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いきなりこの世界が魔法社会になったら、そしてその世界で自分が大活躍したら――そんな誰しもが思い描いたことのある「もしも」の物語

MF文庫J
MF文庫J
2025/09/25

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫J編集部から9月25日に刊行された『崩壊世界の魔法杖職人1』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 小中学生の頃、よく妄想したことの一つに「もし、この授業中の教室へテロリストが入ってきたら」というものがあります。絶対にテロリストを撃退するような力は持ち合わせていなかったけれど、妄想上での自分は最強。テロリストに勝利して、クラスメイト女子と甘酸っぱい関係に……なんてラブロマンスをつまらない授業のときには妄想していたものです。

 それに近いものとして、「いきなりこの世界が魔法社会になったら」という妄想をしていたこともありました。しかし私は運動神経も頭も良くないので、どうせ成績はドベもドベ。テロリストに勝つ妄想はしていても、みんな魔法が使える社会では魔法学校の落ちこぼれになるしかないのだ……と僻んでいたものです。妄想なのにね。そんな経験、皆さんにもないでしょうか(急に読者を仲間に引き入れていく)。

『崩壊世界の魔法杖職人』pinup

 そんな過去を持つ私ですから、本作は「いきなり魔法社会になって、そんな生き抜き方があるんだ……!」と目から鱗でした。人と関わることが苦手でも、手先が器用という一点突破で(いや、それ以外にも秀でているところはあるんだけど)魔法社会を生き抜いていく、いい意味での鈍感さが素敵で……。クラフトものという見方でも、どんどん強い魔法アイテムを生み出していく、その果てしなき探究心が素晴らしい! 大利みたいに、崩壊世界で生き抜いていけるのは楽しいだろうなぁ(ドラゴンには捕まりたくないけれど)!

 あ、自分ですか。もしこの崩壊世界に住んでいたとしたら、オコジョにならず魔法の暴発で死んでしまった魔法言語学の研究者になっていたと思います(言語学大好き)。大利みたい生きることは難しい……。なので、現実逃避も込めて、小説の中でくらい感情移入させてください……!

文:太田祥暉


ざっくり言うとこんな作品

1)気付いたときには地球は魔法の世界に変わっていた!? そんな状況でも自給自足生活を続ける主人公の姿が面白い!

2)そんな世界になっても、趣味のクラフトはやめられない! それどころか、クラフトの力によって、魔法社会がどんどん変化していく……!?

3)元モデルの美女「青の魔女」や、魔法の暴発でオコジョになってしまった魔法言語学の権威など、一癖も二癖もあるキャラクターとの掛け合いが面白い!


主要キャラ紹介

『崩壊世界の魔法杖職人』chara01

▼大利賢師(おおり・けんし)
東京の西の外れで自給自足の生活を営みながら、オークションでクラフトしたアイテムを販売していた男。手先が器用で、魔法社会になってからは魔法杖を作り始める。コミュ障。

『崩壊世界の魔法杖職人』chara02

▼青の魔女(あおのまじょ)
青梅市を守る世界最強クラスの魔女。凍結魔法の使い手。かつてはモデル活動を行っていたほどの美人。ひょんなことから大利と出会い、彼のことを気にかけていく。

『崩壊世界の魔法杖職人』chara03

▼大日向慧(おおひなた・けい)
魔法の暴発によりオコジョ化してしまった、魔法言語学の権威。父の影響で魔法言語学を研究し始めたが、魔法の暴発によって父をはじめとした仲間を喪ってしまった。

  • 読書感想文レビュー
  • ファンタジー
  • バトル
  • SF
  • 太田祥暉

関連書籍

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    大利賢師は器用さだけで生きてきた男だ。それは文明が崩壊しても変わらない。

    ある日地球に降り注いだ魔法の隕石群は、地球から全ての電気を奪った。
    電気に支えられていた高度な社会はたちまち崩壊。未曾有の大混乱が起きる世界を尻目に、大利は独りのんびりと隕石の一つを削り出し魔法の杖を作り上げた。

    ――そう、人類は電気を失ったが、代わりに魔法を手に入れたのだ。

    そして大利は知らなかった。
    電子機器が使えなくなった崩壊世界で、精密機械並の工作ができる自分の器用さが世界を救う力になる事を。

    西に人間不信の魔女がいれば、器用さで閉ざされた心を開き。
    東に命懸けで世界を救う研究をする可愛いオコジョがいれば、器用さで助けてやり。
    ガラクタだって魔法の杖に加工できる。
    なぜなら器用だから。

    これは、崩壊世界で繰り広げられる魔女や魔法使いの英雄譚――ではない。
    コミュ障で奥多摩に引きこもったド器用な青年が魔法杖職人となり、東京の片隅から全世界を揺るがしていく、生涯の記録。
    黒留ハガネ (著者) / かやはら (イラスト)
    発売日: 2025/09/25
    その他単行本
    試し読みする
  • 崩壊世界の魔法杖職人 小冊子付き特装版 1(特装版)
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    ある日地球に降り注いだ魔法の隕石群は、地球から全ての電気を奪った。
    電気に支えられていた高度な社会はたちまち崩壊。未曾有の大混乱が起きる世界を尻目に、大利は独りのんびりと隕石の一つを削り出し魔法の杖を作り上げた。

    ――そう、人類は電気を失ったが、代わりに魔法を手に入れたのだ。

    そして大利は知らなかった。
    電子機器が使えなくなった崩壊世界で、精密機械並の工作ができる自分の器用さが世界を救う力になる事を。

    西に人間不信の魔女がいれば、器用さで閉ざされた心を開き。
    東に命懸けで世界を救う研究をする可愛いオコジョがいれば、器用さで助けてやり。
    ガラクタだって魔法の杖に加工できる。
    なぜなら器用だから。

    これは、崩壊世界で繰り広げられる魔女や魔法使いの英雄譚――ではない。
    コミュ障で奥多摩に引きこもったド器用な青年が魔法杖職人となり、東京の片隅から全世界を揺るがしていく、生涯の記録。
    黒留ハガネ (著者) / かやはら (イラスト)
    発売日: 2025/09/25
    その他単行本
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