背徳感が堪らない！　遠距離恋愛中のカノジョには内緒で、女子高生たちと浮気未満の関係を楽しむ不純系ラブコメ!!

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から8月20日に刊行された『友達以上浮気未満のカノジョたち』です。みなさんの感想も聞かせてください！

　一人暮らしをしていると、どうしても料理というものを疎かにしてしまうときがありますよね。
　数年前、僕は近所にスーパーがあるところに部屋を借りていたからなんとか惣菜にありつけていたものの、これが徒歩15分以上の場所にしかスーパーやコンビニがないとなっていたら……。出前を取るという手段もありますが、貯金ゼロの社会人になりたてという当時の僕にはそれは不可能な選択。飯を作る材料を買う気力もない、作ることもできない、じゃあもう終わり……となるのも必然です。
　そんなとき、当時の彼女がご飯を作りに来てくれたことがなんと嬉しかったことか。自炊を全くと言っていいほどしない僕を見かねて、得意料理を何個か作り置きしてくれたなんてこともありました。好感度も爆上げというものです。これが胃袋を掴まれるってことか……。

　なんて自分語りは脇に置いておきつつも、そんな経験を踏まえると、本作の主人公・四季もいずれメシによって胃袋を掴まれた結果、遠距離恋愛中のヒロイン・由奈からついつい心変わりをしてしまうのではないか……と思いながら本作を読んでいました（修羅場が始まるラブコメ大好き脳）。
　だって相手は、料理が上手な世話焼き女子高生ですよ!?　そんなの好きにならない方が無作法というものじゃないですか！　それが友達以上の距離感で近付いてきてくれたら、浮気未満の関係性になってしまうのも納得です。この辺の説得力というか、本当リアルで等身大な関係性を描くのが上手いんです。本作は。

　でも、四季は心こそ揺れるものの、一番好きなのは由奈である、という……一途な男、素晴らしいですね。実際の自分だったら、こんな美少女ハーレムな状況になった場合、もう一途なこととか言っていられないだろうと思います。非モテ陰キャとして生きてきましたから……。
　なお、自分は胃袋を掴まれたあと、そのままその彼女と結婚しました。やっぱり勝つものはメシですね（もちろんそれ以外の決め手もありますが）。

　さて、本作には料理上手な女の子・春のほかにも料理部という舞台を通じて個性豊かでそれぞれ魅力的な女の子たちが登場するわけですが、いったい四季の胃袋を掴むのは誰なのでしょうか。そこが本筋ではないけれど、僕は個人的に負けヒロイン属性が好きなので、ぜひとも推しキャラである元気っ子・葵ちゃんの目が曇る展開が見たいです！

文：太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品

１）彼女はいるけど、重いし、遠距離だし……。そんな中、女の子と仲が良くなり、友達以上な関係性に……？　彼女がいると知っていても距離が縮まる関係性に胸が締め付けられる。

２）料理を教えてくれる世話焼きな女の子に、明るくからかってくる元気っ子、そして高校で再会した幼なじみ。三者三様の女の子の行動にハラハラドキドキすること必至！

３）彼女が一番好きだと言いつつも、好意を抱かれ、関係が深まっていく先に待つものとは――？　衝撃のラストを絶対に見逃すな！

主要キャラ紹介

冬城由奈（ふゆしろ・ゆな）
代々続く大病院の一人娘。緑屋四季の恋人で、現在は遠距離恋愛中……だが、彼氏が病気になるとすぐさま三重から上京。毎日電話を求めたり、料理の写真を送らないと上京すると言ったりするほど、恋愛感情が重い。

桜庭春（さくらば・はる）
料理上手で、世話焼き気質な高校生。料理部の一員だが、校則で禁止されているバイトを始めてからは出席率が下がっている。バイト先では店長からのセクハラに悩まされ中。

夏川葵（なつかわ・あおい）
明るく快活な料理部員。その可愛さは、葵目当てに入部希望の男子生徒が料理部へ殺到するほど。それ故に料理部内では虐められていて、料理のできない四季と二人で行動することが多い。

秋晴涼（あきば・すず）
四季と幼なじみの高校生。美術の天才で、作業に没頭するあまりお腹を空かせてしまうこともしばしば。食料補給に時折料理部を訪れていたが、再会した四季が入部していることを知り、入部届を提出する。