【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は富士見L文庫から9月12日に刊行された 『悪魔さんの8畳ワンルーム甘やかしごはん』です。みなさんの感想も聞かせてください!
白状します。インキュバスとサキュバスが出てくる作品なのですから、もっとえっちでインモラルな展開が描かれると思っていました。煩悩まみれすぎる脳……。甘やかしごはんというタイトルも、甘やかされながらごはん(意味深)を、という形なのかと……。はい、そんなお話ではありません。もっとほっこりです。エロに頭を侵食されたライターでごめんなさい。
そんな欲にまみれたお話はさておき、本作を読むと「人と食べるご飯の大事さ」を痛感します。いや、一人で食べるご飯って虚しいんですよ。一人暮らし時代、それが寂しくなり、とにかくDiscordの作業通話に入っていたものですから(ちょうどコロナ禍で人と喋ること自体少なくなっていたという事情もありますけど)。それがいきなりイケメンと、しかもぐいぐい来るイケメンと、となればもうお腹も心もほっこりだ……! そしてエロいことは何も起こらず、ただただベタ甘なのですから……もう完敗です。
ともあれ、筆者は男なのでどちらかと言えば井上くん視点で描かれる間章にかなり感情移入をしておりました。いきなり好きだった同僚にイケメン彼氏が現れたら辛いよね。でも、あなたにもサキュバスがいるんだから(もちろんこちらもえっちなことは起きない)……!
うーん、どっちも羨ましい……。自分のところにもサキュバスが降りてきてください……(そして飲み友達になりたいし、オタク友達になりたい)。
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
1)世話焼きな悪魔が、日々の仕事で疲れまくっているOLのお腹と心を癒していく、おいしさが伝わるラブストーリー。
2)料理の対価は、なんと「キス」! 甘酸っぱい(いやらしさはナシ)インキュバスとのドキドキな同居生活。
3)悪魔と人間がお互いに惹かれながら、あと一歩が踏み出せないというじれったい恋愛模様が楽しい。
主要キャラ紹介
▼嶺井琴子(みねい・ことこ)
小さな印刷会社で働くお疲れ気味のOL。過去のトラウマから自分を雑に扱いがち。エルゥを警戒するが、すっかり胃袋を掴まれている。

▼エルゥ
ある日突然琴子の前に現れたインキュバス。琴子の精気をいただこうとするが、あまりの枯れっぷりに思わず世話を焼きはじめて……?

▼井上颯人(いのうえ・はやと)
琴子に密かに想いを寄せる会社の同僚。仕事は淡々とこなしつつ、家では料理にこだわる一面も。サキュバスが家に居ついていることは誰にも話していない。
▼ライア
井上の家に押しかけてきた駆け出しサキュバス。彼の精気をいただくはずが、人間の食べ物の方に興味を引かれ、今では井上の飲み友であり恋愛相談相手。
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関連書籍
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悪魔さんの8畳ワンルーム甘やかしごはん嶺井琴子、二十四歳。小さな印刷会社に勤める会社員。
仕事疲れの日々を送っていたある日、夢の中に女性の「精気」を食べて生きる悪魔、「インキュバス」を名乗る絶世の美青年が現れた。彼が琴子を見て口にした言葉は……
「うわ。この子、精気も体力も枯れっ枯れだ」
その日からインキュバスのエルゥは、琴子の8畳ワンルームを訪れるようになった。美味しいご飯と健康的な生活で、彼女の精気を育て、いずれ食べるために。
インキュバスなんかに惹かれちゃいけない、彼が優しくしてくれるのは自分を食べるためだと何度自分に言い聞かせても、おいしいご飯と温かい言葉で、徐々に惹かれていってしまう琴子。一方エルゥも、特定の女性をこんなに気にかける自分を不思議に思って……。
世話焼きインキュバスとお疲れ女子の恋の行方は?
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登場人物
嶺井琴子(みねい・ことこ)
小さな印刷会社で働くお疲れ気味のOL。過去のトラウマから自分を雑に扱いがち。エルゥを警戒するが、すっかり胃袋を掴まれている。
エルゥ
ある日突然琴子の前に現れたインキュバス。琴子の精気をいただこうとするが、あまりの枯れっぷりに思わず世話を焼きはじめて……?
発売日: 2025/09/12富士見L文庫

