【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から9月20日に刊行される『貞操逆転世界のオタサーの王子様』です。みなさんの感想も聞かせてください!
男性ばかりのサークルに所属し、メンバーからお姫様のように扱われている女性のことを昨今では“オタサーの姫”と呼ぶことが多い。周りからはチヤホヤされ、夢のようなポジションにもなりうるオタサーの姫だが、これがもし男女逆転したらどんな風になるのだろうか――。
“男女比が一対二十”という特殊な世界に転生してしまった主人公・梶原一郎を巡るこの物語は、その答えの一つを読者に提示してくれる。男女の価値観が逆になると、こんなにも「ズレ」を感じるのかという、一種の発見もあった。
根っからのオタクである一郎が入部した「現代文化研究会」では、部長である高橋千尋をはじめとした“モテないオタク女子”たちが日々活動している。そんななか、顔が良くて趣味も合う男性が急に現れたら、そりゃ「私にワンチャン来たんじゃね?」と思ってしまうのも十分に頷けるだろう。オタク女子たちが慣れないながらも唯一の男性部員にアプローチをかけていく様は、見ていて微笑ましい。貞操逆転世界の価値観ってすごい。
筆者は学生時代、吹奏楽部に所属していたのだが、現に少数いた男子はそれなりにモテていたことも1つの理由として挙げておく。女子高で男性教諭がモテる……みたいなことなのかもしれない。

肉食系女子を中心としたこの世界では、グラビアアイドルといった職業や、ピアノ、バイオリンなどの習い事は基本男性がやるもの。さらにアニメでは男性のお色気シーンが多く流れていたりと、ユニークすぎる世界観がとにかく面白い。読んでいるうちにいろいろな空想を繰り広げてしまった。夢も広がりもあるこの世界で、この世界だからこその物語が繰り広げられている点が、本作に気付けばハマってしまう要因なのだろう。

自分を部活へ誘ってくれた千尋に対し、親愛としての感情を向ける一郎と、あわよくば……な展開を密かに願う千尋。ちょっと変わったラブコメディから今後も目が離せない。
文:渡辺美咲
ざっくり言うとこんな作品
1)転生した先は、男女比一対二十という肉食系女子ばかりの世界!? “紅一点”ならぬ“黒一点”の青春物語が面白い!!
2)オタクとして仲良くしたい主人公と、彼との“ワンチャン”を狙うオタク女子たち……。ちょっと変わったラブコメディに、思わずドキッとさせられる!
3)女性を中心とした独特すぎる世界観は、あれこれ妄想が膨らんじゃう!? 読んでいて夢中になること間違いなし!
主要キャラ紹介
高橋千尋(たかはし・ちひろ)
オタクが集う「現代文化研究会」の部長。カードゲームショップで出会った一郎を部活へ誘った張本人で、部員からも慕われている。

藤堂初音(とうどう・はつね)
「現代文化研究会」の部員で、千尋とは同じ中学出身。一郎の前でも平気で自分の性癖について語ったりと、若干オープンスケベなところがある。

瀬川涼子(せがわ・りょうこ)
「現代文化研究会」の広告担当であり、部内で一番の巨乳の持ち主。これまでに一度も男性と接したことがないそうで……?

高倉エマ(たかくら・えま)
「現代文化研究会」の部員で、特殊性癖担当。身長150cmのブロンドサラサラロングヘアという、人目を惹く外見をしている。

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関連書籍
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貞操逆転世界のオタサーの王子様男女比一対二十、性欲が強い肉食系女子ばかりの世界で私たちはさえない。
彼氏など作れぬ。モテぬ。男性とはマトモに視線を合わせられず「うひひ」と卑屈に笑うことしかできぬオタクどもである。
そんなオタク女子四人が集まる『現代文化研究会』に部長である私、高橋千尋がカードゲームショップで勇気を振り絞って勧誘し入部してくれた男子――梶原一郎。
彼が好きなものはカードゲーム。そして漫画・アニメ・ライトノベルを嗜み、私たちの創作活動にも興味があるという。
そんなの好きにならないわけないだろう。
貞操逆転世界に転生したオタク男子と欲にまみれたオタク女子のアオハルラブコメ!発売日: 2025/09/20ファンタジア文庫