帰すべく、どんどん宇宙開発にのめり込んでいく。

ルーフェニッピカランニュ・ファーミィ
コミュ障ぼっちな宇宙人。地球生まれだが周囲の環境に馴染めず、母星に想いを馳せていたところで陽奈乃に出会う。そして、徐々に関係性を近づけていき……。

天北宙理
ボクっ娘天才宇宙オタク。豊富な知識と有り余る熱量を武器に「無人機製作同好会」のブレーンとして活躍。しかし、その熱量はときに暴走の原因となることも……!?

御船真帆
実はお嬢様な世話焼き生徒会長。普段は堅物だが、世間知らずでお茶目な一面も併せ持つ。問題児ばかりの「無人機製作同好会」では、ブレーキ役を務める。
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NEW遥か遠くのスターライト地球に巨大な宇宙船が不時着。ウサ耳しっぽなモフモ星人が日本にやってきて、はや30年。銀髪の少女、ルーフェニッピカランニュ・ファーミィ(通称ルー)は、どこか寂しそうに地球で暮らしていた。
そんな『ぼっち』な彼女に気づいた高1少女、花宮陽奈乃は『手作り宇宙船』で、遥か彼方にあるルーの故郷に手紙を届けることを思いつく。もちろん技術も予算もゼロ……でも情熱は無限大! 科学に詳しい天北宙理、頼れる生徒会長の御船真帆に声をかけ、少女たちだけの宇宙開発『コードネーム:マカロン』が始まる!
涙も笑顔も一緒に分け合いながら、今日もまた少女たちは星を目指す。
これはきっと宇宙に届く、私たちだけの物語。発売日: 2025/10/10電撃文庫