名前も知らない誰かと寝落ちもちもち……と思ったら、この声は気になってたクラスメイト!?　誰もが憧れる美少女と深夜の秘密通話を楽しむラブコメ

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから9月25日に刊行された『無口な俺が深夜に通話しているのは、クラスで1番美人な優等生でした』です。みなさんの感想も聞かせてください！

　昨今では、アプリを使って知らない人と音声で通話できるんですね。私の時代はもっぱらテキストベースのチャットでした。入れば誰かしらいるので、好きな音楽やアイドルの話なんかで盛り上がったものです。

　本作に登場する六久原くんをはじめとする学生たちも、形は違えどきっと似たような感じなんだろうなと。知らない人だからこそ言えること、話して楽しいことがあるのでしょう。変に力まず、現実の自分の立場を気にせずにいられるのが楽なのかもしれません。
　でももし、ネットで出会った相手がクラスの気になるあの子だったら……？　現実でも同じような関係になりたいなぁなんて、夢を広げてしまうでしょうね。

　けれど現実は難しくて、六久原くんは無口キャラ。そもそも正体を知ったら通話すらしてくれなくなるかもしれない。それでも……通話でマンゴーが苦手だと話していたあの子。学校で配られた飴でマンゴー味に当たってしまい、しょんぼりしている彼女。助けられるのは、それを知っている自分しかいない。そこで一歩、踏み出せるかどうかが重要なわけです。
　現状を変えることって本当に難しい。未知なる領域へと踏み込むのはとても勇気が要るものです。失敗するくらいなら、今のままでいいや……と諦めてしまったことが私も何度もありました。でも六久原くんはしっかりと踏み出すんです。カッコいいですよね。ただ気になる彼女を助けたいという、その純粋な感情はキラキラと輝くように眩しくて。心の中を温かく照らすような、そんな希望をもらえます。

　その眩しさが直に伝わってくるような作風が本当に素敵。輝くような文章で紡がれる青春ラブストーリーに何度でもキュンキュンしたくなりました。

文・入賀ましろ

ざっくり言うとこんな作品

１）優等生のクラスメイトが夜の通話で俺にだけ見せる甘々な姿のギャップ

２）通話だけでは終わらない！　無口キャラを脱却したい主人公の勇気とさりげない優しさが現実さえも変えていく青春ラブコメ！

３）界隈では「イケボで話しやすい」とちょっぴり有名人な主人公。そんな彼と通話したがる女の子の中には意外な人が紛れていて……？

主要キャラ紹介

▼左上：六久原千優（むくはら・ちゆう）
学校では「無口くん」と呼ばれる地味キャラ。でも本当はみんなと仲良く喋りたい！　学校で無口な分、夜は通話アプリで雑談をするイケボの持ち主。

▼右上：鷺沼桜（さぎぬま・よしの）
桜と書いて読みは「よしの」。名は体を表すような容姿端麗にして文武両道、コミュ力抜群な完璧生徒会長。常にクラスの中心にいる人気者だが、人知れぬ顔があるようで……？

▼左下：村雨雫（むらさめ・しずく）
六久原の幼馴染み。メガネが似合う黒髪女子で目立つほうではないが、スタイルはいい。大人しめの男子から人気がありそうなタイプ。

▼右下：六久原千歳（むくはら・ちとせ）
六久原の妹。制服を着崩し、日々メイクやネイルに没頭する金髪ギャル。顔をあわせればいつも兄に悪態をついている。