【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はメディアワークス文庫から8月25日に刊行される『さようなら王子様、どうか私のことは忘れてください 』です。みなさんの感想も聞かせてください!
過去の恋って、何度も思い返してしまうんですよね。眠れないひとりの夜。一緒に観た映画のポスターを見かけたとき。デートで着ていた服を見つけたとき。好きだった料理を口にしたとき。そのときの、その人の声や笑い方まで、ふっと浮かんでくるんです。忘れたくても、記憶は勝手によみがえり、胸の奥をじくりと痛ませる。
だからなのか、別れたルミナス王子との思い出に縛られるオリヴィアの気持ちが、すごくわかるんですよ。
新しい人生を生きなければと自分に言い聞かせて、新しい恋人のレイモンドと出会っても、心のどこかでルミナスと比べてしまう。今の恋人と愛し合って幸せなはずなのに、胸の奥にはぽっかりと穴が空いている。いつまでも空虚さを埋められないもどかしさが、本当に胸が締め付けられるんです。
オリヴィアもルミナスもレイモンドも、ちょっと物わかりが良すぎるんですよ。貴族の立場とか世間体なんかよりも、もっと自分の気持ちを優先してもいいのに! と読んでいて歯がゆくなります。まあ、それは私自身も彼等のような失敗をやらかした、苦い記憶が頭をよぎって身悶えしたくなるからなんですけどね。
だから、遠回りをしながらたどり着いた最後のオリヴィアの姿が、どこか自分も救われたような安らぎを感じたんですよね。ああ、この子は最後には正しい選択ができたんだなと心が洗われました。いまも昔の恋を引きずっている人、前を向こうと頑張っている人におすすめしたい純愛ストーリーです。
文: あいさきゆうじ
ざっくり言うとこんな作品
1)幼なじみで婚約者、両思いにも関わらず、すれ違いから別れてしまうオリヴィアとルミナスの二人の恋の切なさ。
2)新しい恋人レイモンドと交際し始めたオリヴィア、そこにルミナスが追いかけてきて始まる、ひとりの女性を巡る恋の三角関係。
3)オリヴィアとルミナスを破局に追いやった事件の解明。二人に起こった死に戻りの理由とは? 王宮に渦巻くロマンスと陰謀の駆け引きが面白い!
主要キャラ紹介

左)オリヴィア
ガロン王国の筆頭公爵家令嬢。初恋のルミナスにふさわしい王太子妃となるべく厳しい教育に耐えてきた健気な女性。死に戻りを機に新しい人生を歩もうと決意する。
右)ルミナス
ガロン王国王太子。文武に優れ、実直な性格。婚約当初はオリヴィアを慕っていたが、あることをきっかけに彼女を誤解し、徐々に冷たく当たるようになる。
レイモンド
ギルディア王国の貴族の次男坊。商会で働く聡明なオリヴィアを見初め、交際を申し込む。オリヴィアと結ばれるために平民になることも厭わない誠実な青年。
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