少女が行方不明になったきっかけは、夏休みのちょっとした「オカルト遊び」だった。 ホラー系YouTuber「まだ学校だよ」の本格ホラー小説『こどものあそび』の連載が開始!
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まだ暑い今年の夏は、背筋がひやりとする物語を。Web小説サイト「カクヨム」のサブスクサービス「カクヨムネクスト」では、特集ページ「カクヨムネクストの夏ホラー2025」を公開中です。70名以上の作家が参加するホラー競作も毎日更新されていて、読み応えたっぷりです。
その中でも今回注目するのは、ホラー系YouTuber「まだ学校だよ」さんによる本格ホラー小説『こどものあそび』です。ホラー好きにはたまらないゾクッとポイントをお伝えします。
『こどものあそび』
〈伊波ゆきちゃんを探しています〉
この田舎には、2011年7月18日に行方不明になった伊波ゆきの行方不明者ポスターが至る所に貼られている。警察、地元猟友会を含めた100人体制で捜査が行われるが、彼女が見つかることはなかった。だが、僕らだけは、伊波ゆきが行方不明になった原因を知っている。
あの日、僕らは、ある鬼ごっこをした。
――存在しない〈何か〉が増える鬼ごっこ
伊波ゆきは、僕らが呼んでしまった〈何か〉に連れ去られた。そして、その〈何か〉は、あの日以来、僕らを今でも監視している。
著・画 まだ学校だよ
YouTube登録者12万人超のホラー系動画クリエイター。
主に3DCGを用いた不気味で異質な映像表現を得意とし、不穏な世界観で注目を集める。
ホラー好き必見! ゾクッっとポイント
①身に覚えのある子ども時代の好奇心にゾクッ
行方不明事件のカギを握る「口遊び」は「こっくりさん」のような、多くの子どもが一度は経験したことがあるオカルト遊びを連想させる。
どうせ、何も起きないだろう。でも、やってみたい。そして、ルールを破ったらどうなるのかも試してみたい――。そんな無邪気な好奇心は、身に覚えがある感情だ。だからこそ、主人公たちのオカルト遊びや些細なイタズラ心が事件に繋がるというストーリー展開は妙なリアリティがあり、背筋が寒くなる。
②緻密な情景描写で日常に潜む恐怖を表現
日常生活の中では、隙が多い。シャワー時には無防備な背後が不安になるし、部屋でくつろいでいても、ふと窓の外が気になる瞬間がある。
そうした“実態のない恐怖”を、作者は緻密な情景描写を通して伝えているので、読み手は自分の日常にも恐怖が侵入してきたような感覚に…。いつもなら生活音と割り切れる音も読後には、やたらと不気味に聞こえてしまうはず。ホラーは、いつだって身近にあることを、作者はたしかな筆力で再認識させてくれる。
③大人の“僕”に襲いかかる呪いの恐怖…
本作が与える恐怖は、口遊びを一緒に行った友人の不審死によって一気に加速する。友人は主人公の帰郷後、両手の指を両目に指すという異常な死に方をした。
友人の死を受け、主人公らは「口遊び」を改めて詳しく調べ、その裏に隠された真実を知ろうともがき始める。だが、向き合おうとすればするほど、ストーリーはよりスリリングな展開に…。
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果たして、失踪した伊波ゆきは今、どこにいるのか。そして、主人公たちは12年間抱え続けてきた罪悪感や恐怖心にどんなピリオドを打つのかを、その目で見届けてほしい。
文・古川 諭香
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